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伝承その五
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大戦争勃発。
血で、血を洗う戦い。それが行われるのは文明度の低さからだろう。
彼らの戦いは血は星の消滅を意味し、血を洗う行為は、星系が、その存在すらも抹消される行為を持つものとなる行為である。
長年。この歴史においての研究をしてきたが、誰が悪く、何が悪いのではない。
本当に、ただ一言。
一言だけ言葉を発すればよかったのではないだろうか。
それが、最初から武力などで行くから、誰にも止められない、種族が滅ぶ最後まで続けられた戦いの記録だ。
まず、最初に私から言える言葉を送ろう。
恥を知れ。愚かなものになるな。経験し、学べ。歴史を繰り返すようなことをするな。
歴史研究家である、わが身でさえ、死を何度も経験する羽目になったのだから。
なぜ、研究者が死ぬ思いをしているか疑問であろう。
そして、今まで書いた伝承の意味。
理由が聞きたくないものは飛ばしてかまわん。
私は、この星の海に生まれ、星の海に消えゆく存在。
そんな人生の中で、私の生きた証が残るものが欲しくて、記録に残すことにしたのだ。
遠い、遠い過去から、未来までを見通せる。
そんな存在に我々が昇華できていれば要らないものだ。
もしも、存在そのものを昇華できたのであれば、この伝承は破棄してかまわん。
いつか、会えることを期待する。
だが、まだできていないのであれば、破棄はお勧めしない。私が書いた伝承は4つ。
何故、私が、過去から未来へと送り出したか、気になるものはいないのか?
気になるものがおるのなら、この儂を探せ、
儂は、本来の時間ではない場所にいる。この場所にたどり着けた者こそ、
世界の王になれるであろう。
というのは、嘘じゃ。
儂は、ドラゴン。永き時を生きるドラゴンだ。だからこそ、宇宙の最果てを冒険し、人々の暮らしを見て回ったものも居たそうじゃ。
儂は、歴史を学び、研究し、記録に残すことを決めたのじゃ。
今、あの遠い場所で我らが同胞たちが生きていることを理解しながらも、それでも私は、歴史を記録することに精を出す。
またいづれ、追加を書くので、その時また会おうではないか。その時は伝承の続きを書くので、こうご期待ということじゃ。
じゃが、この研究成果だけでも後世に残すための作業はしておこうと思う。
だからこそ、遠き過去から未来へと送るための無限紙を使おう。
現像する者の中では一番使いやすくて、一番数が多い燃えず、破けず、濡れもしない、特殊なものだ。これこそ、私の研究成果を記すのに、良いことではないか。
伝承そのⅤ
誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。