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陰陽学園の鬼神嫁 ~十二天将の力を全て手に入れたら、愛が激しい美少女たちと永遠になる物語~  作者: みなもと十華@姉喰い勇者2発売中
第一章 鬼の少女達

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第二十五話 黒ギャル

「やはり、そうなりましたか」


 栞子が言う。

 翌朝の教室で栞子と話し合い、春近が最初に聞いた言葉だ。


「百鬼アリスさんには謎の呪力があり、これまで陰陽庁も手を焼いてきたのです。偶然が重なったり読みが全て外れて計画が失敗したり……。もしかしたら、彼女は運命を操る呪力があるのかもしれませんわ」


 そう栞子が説明した。


「それって最強クラスのチートスキルなのでは?」

「やはりそうなりますか……」

「会えないことには何もできないけど」


 困った顔をした春近に、栞子が別の提案をする。


「取り敢えず、百鬼さんは後にして他の女子と接触してみてはどうですか?」

「そうですね……」


 春近の頭に、阿久良忍の顔が思い浮かぶ。


(昨日ぶつかってしまった阿久良さんは、とても良い人そうだったな。こちらからぶつかってしまったのに、逆に申し訳なさそうにしていてオレを気遣ってもくれたし。阿久良さんと話してみようかな……)


「じゃあ、阿久良さんに――」

「ハぁぁルぅぅ」


 ぼよんっ!


 喋ろうとした春近の頭の上に、ルリが巨乳を乗せてくる。

 柔らかくて弾むような感覚だ。


「ハル、もうすぐゴールデンウィークだよ! 遊びに行こうよ!」

「うわぁぁ、乗せないでーっ!」

「行きたい! 行きたい! 行きたい!」


 たゆん、たゆん、たゆん!


 ルリの動きに連動して、頭に乗った重く柔らかい物体が、たゆんたゆんと動き春近を刺激する。

 このままでは、超破壊力のチチノセ攻撃で、春近の身体の一部分が大変なことになってしまいそうだ。


「良いですね。旅行とか……」


 何故か栞子が顔を寄せ、手を春近の下半身に伸ばしてくる。


「ちょっと、栞子さん! どさくさに紛れて何するんですか!」

「旅行に行って……初夜を共に……旦那様……」

「って、聞いちゃあいない」


 まるでヤンデレキャラのような顔をした栞子が暴走気味だ。


「ちょっと! するい! 私も!」


 ルリも負けじと春近の下半身に手を伸ばす。


「ダメだって!」


 春近は必死に下半身をガードする。教室内で、もしもの事があっては大問題だろう。

 破廉恥禁止である。


「耐えろ! 耐えるんだオレ!」

「耐えなくて良いよぉ、ハルぅ」

「むしろ突き進むのみですわ!」


 耐える春近に、二人の女子はグイグイ行く。

 困った二人だ。



 ◆ ◇ ◆



 昼休み――――


 春近は、校舎の屋上で一人、これまでのことを考えていた。

 教室ではルリたちのエチエチ密着が激しくて、全く考えが纏まらないのだ。

 隙を見ては屋上に向かったのだった。


「うーん、困ったな……」


(他のクラスの女子と仲良くなるといっても……どうしたら良いのか。この学園に入ってから、急に女子と話すようになったけど……。前までは陰キャだったんだよな。他のクラスの女子をナンパするような行為は苦手だし。どうしようか……)


 物思いに耽っている春近の後ろから、明るく元気な声がかけられた。


「あれ~キミ噂のハルチカ君じゃ~ん」

「えっ!」


 春近が振り向くと、そこには黒ギャルが立っていた。


 オレンジ色のハイライトが入ったふわふわした髪に、活力あふれるツヤツヤの褐色肌をした女子だ。

 制服の胸元を大きく開け、ムチッとした胸の谷間と派手なブラが丸見えに。同じくムチッとした脚が短いスカートから伸び、足元には少しくたびれたルーズソックスを履いている。



羅刹らせつあいさんだ! これは凄い偶然だぞ! いや、これも鬼寄せのスキルなのか?)


 春近は心の中で歓喜した。目当ての女子ではなかったが、同じ鬼の少女が向こうから来てくれたのだから。


 その羅刹あいだが、春近の目を見つめ、ギャル風の舌足らずな感じに話しかけてきた。


「キミ、凄い噂になってるよぉ」

「あ、あの、初めまして。土御門春近です」

「きゃはっ、まじめか!」


(笑われてしまった……)


 いきなり自己紹介した春近だが、話の腰を折ってしまいタイミングが悪かったようだ。


 その羅刹あいだが、制服の胸元が大きく開きすぎて、派手な色のブラや大きな胸の谷間が見えまくっている。

 そんな彼女の姿に、春近はチラチラと胸元に目が行ってしまうのだが。


「あっ、今、胸見たでしょ!」


 速攻でバレた。

 一瞬のチラ見を彼女は見逃さなかった。


「ご、ごめっ」

「さわりたい? おっぱいさわらせてあげよーか?」


 あいは胸元を広げて、おっぱいを向けてくる。


「あっ、そのっ、えっ……」

「うっそー! きゃははっ、キョドりすぎぃ~期待しちゃったー?」


 完全にからかわれている。


「ううっ、つい目が……ごめん」

「いいよいいよぉ。もっと見る?」

「え、ええっ……」

「うっそぉ! 冗談冗談」

「あ、あの、何か用ですか?」

「何ってぇ、噂の男子が、どんな子なのか見にきたの」


 そう言って、あいは春近の隣にきてイタズラっぽい感じの目を向ける。


「ねえ、はるっちはさぁ……」


 いきなりあだ名呼びだ。


「酒吞瑠璃と付き合ってんの?」

「ええええっ?」


(な、なな、何を突然! ど、どうなんだろ? 傍から見れば付き合っているように見えるだろうけど、咲からも告白されているので、不用意なことは言えないし……)


 春近が返答に困っていると、あいはとんでもないことを言い出した。


「あっ、四股だったっけ?」

「ええっ! そ、それは……何というか」

「ねぇ、はるっちぃ……」


 あいは春近の首に腕を回して体を引き寄せた。大きく開いたあいの胸元から魅力的な褐色の肌が見え、プニッと胸が顔にあたる。


「ちょぉーと、おっぱい見過ぎでしょー」

「ああ、また見てしまったぁ」

「きゃはっ、チラ見じゃなくガン見だよぉ」

「近い、近いですよ! そんなにしたら見ちゃいますって」


 最初に春近が資料の写真を見た印象は、苦手そうな黒ギャルといった感じだった。だが、実際に話してみるとフレンドリーで良い人そうに見えてくる。

 しかもエロい。


(こ、これは、もしや、二次元にしか存在しない『オタクに優しいギャル』なのでは――? いや、そんなギャルは二次元にしか存在しないはず)


 春近は自分で自分にツッコみを入れた。


 グイッ!

 あいの腕に力が入り、春近の顔が更に抱き寄せられる。


「はるっちはさぁ、酒吞瑠璃が鬼だって知ってんでしょ?」


 ギャルにばかり気をとられていた春近だが、突然、彼女から核心を突く一言が発せられる。

 それは、ふざけて絡まれエッチになった気分を、一気に現実に引き戻す一言だった。



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