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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
『イオリス!』
あれ?智也の声?
『無事か?』
「智也?なんでこんなところに」
おかしいよ、かなり時間が経過していたんだよ。見つからないと思っていたのに。
『俺の部下は優秀だからな。何も言わなくてもお前を探すために協力して探してくれていたんだ。感謝しろよ、一時的に見つからなくなったって言って色々試してようやく見つけたタイミングで、副艦長が近所まで移動してくれていたんだからな』
あぁ、すごいね。本当に助かったよ。ありがとう。
「ありがとう」
僕が生きていられるのは彼らに行かされているからなんだね。さすが、智也だよ。こんな危険な捜索を簡単にやってのけたとでも言われてるようなものだよ。
『待ってろ、もうすぐそちらに行く。とりあえずその艦が安全かどうか確認するために艦を格納するからもう少し待ってろ。俺の艦はそこらにある船くらいの収容は出来るからな』
「待ってる」
さすがに、寝てられないけど彼らが迎えに来てくれているだけでホッとするよ。前面カメラが機能していなくてもサイドのカメラで智也の艦が確認できてるからね。
本当に大きな、大きな艦だね。僕の乗ってる艦を飲み込みそうだね・・・・・と、智也?
ホントに飲み込みそうなのだけど?大丈夫?
「智也、なんか接近しすぎていない?接触するよ?」
『何言ってるんだ?艦を接岸なんかさせないぞ。格納するためにこれから格納庫のハッチを開放するんだ。見ものだぞ、ココまで最大に開放するのは初めてに近いからな。しかもこんな宇宙空間で格納庫を開けるのであれば、この艦では初めてだからな。
だから、もう少し待っていてくれ』
「わかった」
・・・・本当に飲み込むために近寄ってきていたんだ。驚いた。
あれから、智也の艦に回収されたボクの艦は整備士たちに点検整備するから一度艦から降りろと指示された。その後智也に発見回収されたのち、艦長室☆と書かれた可愛いデフォルメ看板の入った部屋に入り驚いた。
「中は普通なんだ」
「あのデフォルメ星マークは一体?」
「うちの女性陣が勝手に作っただけだろう。俺も通路側から艦長室に入るのは久しぶりだからいつからあの状態だったのか分からんが」
何だそれ?じゃぁいつもどこから入っているのさ?
「いつも部屋に寝に来ないの?」
「ん?イヤイヤ、違うぞ!そこにスゲー椅子が有るだろ」
「あぁ」
椅子。 うん。ご立派な椅子がこの部屋に相応しくなく鎮座しているね。
「それ、艦長席として機能していて、艦橋と艦長室に直結しているんだ。だから座りながら移動できるせいで、裏・・・・通路側から自分で周ったことなんて数えるほどしかないんだよ」
「そういうことか」
「それと、話は変わるが、イオリスに送られてきたデータ破損させてしまって読めないんだけど、予備ある?」
ん?読めなかったのか?
「あるよ。今送ろうか?」
「頼む。クロ」
【あぁ。・・・・・読み取り完了。コピーを製作するので少し待ってくれ】
「わかった」
スゴイな。あんな風にやり取りしていたら、確かに長い航海のなかで寡黙にならなくて済みそうだ。僕は長いこと一人の時間が多かったせいで、人と喋ることに億劫になってしまったけど、あんな風に喋れていたら今もこんなことにならなかっただろうな。
そういえば、
「智也に送ったデータ以外に一つだけボクの勘がこれは教えたほうがいいと思ったことが有るんだけど、いいかな?」
「良いぞ。そのソファーにどうぞ」
「ありがとう」
【記録する。録音させていただきます】
「あ、ハイ。どうぞ」
「気が利くな。クロ。ではお願いします」
「それでは、」
そういって、彼イオリスは喋りだした。
彼が言うには過去の話なのだが、いまだに捜索が打ち切られたという話を聞かないし、記録上にも存在されていないので未だに密かに探しているのだろうという人物がいるそうだ。
名前は、原鵺零。
何処で区切ればいいのか、どう読むのか、一切の謎に包まれた人物だそうだ。
この名前について、ゼルセルタ航空宇宙軍創設当時と、700年後にもう一度人物照会がかけられていることが記録上あるんだ。これは、時代の生き証人と言われたエルフが、生存していて記録上彼自身が人物照会をかけたと記録にはある。
だが、どんな人物なのか一切の情報が伏せられているらしい。
それは、まるでこの人物を探してはほしいけど、歴史には載せてほしくないと言っているも同然。だが、この人物が人物照会掛けられるたびに、依頼主として記録に残る人物がいる。
『駒竜鵜 悠呑』
この人物が毎回依頼主として載るのだ。まるでこの名前は世襲制で記録されているのかと思うほど、一字一句一緒だった。
そして、記録が900年間保管されていた一部のデータ削除が決定して公文書が消去されたものもあったのだろうが、この記録だけは残っていたところを見ると、未だに捜索が打ち切られていないことの重要な証拠になるだろうな。
一体この二人は歴史上の闇に葬られそうなのに、葬られなかった。
最重要案件だからだろうが・・・絶対にこの件は俺にとって最も重要な理由になりそうだ。
それか、もしかしたら関わっているのかもな。俺、記憶が戻っていないはずなのに、体が精神が、訴えかけてくる。だが、それが何か分からないなら、まだその時ではないのだろう。それなら今は待っておこう。いずれまたその時が来たら行動に移せばいいのだから。