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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
それから数年が経ち、陽平が姿を眩ましたと風の噂で聞いたときは頭を抱えた。それ以上に驚いたのは、あの智也が記憶消失でこれまでの人間関係をリセットしてしまい、名前が全てわからなくなったそうだと聞いたときは焦ってしまった。見舞いに行ったが、当時はまだ混乱していて僕の名前を思い出せないと言っていたのを鮮明に覚えている。まぁ、そのあとの経過報告を聞いていたら、落ち着きを取り戻し再度名前を覚えようと思えばできたので、変な形での記憶消失になっただけでよかったと思ってる。その後はまたしばらくこっちでも忙しく、僕が開発したエンジンの試作型を、実験艦に詰め込みはしたが、なぜかそれが、新部隊発足のため実験艦をその部隊に引き取られ、使われることになったと連絡を受けたときは頭を抱えた。
何せ説明書なんて有って無いようなものだったからだ。
そんな横暴を許すな!と開発部のメンバーからも言われていたのだが、乗る人間が智也だと分かって、僕も説得に回ったくらいだ。
彼が乗るならどんな荒波でもそよ風のように乗ってくれるだろうし、こちらのほしいデータ以上のことをやってくれるだろうと期待していたが、本当にこっちの予想のさらに上を行くデータをもたらしてくれて感謝しているくらいだ。
未だにブーブー文句を言う人間は当時試作を載せれなかった者たちだからこそ、今回は優先して載せれば、文句も出ないだろうしな。
それにしても、エンジン以外にもガタが出てきてるという予想は当たっていたけど、これは予想外だな。
エンジンに関してはもう少し、壊れていないと思っていたんだけど予想以上に壊れていて、ビックリしてる。
それでも、この戦艦から乗り換えのために造船してくれると言っていたから、今回は何も言わないけど、彼らの乗る艦はもう少し強度や使い方の内容を考えると、こちらもちょっと手を加えないとダメだろうな。
全てにおいて・・・か。
「あの、急に黙ってしまいましたが、他にどこか欠陥がありましたか?」
「ん?いやいや、大丈夫ちょっとこの後の工程を思い浮かべてただけ」
「そうでしたか、良かったです。完全に艦がダメというわけではないんですね?」
「んー、でもさすがにこのままずっとはマズそうだけど今回はそれでも大丈夫だと思うよ」
それに、早めにほかの開発部署の連中に連絡して確認してもらわないと、俺もエンジン以外は専門外になりつつあるからな。
それにしても、なんでこんな船体下部も傷がついてるんだ?しかも擦れた感じでなく、落ちた衝撃でへこんでいる後もあるし、これほどの勢いで落ちて凹んだんだとしたら、一体何やってんだ?
んー。装甲以外にも確認しないとマズいような気がする。オーバーホールはさすがに短期間ではできんしな。設備もココでは足りないし。
どうするか・・・
「長、長」
いや、ココはノリで長老とでもいえばよかったか・・・こないだ言った奴はトイレが住処になったとか聞いたし言わないほうがいいな。うん。
『どうした?まーくん』
まーくん。久しぶりに言われたよその呼び名。
「智也の艦なんですがね、あんまりいい状況じゃないんですよ。オーバーホールするにしても時間も無いしそれ以上にココでは設備の問題もありまして」
だって基本的にエンジンを主体にした開発部署だから、それ専門のドックだしな。
『そんなにひどいのか。なら当初の予定通り新造戦艦を・・・作るにしてもすぐには無理か』
無理無理。なにかんがえてるんですか、そんなの無理ですよ。
「ですね。彼らには彼らの道が有るのでココで立ち止まる時間が惜しいと思いますよ。我々の道も停滞しますしね」
というか、彼らにかまけてると溢れ出るアイデアで開発が追いつかなくなりそう。
『各開発部署に即刻連絡を回した方がいいと、思って連絡をしたな?』
バレてるや。
「まぁそうなりますが、我々では外装はもとより内装の装甲までは手が出ませんよ。あの装甲システムでさえ、本採用されなかったとはいってもハイグレード仕様のワンオフシステムなんですから」
あんな機構をよく思いついたなと尊敬するよ。
『そうだな。わかった、今すぐ連絡をしてどうにかしてもらう。今わかるだけの情報を獲得しておいてくれ。追加で調査するよりある程度大まかでも分かっている方が段取りもしやすいからな』
確かに、あんな巨大な戦艦を一から確認する方が時間が掛かるか。今のうちに見ておいて今回触らなくていい所を選別しておいた方がいいだろうな。
「さすが長。すぐにやっておきます!」
『たのんだ。儂もさっそく連絡してくる。それと長じゃない、班長と呼べといつも言ってるだろ!マー君』
ヤバい。バレてた!!
「す、すいませんでした」
謝っとく。速攻で。今後開発できたとしてもストレスがたまる場所なんて嫌だだから。
。。。。。
・・・・・
、、、、、、
なにしてるかって?
きまってるだろ?