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陰陽学園の鬼神嫁 ~十二天将の力を全て手に入れたら、愛が激しい美少女たちと永遠になる物語~  作者: みなもと十華@姉喰い勇者2発売中
第十章 エピローグ~楽園の鬼神王~

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第二百七十五話 スローライフしたいだけなのに、結婚式が世界的規模になってしまう鬼神王

 世界最強の艦隊を、いとも容易く壊滅させてしまった鬼神少女たち。もはや世界最強とは彼女たちのことかもしれない。


「ハルぅ、頑張ったよ。褒めてぇ~っ!」


 再び空間支配で足元を固定し、階段のように空中を歩いて飛行艇までやってくるルリ。

 他の子のように頭を向けてナデナデを所望する。


「えっと……米軍の皆さんは無事なのだろうか?」


 呆然とする春近が、誰に言うともなく聞いてみた。


「だ、大丈夫だよ。私、手加減したし」


 ルリはそう言うが、春近は半信半疑だ。


「わたしの予感ですが……渚の強制の呪力による避難と、わたしの因果律変動で死者はいない気がするです」


 アリスが答えてくれた。


「な、なら、作戦は成功なのか。よ、よかったぁ……被害者が出なくて。オレたちのせいで日米同盟がぶっ壊れたかと心配したよ」


「ハルぅ~っ、早くなでなでしてっ!」

「うっ、えっと……ルリ、えらいえらい」


 ナデナデナデ――

 春近がルリの頭を撫でると、ルリがごろごろと猫のようになる。セクシーなルリがやると、可愛いけどちょっとエッチだ。


「ふにゃ~ぁ、ハルぅ~」


 ルリを抱っこしてナデナデしながら、春近が他の彼女たちに指示をする。


「杏子、陰陽庁に通信はできる?」


「はい、この謎の未来技術の粋を極めた銀河閃光鬼神殿ギャラクティックパンデモニウムなら容易いことであります。お任せを」


 ちょっとご都合展開だが任せることにした。


「とりあえず、様子を見にイージス艦に向かおう」

「了解!」



 ギュイィィィィィィーン!

