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陰陽学園の鬼神嫁 ~十二天将の力を全て手に入れたら、愛が激しい美少女たちと永遠になる物語~  作者: みなもと十華@姉喰い勇者2発売中
第一章 鬼の少女達

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第十一話 受け入れる人

 桜の花びらが西日に煌き美しく舞っている中で、三人の間に少しの沈黙が流れた。


 咲は思っていた。

 ――――どうせ同じだ……。鬼の家系だと知ると皆離れていく……きっとハルも同じだ……と。



 しかし突然、沈黙を破り春近は語り始めた。


「あの、それでオレは思ったのだけど、何とか源さんや四天王の人たちと揉め事を起こさず穏便にするには、先ず――」


「ちょっと待て!」


 咲は意表を突かれた。考えていたことと全く違う話が春近の口から出たのだから。


「お、おいハル、アタシらが鬼だって聞いたんだろ? 怖くねぇのかよ……?」


「へっ、いや、むしろ先輩方の方が怖いし」


「そっ、そういうことじゃなくて、鬼の転生者だっていえばふつう怖がるだろ」


 春近は顎に手を当てながら考える。


「むしろカッコイイとか?」

「はあ?」


 これには咲も呆れた顔になった。


「でもさ、この学園に来てから、色々とおかしなことが多すぎて、鬼とか陰陽庁とか四天王とか頭がこんがらがってるんだよな。あっ、でも二人は怖くないというか、むしろ仲良くしたいというか」


 春近にとって、この学園に入ってから鬼の末裔だの何だのと、不思議なことが多すぎて頭が追い付かない。

 しかし、今目の前にいるルリや咲は、普通の女の子にしか見えないのだ。

 鬼だか何だか知らないが、そんな理由で避けてしまうのは違う気がした。


「うっ……マジかよ……」


 鬼だと知っても受け入れてくれる人がいた――――

 咲は体の奥から熱いものが込み上げてきて泣きそうになる。


「なんだよ、しょうがねーなぁ」

 ペシペシペシ!


 咲は泣きそうになるのを笑ってごまかし、ハルの背中をペシペシと叩いている。


「ちょと、痛いって」

「良いだろ、このこの」

「強いから! それ地味に痛いから」

「ったく、しゃーねえなハル」


 二人の光景を見ていたルリが口を開いた。


「良かったぁ~」


 ルリは二人に抱き着きギューッとしてくる。

 これには春近も動揺を隠せない。


(ちょっ、待て! 柔らかいものが当たってるって!)


 背が高くスタイルの良いルリだけあって、春近の顔に胸が当たりそうになり危険な状況だ。

 こんな状況は想定していない。


「ちょっと、ルリ、当たる! 当たるから! 離れて~」

「えへへっ、ハルってば照れてる」

「そういう状況じゃなくて」


 咲までからかってきた。


「へへっ、ドーテーのハルには刺激が強いのかよ」

「ド、ド、ド、ドーテーとか言うな!」


(何でドーテーとか分かるんだ? まあドーテーだけどさ。陰キャっぽいオーラ―でも出しているのか?)


 ドーテーっぽいオーラなぞ存在しないはずだ。


「じゃあ、そう決まればアタシもやってやんよ」

「とりあえず、今度作戦会議でもしてみる?」

「オレも源さんに話してみるよ。ルリたちは何も問題無いからって」


 三人は寮の方に話しながら歩き始める。



 そんな中、ルリの頭の中には一つの葛藤があった。


(私はそんな良い人じゃない……。初めてハルに会った時、あの時私はハルを利用しようとした)


 春近と咲の後ろからついてゆくルリが目を伏せる。


(私の瞳と声には、それぞれ強力な呪力があるの。ハルが最初に感じた恐怖や警戒感を、私は認識操作して書き換えた。陰陽学園に入学させられれば、きっと敵が多いはず。だから、この優しそうな男を利用して味方を増やそうと……)


 ルリは誰にも聞こえないようにつぶやいた。


『本当の私を知ったら、ハルは私を嫌いになるのかな……』



 ◆ ◇ ◆



 栞子は悩んでいた――――


「本当は、こんな事したいわけじゃないのに」


 栞子の家には男児が生まれなかった。

 幼き頃から栞子は源氏の棟梁とうりょうとなるべく育てられた。

 だが、栞子には剣も退魔も素質が無かった。

 秀でた才能を持った四天王の面々を率いて、棟梁としての責任を果たすことに強いプレッシャーを感じているのだ。


「はぁ……」


 自然とタメ息が出た。

 自室で独り机に向かっている栞子が、頬杖を突きながら窓の外を見つめる。


(それにしても……あの、土御門春近という男……。やたらと鬼の転生した少女たちに気に入られているようですね……)


 この所、ずっと栞子は春近を観察していた。

 何人もの鬼の少女が懐いているのを確認している。


「あの人……何か鬼に好かれる特殊な能力があるのかな……? もう、あの男が鬼の少女を(メロメロ)にして、全ての問題を解決しちゃえば良いですのに」


 栞子の肩に圧し掛かる任務と重責。そんな願望が口に出てしまうほどに彼女は疲れていた。



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