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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
「クリス艦長」
「今度は、何?」
私は、クリスティーナ・セレス・V・ラングストン。この戦艦蒼海の艦長をしている。なんの因果なのか、もと第四大隊の副隊長だったはずなのにいつの間にか、小隊を率いて、戦艦の艦長までやらされる始末。
よそから見たら、縁故採用みたいに取られるだろうけど、この大隊・・・・この小隊からみたみんなの感想は一つ。私も言ってしまった。
『貧乏籤』
そう、貧乏籤なのだ。すべての厄介ごとを毎度ながら押し付けられて、いいように使われているという現状。誰もが脱却を目指していたはずなのに、私以外総入れ替えが起こり人材がそろったとはいえ、なぜまたややこしいことの対応をしないといけないの?
今やっている作業は一つ。
惑星同盟国家参入のための調印式に挑むため、各星系のお偉い方たちの輸送と警護。
調印式になる場所に適切な場所が無かったためこの艦で執り行うために現在内装を一時的に改装中。
こんな厄介ごとを押し付けてきた第七大隊のエースさんは今どこに居るのやら。
「艦長!」
「あぁ、ごめんなさい。現実逃避してたわ」
「わかります。イレギュラー続きでしんどい所にさらに続けて、続報です。皇地球の代理がもう間もなく到着です」
「そう、丁重にお迎えを」
「ではなく、ついて来ちゃったそうです」
「何が?」
「皇帝が」
「皇帝・・・・・えっ!代理が来るのではなく、皇帝陛下が自ら出向かれてるのですか!?」
「らしいです。ただ、厳密にいえば、強引についてきたので、空気扱いで大丈夫だそうですが、難しいですよね」
「当たり前でしょ。何考えてるのよ。この艦には皇帝陛下をお迎えする格式のあるゲストルームなんて無いのよ!すぐにほかの船に連絡して、状況を内密にて対応して頂戴!」
最悪。私は今日・・・智也たちとの再会以降、ずっと厄日が続いている。
普通厄年とかいうけど、コレ、ほんとに厄年?
被害が拡大してきてる気がするんだけど・・・・
「クリス艦長」
「こんどは、何?」
はぁ、今度はどんなトラブルですか?
「イオが一度戻ってきてほしいそうです。なんでもこの蒼海は護衛艦としての運用目的だったのに、世間的には一個の艦運用が求められるなら、違う艦にしないととのことです」
「・・・・」
この艦でさえ、戦艦並みに装備充実してるのに、さらに追加するか。
もう自棄だ。さっさと調印式を終わらせて、戻ろう。
-調印式-
厳かな雰囲気のなかで執り行われる調印。
過去に調印まで行きかけて、色々な最後の一個で破談になった、曰くつきのある調印ともいえるが、今回はうまくいくのか。
「では、改めて確認を」
「はい」
「1.軍隊すべてはゼルセルタ航空宇宙軍に合併吸収されます。
そのことに異議はありますか?」
「ありません」
「2.お金の統一を行います。今までの為替レートは全て廃止され、惑星同盟国家の使用する貨幣制度の利用を承認していただけますか?」
「問題ありません」
「3.惑星内の警察機構、消防機構、防衛機構などの公務的な機構はすべて吸収合併され、こちらの教育方針をもとに法整備を改正することを承認いただけますか?」
「了解しました」
「以上をもって、この場での調印の儀を執り行い、調印した現時刻を持って軍の指揮権移行をお願いします」
「わかりました(神流皇帝陛下。調印してよろしいでしょうか?)」
「(いいよ。宰相たちとも話し合ったけど、どうしてもこれから非同盟国家との争いが激化しそうなのに、中立で居るのはきつそうだし、接触がこれまでなかったとはいえ、今後も無いとは言い切れないし、武力で来られたらたまったものではないからね。それなら、彼らに全ての防衛能力をお任せしてこちらは惑星内での統治だけを行えばいいからな)」
「(それでも、公的機関の法整備ともなると、これまでのゲーム推奨制度は廃止になるのですか?)」
「(あれは弄らなくてもいいそうだよ。もっと酷いことをしている惑星・星系に対して行われているだけのようだからね)」
「(わかりました。では、調印させていただきます)」
「(たのんだよ。俺もここから歴史的な瞬間を見てるから)」
「では、ココに代理人のお名前を」
「・・・・・」
俺の名前がこの調印に残るとなると、手が震えるな。
「ご安心を。調印に限らず、重要文書は毎回手が震えます」
「(ハハ、お見通しか)・・・」
「ありがとうございます。続いて、皇地球 皇帝陛下のご署名と捺印をココに入れてください」
これは、事前に署名していた紙と捺印の押されていた紙を一緒に機械に入れると俺の代理人名の下に浮き上がる仕組みになっている。
(例)
--代理--
俺の名前
--皇地球 皇帝陛下--
神流 将嗣諒 ※
()
てな感じになるというわけだ。やはり、皇帝陛下のサインとかカッコいいな。
俺たちの星の意思がココに存在していると言わしめているような気がする。
「ありがとうございます。
コレを持ちまして、調印の儀を終了とさせていただきます。
それでは、ゼルセルタ航空宇宙軍に貴国の軍指揮権移譲をお願いいたします」
「(陛下)」
「(ヤレ)」
「(ハイ!)我々、皇地球政府は惑星国家同盟に加盟し、その武力は全て同盟国家で使われることになることを承知したうえですべての軍指揮権を委譲します」
「承りました。今この時より、我々は同盟国家の仲間入りです。ようこそ、惑星国家同盟へ」
『ようこそ、新たなる同志たちよ!新たなる、和平に向けて新たな一歩をココに踏み出すことを誓って!』
おぉ~、すごいな。壮観だ。皇帝陛下も居る中でやる調印式はどうなることかと思ったけど、最後まで何とかなってよかった!
『『乾杯!!』』
「最後の調印が終了して、乾杯が済んだから我々は超特急でイオの居る小惑星に向かうわよ」
「了解です、艦長」
[To Be Continued]
次回、第十一章侵略・防衛編




