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陰陽学園の鬼神嫁 ~十二天将の力を全て手に入れたら、愛が激しい美少女たちと永遠になる物語~  作者: みなもと十華@姉喰い勇者2発売中
第一章 鬼の少女達

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第三十九話 つながり

 怯えているような阿久良忍を連れて、春近は生徒も少なくなった廊下を歩いている。

 少し話をしたいと誘って、付いてきてもらったのだ。


 阿久良忍は、身長が凄く高く180センチ以上はあるだろう。青みがかった髪をショートにして前髪が目にかかっていて表情がよく見えない。

 全体的にムッチリと肉付きが良いが、引き締まっていて太ってはいない。


 春近が感じた印象は好意的なものだった。

 前回会った時も感じていた。悪い人には見えないし気が弱くて大人しそうなイメージだ。

 特級指定されている鬼の転生者という話だが、良い人に見えることはあれど危険な人には全く見えない。


「あの、初めまして、土御門春近です」

「――――阿久良忍(あくらしのぶ)です……」


 少し警戒されていると感じた春近が考える。


 何だか警戒されているみたいだな……。

 もしかして、あの噂が原因で怖がってるのかな?


「あの、もしかしてオレの噂を聞いてます?」

「あっ、その……ハーレム王……」


 やっぱりそうだったかぁ!


「それ、デマですよ。女の子を無理やりとか絶対無いですから」

「はい……その……分かります。女の子に酷い事をする人には見えないから……」

「良かった……」


 ――良かった、噂は信じていないようだ。

 でも、何か警戒されてるというか、怖がっているように見える。


「でも……」

 遠慮気味に忍が話し始めた。


「はい?」

「あの、ハーレム……」

「えっ?」


 ――あ、ハーレム状態なのは事実だから、それを言いたいのかな?

「その……ルリ……酒吞さん達から好かれているのは本当なんだけど」


 少し弁明する春近だ。いきなりハーレム王では印象が悪すぎる。


「そうですか……」

「はい……」


 ――やっぱり警戒されているのかな?

 お互いにコミュ力が低そうなので、会話が続かないし……


 もう、本題に行くしかないか……


「鬼の転生者の事でルリと関わって、それから皆と仲良くなったんだけど」

「そ、それで私に……」

「阿久良さんも一緒にどうかと思って」

「――――えっと……」

「羅刹さんとか大嶽さんとか、他にも仲間が居るからどうかな?」


 阿久良忍は、少し考えた後で答える。

「いえ、私なんかが仲間になんて……皆さん迷惑だろうし……」


 忍は卑屈(ひくつ)になってしまっているようだ。

 何かの原因で自信を失っているのだろう。

 春近は、彼女がいつも一人でいるのを思い出す。

 クラスで孤立しているのかと。


「あの、“私なんか”なんて言っちゃダメですよ。もっと自信を持って……」

「……」

「えっと、その……」


 どうしよう……困ったな……


「一度遊びに来るとか?」

「――――あの……あんなキラキラした女子の集まりは苦手なので……」

「阿久良さん……」


 そうか、元々陰キャだったオレなら分かる。

 孤立して自信を失っている人からしたら、皆でワイワイ騒いでいる集団に入って行くのは勇気のいる事だ。


 それに、陰キャとか決めつけられるけど、最初はほんの些細(ささい)な事が原因で、誰でもそうなってしまう事もある。

 最初のデビューに失敗したり、第一印象だったり、上手く輪に入っていけなかったり、ほんの些細な違いで弾かれてしまう。

 集団が固定化されてしまったら、コミュ力の低い人がその中に入って行くのはとても難しい事だ。


 だから、休み時間にゲームをしたり寝たふりをしたり……

 そして、笑われたりハブられたりしているのじゃないかと思い込み、ますます負のスパイラルに入っていってしまうんだ。

 前まではオレもそうだった……クラスで騒いでいるやつらとは関わろうなんて思わなかったし……


 中には一人が好きっていう人も居るかもしれないけど……

 でも、誰だって一人ぼっちにはなりたくないはずなんだ。

 阿久良さんも、集団から弾かれて……自信を失って……だとしたら……



「……」

「あの、また阿久良さんと話しても良いかな?」

「えっ……」

「皆で遊ぶとかは関係無く、また阿久良さんと話したいから」

「は、はい……」



 忍と別れて廊下を歩きながら春近は考える――――


 やっぱり、阿久良さんは悪い人じゃなかった。

 優しかったり周りに気を遣う人だから、人間関係で悩んでしまうんだと思う。

 どうにかならないかな……



 春近は、鬼の力を持つ少女の攻略ではなく、少しでも彼女の力になりたいと思った。


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