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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
「陛下」
俺を急に呼ぶその声は、給仕長だな。
「どうした?」
「どうしてもいかれるのですか?」
そういって心配そうにしているのを見ると・・・
心労をもっとかけたくなるのは悪い癖かな?
「あぁ調印式に行くのは本来であれば、代理でかまわない。だが、俺は宇宙に行ってみたい。別の惑星に人が住んでいて、そこに文明が有るのなら、もっとここを発展させることができる。俺の部下なら一緒に見ただけでどこが良いのか悪いのかを判断できるだろうが、俺が一緒に見たことで計画に対しての強い意欲を持てるという物だろう」
また、屁理屈をこねて言っているが、実際はただ外に出たいだけだろう。どうやってもお外に出たいという欲求は止まらないようだな。
まぁ歴代の皇帝たちは、お忍びで城下町を散策したり、他の領地を目指いしたり、空を飛びたいと一緒に研究者たちと研究したり、海の中を見たいと言って同じく研究者たちと研究したりと、娯楽が無いわけではないが、女に現を抜かすわけではないが、そういうアグレッシブなことを昔からするのは遺伝的なのかな?アグレッシブな行動をする人が、次代の皇帝になれるとはいえ、皇帝という椅子を目指すものも過去には居た、暴力に訴えようとした途端反逆罪に問われて処刑されてきた過去を思えば、この世界で暴力が無いとはいえ、実際に争いごとはたえないのだろう。人間とはそういう生き物なのだから。
だが、その争いを違う方向にもっていくことに意識と意欲を割いていた者たちが、神流調停者と言われる者たちだった。それが、今やこの惑星のすべてを支配する存在になるとは、思ってもみなかっただろうな。彼らはただ、世界を放浪して興味のあることをするといった一族だったが、戦いに巻き込まれたら、終息させて、平和のなんたるかを説き伏せてしまい、誰もかれもが、暴力ではなく話し合いの場で解決できるようになった。それでも話し合いが難しいのなら、ゲームでもって勝敗を決めることにした。
このゲームが難易度が高く、魅力的で、勝者には税をなくし敗者には1.1倍の税を課すというシンプルなものだった。負け越しが、3年続くと税は無くなるが、勝者が3年続くと税金なし制度が解除されて、1割だけ納めなければならなくなる。まぁ世界中にこんなにも人がいて、国同士で行われるゲームもあれば、人同士で主な割れるゲームもある。
この世界の成り立ちとその後の結末は、不正がなければ介入しないとはいえ、住みやすくなったことには変わりない。
だが、こればかりは許せない。
「陛下、屁理屈を述べられても困ります。あなたには守るべき国民が居ることをお忘れなく。惑星同盟国家に所属することになれば、この近辺にも軍が駐留し我が軍隊は全て吸収され、法律も改正することになるでしょうが、それまではこの星から出ないでください。法改正や治安維持向上が出来ましたら、外遊旅行を許可いたしますので・・・・・・・・・・陛下? アレ? 陛下?」
あれ?どこ行った?あの陛下は。今ココで説教をしていたはずだったのに、次に見れば陛下は立っているが、これはホログラム・・・・・・そして、窓の外に見える空高くに見える白くまっすぐな雲はロケットロード・・・あ。
「へいかー!!逃げたなーーー!」
いかん。陛下が代理と一緒に船に乗って宇宙に行ってしまわれた!
「どうかされましたか、給仕長」
「陛下が逃亡されました。今頃宇宙船の中でしょう」
「・・・・・護衛もなしでですか」
「えぇ、あなた方に落ち度はないですよ」
「「はぁ」」
逃亡を許した近衛兵はこの後直属の上司である宰相にしこたま怒られたというのはまた別の話。
「アッハッハッハー。俺はやったぜ、ついに宇宙だ!煌びやかな見送りも豪勢な部屋でのくつろいだ空間で俺の星を見るより、こんな格納庫で宙に上がったと実感できる方が、俺にはありがたいことだ」
「それで、いつまで高笑いを続ける気ですか?あんまりうるさいようでしたら、戻りますよ」
「すまない」
「ホラ、そこから出てついてきてください。この艦の所有者に会いに行きましょう。ついでに代理にはあなたが説明してくださいね」
「分かっているさ、分かっている。俺は宇宙に出たかったんだからそれくらいの仕事はするさ。ハハハハハ」
その後、この艦の所有者はしこたま艦長に説教されて、代理は魂が抜けてたな。
俺はそれを見ながら、酒を飲む。
俺は、ハイネ。ハイネリック・アリアン・V・ラングストン。時代の経過を見て今を生きる男。
「おい、ハイネ。このオッサンどうする?」
「宇宙には救命ボートが有ったろ。それで打ち出してお終いにしておけよ」
「!? 何ということを言うんだ、貴様は!人としての人情は無いのか!」
「ねぇよ。俺エルフだし」
「人種という意味合いでは一緒だろ!」
こんなバカ話が出来るとは、あの殺伐とした世界を生き抜いた俺たちへの運命からの御駄賃なのかな?
「聞いているのか、ハイネ!」
「おい この皇帝 本当に 救命ボートに乗せて 打ち出して いいのか?」
「オイ待て、早まるなクォーツ!」
「ハハ、いいじゃねぇか。後で怒られるのは皇帝だけだと、書類に書かせて一緒に行けば」
「「・・・・・・」」
「そうしよう」
「そうしよう、じゃないわ。私が給仕長に怒られるわ」
「「自業自得!」」