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第四十八話 アリスと対決

 春近は校舎の屋上で、景色を眺めながら考え事をしていた。


「残る特級指定の転生者は百鬼アリスさんだけか――――」


 しかし困った……

 百鬼さんには最初から嫌われてるみたいだし、先日の空き教室での件を見られてから更に避けられている気がする。

 あれは、事情を知らない百鬼さんから見たら、大人しい忍さんに無理やりコスプレさせて変なプレイを要求していたように見えなくもないような?


「困ったな……」

「何がぁ?」

「うわあっ!」


 突然、後ろから声がして抱きつかれた。ぷにっと、背中に柔らかい感触がする。


「はるっち、なんか悩んでんの?」


 声の主は、あいちゃんこと羅刹あいだ。

 ちょっとスキンシップが激しい黒ギャルっぽい子である。


 あいが春近の首に腕を回し、大きな胸で顔を包み込んでくる。

 相変わらず、柔らかくてムチムチしていて、このまま溺れたいような感覚にされてしまう。


「い、いかん、いかん……」

 気を取り直して少し体を離した。


「ちょっと、最後の特級指定されている女子の事で……」

 少し避けられていると事情を話した。


「そんなの簡単だよ。こうやって、むぎゅーって抱きつけば、仲良くなれるよ」

 そう、あいは言う。

 それはあいちゃんしかできない方法だろう。


「それ、オレがやると犯罪になりそうなんだけど?」

「でも、はるっちならすぐ仲良くなれそうな気がする。うちらもそうだったし」


 あいに言われ、春近は少し考える。


 鬼寄せスキルのせいなのか何なのか分からないけど、あいちゃんや渚様はグイグイきてくれたんだよな。

 いや、鬼寄せというより、鬼とか関係なくヤンチャな女子が勝手に俺に近寄ってくる気もするけど……

 しかし、百鬼さんは避けられているうえに、不思議な呪力があるので難しい気がするぞ。



「そういえば聞いたよ。C組の子と変態なコトしたんだって?」

 ニマァっとエッチな顔になるあい。


 まずい……この流れは……しかし、流されてばかりいてはダメだ! ここはキッパリと断らないと!

「ご、誤解だよ。そんな変態なことなんて。学園内で破廉恥なんてダメに決まって――」


 そんな戦法があいちゃんに通じるわけもなく。


「はるっちナマイキ! うちに勝てるとでも思ってんのぉ」

 強引に押し倒され密着される。


 ダメでしたー!