 春近たちを乗せた飛行艇は、アバドーン級ミサイル駆逐艦バルンバドの甲板に着艦した。


 八隻の軍艦はベコベコのボッコボコになり完全に機関停止しながらも、沈没はせず海の上を漂っている。

 ルリの大規模な空間振で団子状態にされ、各艦がくっついて離れないようだ。


「あの、大丈夫ですか?」

 とりあえず春近が叫んでみた。


 暫くすると、扉が開いて艦内から乗組員がちらほらと現れた。誰もが信じられないような顔をして、オロオロと天を見上げたり祈るようなジェスチャーをしている。


「Oh, Japanese KISHIN Girl!」

「Unbelievable」

 ガヤガヤガヤガヤ――――


「えっと、英語分かんないぞ」

「春近、あんた学校で習ったでしょ」

「なら、渚様が通訳してくださいよ」

「あ、あたしは良いのよっ!」

「えええ……」


 春近と渚が夫婦漫才をやっていると、米軍の中から一人の男が近付いてきた。


「皆サン、ありがとうございます。暴走した我が艦を止めてくれて感謝シマス」


「あっ、日本語が話せるんだ。どうもです」


 春近が対応する。


「ワタシは、アメリカ太平洋艦隊|特殊任務人工知能突撃部隊タスクフォースイータ第701駆逐戦隊司令官ジョーンズ大佐デス」


「これはどうも、鬼神王春近です」


 先方が中二心をくすぐる肩書なので、ちょっと張り合って鬼神王を強調してしまう春近だ。


「本当に助かりました。人工知能自動制御防衛システムが完全に制御を失い、最後は自爆プログラムを起動してしまったのデス」


「物騒過ぎる! 何で自爆機能が付いてんの」


「もし、この艦隊が敵の手に落ちた時に、敵諸共自爆して機密情報と革新技術の漏洩を防ぐ為デス」


「何だか映画みたいだ……」


「ともかく、アナタ方は艦隊約2700人の人命を救ったのです。我らアメリカ海軍は、アナタ方に最高の礼を尽くす所存デス」


 ジョーンズは帽子を取り敬意を示す。


「そ、それは良かったです」

「アナタ方に神の加護が……いや、鬼神の加護でしたかな」


 そう言って、ジョーンズ大佐は戻って行った。


 ――――――――




 この日、(にわ)かには信じられない事態が起こり、世界中の首脳や軍関係者に激震が走ることになった。あの世界最強の海軍であるアメリカ太平洋艦隊の中でも最新鋭の駆逐戦隊が、日本の鬼神と呼ばれる少女たちによって壊滅させられたのだ。


 このニュースは世界の軍事バランスを崩し、それまでの国際秩序を一変させる大事件なのだ。



 ワシントンDC――――


「いったいどういうことだ!」

 ダンッ!


 体格の良い男がデスクを叩いて立ち上がる。

 アメリカ大統領のレナード・トレントである。


「ですから、我が国の太平洋艦隊主力部隊が壊滅しました」


 国防長官から報告を受けているのだが、信じられないといった感じの顔をする。


「バカな……日本は密かに特殊兵器の開発に成功していたのか……」


「いえ、我が軍のAI艦隊が暴走した件です。日本政府がKISHINと呼ばれる特殊能力を持つ少女に依頼し、我が国の兵を救助したとのことです」


 国防長官の説明を受け、トレントはやっと納得したようだ。


「ぐぬぬ……我が国の兵を救ったのには感謝せねばならんが、こうも簡単に最新鋭艦隊を潰されたとあっては、国の沽券(こけん)にかかわる由々しき事態だぞ」


「はい……」


「そのもそも、そのKISHINとは何者だ。我らに敵対するのか見極めねばならぬ」


「それが……昨年の小惑星落下の危機を防いだ少女たちです。飛来する小惑星を撃ち落としたという……」


「な、ななな……あ、あの、『星を穿つ者』と呼ばれるデーモンか……。あれはデマではなかったのか。今すぐ日本に行く! すぐに日本の首相と会談だ!」


 緊急に日米会談が実現した。

 春近たちが世界中の首脳を動かしてしまったのだ。アメリカに続き、世界各国の首脳が、続々と首脳会談の申し入れを行う事態になってしまう。


 ――――――――




 ギュイィィィィィィーン!

 春近たちを乗せた飛行船が鬼ヶ島に着陸する。

 現場にはアメリカ軍の救援が現れたので、全て任せて帰ってきたのだ。春近たちが甲板を飛び立つ時は、全員から敬礼を受けることになってしまった。


 高価なイージス艦を八隻も壊してしまったのは不可抗力なので、大目に見て欲しいところだろう。


 あのまま東京湾にでも突っ込まれたら大惨事だろうし、乗組員のアメリカ兵を無事に救出できたのだから大成功と言っても差し支えないはずだ。


「ふうっ、無事に戻って来れて良かったぜ」


 春近が港に降りて一息つこうとしていると、街の方から血相を変えた明美がやって来るのが見えた。


「た、た、大変よぉ~っ!」

「明美さん、どうしたんですか? 赤ちゃん生まれたんですか?」


 すっとぼけた春近のセリフに、明美がマジツッコミをする。


「そんなに早く生まれるわけないでしょ! バカなの!」


「冗談なのに……そんなにマジにならなくても。せっかく暴走した艦隊を止めてきたのに」


「まあ、艦隊を止めたのはご苦労様。それより大変なのよ!」


「何があったんですか?」


「それが……今回の件のついでに、あなたたちの結婚の話を首相に伝えてもらったんだけど、何故かアメリカ大統領が結婚式に参列することになっちゃったのよ!」


「「「ええええぇぇぇぇーっ!」」」


 春近と彼女たち全員が同時に驚きの声を上げる。


「な、何がどうして、そんな話に……」


 呆然とする春近に、明美が説明する。


「今回のアメリカ艦隊を壊した話が大統領の耳に入ってね。最強だったはずの軍があっけなく負けたことで、現状であなたたちは地球上最大の脅威になってしまったわけ」


「ううっ、オレは島でスローライフがしたいだけなのに……」


「仕方がないわね。核兵器を超える脅威。世界最大の軍事力。地球を滅ぼしかねない力。あなたたちは、いまや世界各国から注目されているの。アメリカ大統領が、首相に会談を申し入れたそうよ。同盟と友好関係を再確認したいと」


