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「情報ですか?」
「えぇ、そうです。シュトロネハイムを過ぎて、ドワーフの星系に向かう進行方向に小惑星帯が有るかと思いますが、そのうちのどれかに、宇宙物質が常に固まる不思議な小惑星があるんです。それを採取して、ドワーフ工房のどこかに持ち込むと驚くほど好意的な対応になるそうですよ」
驚き、ですか。智也に聞いてみない事には何とも、だな。
「ありがとうございます」
「では自分も中に戻ります。お客さまは、お入りには?」
「大丈夫です。外で待ってます」
「そうですか。では、これにて。 今回は誠にありがとうございました」
そういって店主は、店の中に引っ込んだ。
オレはどうして外に居たいといったかって?外のベンチに座って往来を観察するだけでもココは居心地がいいんだ。
なんてったって、獣人種が住んでる星だ。シチューほど特定の種族にこだわりはないが、どっちかっていうと、俺は犬派か狼派なんだよな。
それでも、こう、何というのだろうな。若い女の子を見るのは目の保養になるけど、おっさんケモミミは誰得だ?って感じだよな。毎回そう思うわ。昔、一回だけ口にしたら、オッサンケモミミは、意外と需要があるそうだ。誰がとは言わんが。
そんな、往来を観察していたら、時間がだいぶたっていて、Drナグタ達が出てきたときには、夕方だったりする。
まぁ、その間に、出前を頼ませてもらって、外のベンチで食べてたけど、いいな、あの尻尾といい、ケモミミといい。
確かに、シチューのような変態だったら、引かれること必須だけど、たまに、汚物を見るような目で見てくる姉さんは勘弁してくれ。俺にそっちの趣味は無い。
「さぁ、戻りますか?京殿」
「ですね、ナーさん」
「やはり、酒は偉大なんですね」
この二人、仲良くなっているな。確実に。
ところ変わって、智也は現在何をしているかというと・・・・
「久しぶりだな、ベリル、ハーマン」
「久しぶり」
「っす」
「どうしたんだ?あの授業の時はもっと態度がデカかったと思ったんだが?」
「そりゃ、俺たちの部隊はシュトロネハイム惑星の大陸一つを警護する任務に就いてはいるけど、智也大隊長に比べると、部隊の格が違うし」
「あの時部隊説明会に今の上官もいてて、智也が特務大隊の大隊長だって一発で気づいて、今日会うなら失礼のないようにって、厳命された」
「ハハハ、りょーかい。まぁ、プライベートだから、今は良いよ。言葉戻しなよ」
「いいんですか?」
「いいん」
「いいの、いいの。かたっ苦しい。早く戻せよ。命令にして、プライベート云々言わせないようにしようか?」
「イヤイヤ、それはやめて!」
「それはちょっと勘弁してくれ!」
「ハハハハ。そっかそっかなら、許してやるよ。それより、近況聞かしてくれよ。最近、面白いことがあったとか、変わったこととか?」
「・・・・言っていいのかな?」
「オフレコならいいのかな?」
「もしかして、例の拘束案件か?」
「あぁ、何か知ってるのか?」
「俺の部隊は不正してない潔癖軍人ばかりだったらしいけど、よその部隊には数名出たと話に聞いたぞ」
「その案件の発端はうちの部隊が出所だな。通報して監査部動かした」
「監査部・・・」
「どうやって動かすんだよ。証拠が無いと、動かないだろ。あそこは特に証拠が無いと数人派遣して終わりとか聞くし」
「まぁ、ベリルの放心はほっとくとして、ハーマンの話には噂が混じってるから、ちゃんと正すとだな、正確には少数精鋭で派遣され、しっかりと裏付けがなされると本部か支部が動くようになっているんだ。ちなみに今回は、うちの部隊に出向中?いや、一時的に移動扱いの元監査部の人間が居たから、即執行出来る状況が整っただけだ。
それにな・・・」
「「?」」
「裏で行われていたことを調べると、出るわ出るわの大量の埃。最悪な展開だったから、本部が、速攻で対応する異例の速さで行ったらしいからな」
「それで、大荒れだったんだ」
「これで、部隊に欠員が出た理由が分かった。大量の逮捕者が出たということか。そして、今回急な交流会の取り決めもちょっとわかった気がするんだが」
「まぁ、なんていうか、現状中がどうなってるのかわからんから、現場の意見というか、話を聞きたいと思って呼んだ、が一番大きな理由かもな。それと元クラスメイトとしての顔も見ておきたかったし」
「急なツンデレはいらない」
「男のツンデレは誰得状態」
「ツンデレは女性に限るな」
「『それな。
ハハハハハ』」
「意見が初めてあった気がするぞ」
「確かに、俺と、ベリルと智也の3人の意見が合うとか初めてじゃね?」
「確かに」
こんな風に楽しい学園生活を送ってみたかったな。まぁ、有紗が居たから、俺は特に気にしてないけど。
「っと。部隊に出動命令が来たらしいからそろそろ行くわ」
「マジか、じゃぁな智也。また卒業式で会おうぜ。その時はもうちょっとりっぱになるつもりだから、評価してくれ」
「おう、任せろ。しっかりと査定してやるよ」
「じゃー行くぜ」
「じゃーなー」
そういって二人は、ちょっと小走りで戻っていった。
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