「うわあっ、ちょ、ちょっと待った! 胸が当たってるから! ダメだって!」

「ふふっ、強がっちゃって、はるっちカワイイ~」


 少しは男らしくキッパリ断ろうとしたが、一枚も二枚も上手なあいに簡単にやり込められてしまう。

 忍ほどではないが、力が強く腕力では歯向かえそうにない。


「ねぇ、どんな事したの?」

「言えない……」

「ふぅ~ん、言わないなら……」


 しまった! このパターンは……


「あいちゃんスペシャルだよ、はるっち」


 両足で完全に春近をロックしたまま、あちこちキスしたり指先で色々といじくってくる。

 その超絶テクニックで攻められて、限界寸前まで追い込まれてからじらされる。


「ほらぁ、言わないとこうだぞぉ」

「うわああああっ!」


 ムチッとした柔らかなカラダで抱きつかれるだけでも凄いのに、舌や指先でチロチロと色々なところを刺激してくるのだからたまらない。


「うううっ! もう、無理! 助けて~!」


「むぅ~言わないのかぁ。じゃあ、うちが勝手にやってみるね。はるっちが好きなのはぁ。こういうのかな?」


 一旦両足でのロックを解いたあいは、向きを変えてくしゅくしゅのルーズソックスの足を春近の顔の方に持ってくる。


「ちょっと……これ、もしかして」

「えいっ!」

「むはあぁ! ふがっ、んんん~」


 そのまま顔に足を乗せた。

 モワッと履き込んだルーズソックスの臭いが押し寄せる。


「ちょっ、臭っ! いや、臭いとか女子に言っちゃダメだけど……臭っ!」

「うちのルーズ、超臭いっしょぉ。あんま洗濯してないし」

「それは洗濯してよ! もがっ、ごもっ、んはぁ~」

「むふふぅ、エイっ、エイっ」


 かなりくたびれたルーズを、エイエイと顔に押し付けてくるあい。

 こんなのフェチじゃなくてもたまらない。


「ちょ、待てっ、やめれぇ~」

「だってぇ~ はるっちが、こーいうの好きかと思って。わざと洗ってないのはいてきたのに~」

「いやいやいや! 靴下は洗いましょうよって、もがっ~くっ、んんんっ~」



 こんなことをしていて、またアリスに見られたらどうしようと思っていると、偶然は重なるもので――


 ガチャ!

 屋上に繋がる扉が開き、百鬼アリスが顔を出した。


「あっ……」

「あっ……」


 またしても変な場面を見られてしまい、春近もアリスも固まってしまう。


 また見られてしまったぁぁぁー!

 何でいつも最悪のタイミングで現れるんだぁぁー!


「うっ……またですか! しかも、また変態プレイを!」


「違うんだ! これには訳が……んはぁ……好きでやってるのではなく……んんん~! てか、あいちゃん止めて……」


 春近の顔をフミフミしているうちに、あいが更にテンション上げてしまう。更にノリノリで臭っさいルーズを押し付けてくる。


 もうおしまいだー! 完全に嫌われてしまう――――


 春近がそう思った次の瞬間、拘束を解いたあいが一瞬で百鬼アリスの後ろに回り彼女を捕まえてしまう。


 シュタッ! ガシッ!

 両脇から抱えられ、小柄なアリスは足が宙に浮いてしまった。


「はるっちー この子、捕まえたからイタズラして良いよぉ」

「こらっ、放すのです!」


 小柄なアリスは足がブラブラ浮いたままバタバタしている。


「ほらほらぁ、はるっちぃ。今なら触り放題だよ~」

「いや、触ったらダメでしょ」


 触ったらダメだけど、せっかくだからこのまま誤解を解かないと。


「百鬼さん、これは誤解なんだよ。これは、オレが強要しているわけではなく……」

「知ってます。あなたのようなヘタレ男が、超強い鬼の少女に強要出来るわけ無いです!」


 ううっ、酷い言われようなんだけど、その通りなので反論できない……


「きゃははっ、はるっちは女子にちょー弱いけど、ヘタレじゃないよ。あと、可愛いし」

「あなたの趣味はどうでもいいです。それより放すです」


 カァーカァーカァー べちょ!

 その時、不意に空を飛んでいたカラスが糞をして、あいの頭に命中した。


「えっ………………」

 頭に糞を乗せたまま固まるあい。


「きゃぁぁ! フンが! フンが!」


 叫んだあいはアリスを残し校舎内に走って行ってしまった。

 その場に春近とアリスだけが残される――――



「あの、百鬼さん」


「ち、近寄らないで! たとえあなたが鬼を淫乱にする能力を持っていても、わたしには掛からないですよ!」


「えっ……?」


 二人の間に少しの沈黙が流れる――――


「えっ、違うのですか?」


「違うよ! 鬼寄せという鬼を寄せ付ける能力はあるみたいだけど、淫乱にする能力なんて無いよ!」


「では、何でみんな淫乱になっているですか?」


「それは……何でだろ?」

 

 ルリたちが元からエッチだからだよ……と言いそうになるが黙っていた。


 ガチャン!

「助っ人連れてきたよー 第二ラウンドスタートっ!」


 その時、髪が水でビチャビチャに濡れたあいが再び登場した。

 水道で頭を洗ったのだろうか?

 そして、あいの後ろから、とんでもない助っ人が現れる。


「春近! あんたまた新しい女を!」


 不機嫌そうな顔をした渚が現れた。

 ここにきて渚女王の登場。

 益々事態が悪化しそうな予感しかしない――――



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