 最新鋭駆逐艦も巡航ミサイルも全く効かない世界最大の脅威が鬼ヶ島に存在するのだ。観光目的でミニ独立国などと呼んでいるものの、今や世界から見て鬼ヶ島と鬼神王は誰もが恐れる存在なのだ。是が非でも和平を結びたい相手となっていた。


「う~ん、とりあえず、寮に帰ってアニメでも観よう」


 春近は、面倒くさくなってスルーすることにした。


「春近君! どうするのよ」


「いや、どうしようもないし。結婚式も日本政府が取り計らってくれるみたいだし、大統領は島の名産品や日本料理を食べて帰ってもらえば良いでしょ」


「そうそう、ご飯をいっぱい食べれば解決だよね」


 春近の話に、ルリも賛同している。


「ルリさんや、大統領をボコボコにしちゃダメだよ」

「しないよぉ。ハルの持ってる格闘技漫画じゃあるまいし」


 アニメや漫画の話をしながら帰って行く春近たちを見つめ、ノリに付いてゆけない明美が呟く。


「ううっ、こんないい加減な淫獣が世界最大の脅威とか信じられないわ……」


 一緒に行動を共にしてきた明美にとって、春近たちはエッチなことばかりしている若者にしか見えない。とても世界を転覆するような脅威とは思えないのだから。


 ――――――――




 特例により、ハーレム結婚式の日取りも決まりアメリカ大統領の来日も迫ったある日、突如として朗報が舞い込んで来た。


「ごごご、御主人様! じゃなかった、春近君!」


 慌てふためく杏子が、春近の部屋に飛び込んできた。


「杏子?」

「たたた、大変です!」

「どうしたの? 次は美少女の潜水艦隊でも攻めて来たの?」

「それは艦隊ガールズコラボレーションであります!」


 話が二次元に行ってしまうのは、オタクな恋人同士ならではだ。


「そうじゃなくて、受賞したんですよ」

「も、もしかして……月間デモンズの新人漫画賞!?」

「それです!」


 前に月刊誌の公募に出していた杏子の漫画が大賞を受賞した。

 密かにネット界では伝説の絵師と呼ばれていた三明剣杏華さんみょうけんきょうかこと鈴鹿杏子なのだ。遂に伝説の絵師が、プロの漫画家として表舞台に立つことになる。


「「やったぁぁぁぁ~っ!」」


 二人で手を取り合って喜んでいると、他の彼女たちまで集まってくる。


「ハル、どうしたの?」

「なに騒いでるのよ?」


 春近は、ざっとあらましを説明する。


「ルリ、渚様、杏子が凄いんだよ。杏子の描いた漫画が大賞を受賞したんだ。漫画家デビューなんだよ」


「えっ、杏子ちゃん漫画家さんになるの。凄いっ!」

「やったわね、杏子。おめでとう」


 ルリと渚も祝福する。


「ありがとうございます。ありがとうございます……ううっ、遂に私が……」


 嬉しさで泣き出した杏子の周りに、他の彼女たちも集まり祝福する。


「よし、今日はお祝いしよう!」

「「「賛成~っ!」」」


 世界各国首脳の動向もアメリカ大統領の来日も忘れて、杏子の漫画家デビューで盛り上がる春近たち。今日も鬼ヶ島は平和だ。


 世界中が最強の鬼神王と十二天将少女に怯えるなか、あくまでマイペースで世界征服にも富の独占にも興味が無い春近たち。そもそも隕石落下阻止の報奨金だけでも使いきれないくらいなのだから。


 そして、波乱のハーレム結婚式の日がやってくる。


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