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陰陽学園の鬼神嫁 ~十二天将の力を全て手に入れたら、愛が激しい美少女たちと永遠になる物語~  作者: みなもと十華@姉喰い勇者2発売中
第一章 鬼の少女達

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第四十話 嫉妬とトラウマ

 あれから春近と忍は、挨拶を交わしたり少しずつ話すようになった。

 最初の頃は話しが進まなかったが。最近では少しずつ慣れているようだ。

 春近は、彼女に自信を持ってもらえるようになれば良いのにと思っていた。



「ちょっと、春近! あたしと歩いてるのに、何でボーっとしてんのよ!」


 隣で渚に腕を引っ張られる。

 考え事をしながら廊下を歩いていたら、渚が隣にきて腕を組んで密着したのだ。


「あの、渚様……そんなにくっつかれると歩きにくいのですが」

「はぁ!? あたしと一緒に歩ける事を感謝しなさいよ!」


 阿久良忍に、渚様の百分の一くらいでも自信を分けてあげたいなどと思う春近だった。


「ちょっと、こっちに来なさい!」


 突然、春近は渚に腕を引っ張られ、階段横の隅に連れ込まれる。

 そのまま壁に押し付けられ、逃げられないように塞がれた。


 ダァァーン!

 渚は手を壁に突き、いわゆる壁ドンの体勢になった。

 彼女の美しく鋭い目で見つめられる。


 普通逆ではないだろうか。


「逃がさないわよ!」

 興奮気味に上気した顔の渚は、はぁはぁと荒い息をし、獲物を狙うようなギラギラした目をして言った。


「ちょ、渚様? んんっ……」


 そのまま顔を近づけキスをしてきた。

「ちゅちゅっ……ちゅぱっ……んっ……ちゅ……」

 (むさぼ)るような激しいキスだ。

「ん……れろっ……ちゅる……れろっ……」

 舌を入れてきて絡めてくる。

「ちゅぱっ…………ふぅ……」


 ギラギラとした瞳で見つめたままくちびるを離す。


「はぁはぁ…… 春近! あんたはあたしのモノなんだから! 誰にも渡さない!」

「渚様……」


 少し死角になっているとはいえ、人通りの多い廊下だ。

 何人か生徒が通ったが、渚を恐れているのか皆見て見ぬふりをしていた。


「最近、C組の女子にちょっかい掛けてるそうじゃない」

「それは……」


 まさか、他の女子と仲良くしているから嫉妬しているとか……?

 まさかな?



 そう思う春近だが、実際に大嶽渚は嫉妬していた。


 独占欲の強い彼女は、春近が他の女と仲良くしているのを見ると、自分ではどうしようもない程のドロドロとした感情でいっぱいになる。

 この男の全てが欲しい、もうムチャクチャにしてしまいたい。

 出来る事なら、何処かに監禁して一生飼ってやりたい。

 そんな事まで考えてしまうほどに――――



「ふふっ、はむっ、ガジッ」

「うわあっ、な、渚様……」


 渚が春近の耳や首に噛みついてくる。

 まるで、この獲物は自分のものだから、誰にも渡さないと言わんばかりに。


「あたしは絶対に譲らない! 絶対に手に入れる! おぼえときなさい!」

「くっ、うう……」


 怖すぎる……

 オレへの扱いが少し優しくなったような気もするけど、時折見せるこの威圧的な言動には腰がすくむ思いだ。


 このままだと渚が暴走しそうで、春近は少し弁明しておく。


「ちょっかいとかは掛けてないないから。C組の転生者も仲間にしないとならないので」


「もう、面倒くさいわね! あたしがガツンと言ってやるわよ!」


「いや、それは止めて……阿久良さんは人見知りだから」

 渚様のようなクラスカーストトップみたいな女子とは相性悪そうだし……




 何度か阿久良忍と話したり相談に乗って春近は知ることになる。

 彼女は昔から体が大きく目立つので、男子からデカいとか巨人とか言われイジメられてきたそうだ。

 それがトラウマになって人付き合いが苦手になってしまったのだろう。

 この学園に入ってからも、クラスの男子にデカいとかキモいとか言われ孤立しているのだという。


 ――これは難しい問題だな。

 個人的に背が高いのも魅力の一つだと思うけど、それをコンプレックスにしている人に言っても逆効果になりそうだし。

 阿久良さんは、優しいし誰にでも親切だし、本当はとても好印象な人なのに。

 本当の阿久良さんを知れば――――


「こんな大きく生まれたくなかった……それに……鬼の呪力まであって……皆に嫌われて……」


「身長なんか気にしないで内面を観てくれる男だっていますよ。阿久良さんは、性格も優しくて気配りもあって良い人なんだから、好きになってくれる人も絶対いますよ」


「は、はい……」


 阿久良忍は思う――――――――

 この人は他の人と違って、悪口や暴言を言ってきたりしない。

 世の中の人が全員この人みたいに優しければ、こんなに傷つく事もなかったのに……




 そして、その数日後に事件は起きてしまうのだった――――



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