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陰陽学園の鬼神嫁 ~十二天将の力を全て手に入れたら、愛が激しい美少女たちと永遠になる物語~  作者: みなもと十華@姉喰い勇者2発売中
第一章 鬼の少女達

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第十四話 決戦

 作戦当日となった。

 

 陰陽庁の立案した作戦概要は簡単である。

 放課後になったら、四天王の一人である卜部桜花が酒吞瑠璃を誘い出し、待ち伏せしている四天王全員で捕縛するという内容だ。


 人間側は団結しているのに対し、鬼側は同じ特級指定されている他の鬼とは交流も無くバラバラであり、捕縛は容易と判断したのだろう。

 そして、最強とされている酒吞童子の転生者であるルリが最初の標的にされていた。



 そんな陰謀など知らないルリは、今日も教室に入るなり春近のところに寄ってくる。


「ハル、おはよー」


 今日も激しいルリのスキンシップで密着される春近だ。


 普段なら恥ずかしがって離れる春近だが、今日は密着したままルリの耳元に顔を寄せた。


「ルリ、逃げて。放課後に狙われてる」


 と、そっとささやいた。


「ふ~ん……そうなんだ」

「危険だよ。逃げて、ルリ」


(ルリに悲しい目に遭って欲しくない。とにかく逃げてしまえば……後のことはそれから考えよう)


 春近の心配とは正反対に、ルリの顔は余裕に満ち溢れていた。


「大丈夫! たぶん、楽勝だから」


 ルリは、ちょっとコンビニに行こうくらいの軽い感じで答える。

 そんなに余裕があるというのだろうか。


「でも……相手は頼光四天王だよ」


 ルリは指を春近の唇に当てる。


「ありがと、私は大丈夫だから、ハルは咲ちゃんを連れて安全な場所まで離れていて」

「ルリ……」

「ふふっ、心配してくれてありがとね。ハル」


 ルリの瞳が揺れた。複雑な心境によって。

 そんな二人を見ていた咲が、さっきからソワソワしているのだが。


「ちょっと! いつまでくっついてんだよ! 離れろ!」


 咲が不満そうな顔で春近を睨んでいる。本人も嫉妬だと気付かぬままに。




 カタッ!


 ルリは自分の席に付いてから思案する


 頼光だか四天王だか知らないが、蹴散らすのは簡単だ。直接自分を狙ってくれるのは都合が良い。

 むしろ、先日のように、友達に手を出されるのが一番困る……と。


(そう……先日の……)


 一瞬、ルリの脳裏に暗い感情がぎる。


 もう、いっその事、目障りな連中を一網打尽いちもうだじんにぶっ潰してしまえば清々しそうだ。

 しかし、そんなことをしたら自分の状況が更に悪化してしまう。


(どうしよう……面倒くさいな……)



 ◆ ◇ ◆



 放課後――――


 ルリは、用事があるからと咲に告げ、一目散に教室を飛び出して行く。


「咲ちゃんはハルと先に帰っててねー」

「お、おい、ルリ!」


 茫然とルリを見送った咲が一人残された。

 春近は、ルリとの約束通り咲を誘って帰ろうとするのだが――


 咲と寮まで歩きながらも、春近はルリが気になってしかたがない。


(来るなと言われたけど……でも、見過ごせない。たとえ役に立たなかったとしても、ルリを助けたい)


「じゃーな、ハル」

「うん、またね咲」


 咲が寮に入るのを確認してから、春近は道を引き返した。



 ◆ ◇ ◆



 卜部(うらべ)桜花おうかは極限の緊張感の中にいた。

 普段は機嫌が良さそうにしている酒吞瑠璃が、今はあからさまに不機嫌な顔をして自分の後をついてくるのだから。


 陰陽庁から特級指定妖魔に認定されている鬼である。つまり最強クラスだ。

 もし、この鬼が暴れ出したら自分一人では対処できないのではと考えていた。


 ピリピリしている桜花とは裏腹に、ルリの方は緊張感の欠片もない。


「まだぁ~?」

「もう少しだ……」

「もうっ、めんどくさぁ」

「黙ってついてくるんだ」


 校舎を出て人気ひとけのない裏庭に入る。すると屈強な肉体をした三人の男が立っているのが見えた。


 三人とも人間離れした体つきだ。

 一人は身長2メートルはある筋肉の塊、一人は横綱のような巨漢、もう一人は空手の有段者のような立ち姿の男。


「よく来てくれた!」


 正面に立つ渡辺豪が言う。そして左右に坂田金之助と碓井宝泉が立っている。


「我ら頼光四天王がお相手いたす! 四人がかりで卑怯ひきょうだと思われるかもしれないが許してくれ!」


 ルリは周囲に視線を動かした。


(頼光が居ない……)


 ルリが辺りを探ったが気配は無い。

 温存しているのか、最初から戦力に入っていないのか。


(まあ、良いか……あの子、弱いし……)


 ルリは視線を戻した。


 四天王が戦闘態勢をとるのと対照的に、ルリは心底面倒くさそうな顔をして普通に立っているだけである。


 四天王側が誤算だったのは、この時すでに勝敗は決していたことだ。

 彼らは直後に圧倒的な力の差を思い知るのだった。



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