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しあわせ?

26 幸せの湯船



その寮は森の中にあった


エリンシアさんに早朝に連れられてきた



「へぇ…魔法の結界ってのは完全に見えないんですね」


薄い膜を通った感覚の後に目を開けると

何も無かった森に寮が現れた


寮というか…屋敷?



その寮の前に一人の女性が立っていた


青い髪を短髪に切りそろえている


「あ、エリンシア、久しぶりね」

「お久しぶりです、セレナさん」


気がついた女性が軽く手を上げる

エリンシアさんの知り合いの一人

…権力者の人かな、その手の人を前にすると萎縮する的な意味で嫌いなのだけれど



「相変わらず歳取ってないのね?」

「ソエルさんの魔法は痛いですから…取らない方が色々と特ですよ」


「分からなくはないわね…」


謎めいた会話をする二人

なにかの暗号だろうか


青い髪の女性が自分を見る



「わたしはセレナ、よろしく

…クレアぁ?」


セレナさんが寮に向かって声を上げると寮の扉が開いた


「はぁぃ…」

何故か全身ずぶ濡れになっている女性が顔を出した

紫の長い髪がデロデロしてる


え、なんかこわいよ?

「連れてって」


どこに!?


「ぅぃ、おまえ、こい…」


そう言うと寮の中に入っていく


エリンシアさんも頷くだけでしぶしぶあとを追いかける



寮は格闘部の大きさくらいだった

クレアと呼ばれた人に話しかけても無視をされる


「あの…俺、なんで連れてこられたのか理由とか知らないんですけど」


「…あのぉ、説明、欲しいかなぁ…って」


「……くぅ」


ゆらゆらとノレンの垂れ下がった所をくぐっていく


「…おんせん?」


こちらの世界では炎の街の火山が近くにある街にはあると言われている

温泉だ


「お、知ってるの?」


するとクレアさんが反応した


「えぇ…まぁ」

機械世界出身だし…


「…というか温泉に入るために来たんだろ?」


…そうなんだぁ

知らなかったァ


てっきり食事会とかそんなのかと


「じゃあ、楽しむといい、温泉はいいぞ、いいよなぁ、うん、風呂はいい、今日は白濁湯にするらしい、肌がすべすべだぞ」


そう力強く言い残していくとクレアさんはノレンの方へ戻って行った


…ここは、脱衣場か

そして…水着…ねぇ





湯船で一息ついたところで、入り口から声が聞こえてきた

…女性?

特に脱衣場は分けられてなかったこともあり

やはり混浴か、と嬉しさ半分

どうすれば正解か戸惑い半分といったところだ


いや、水着なら色々とセーフになるところもあるのではと邪な考えが湧き出た


「おおー!でっかいお風呂だ!」


…あれ?聞いたことある声ですね?


露天風呂を囲っている石にたったのはヘラだった



ぶふぅ!?

…何故、というのは違うのか


昨日エリンシアさんはヘラのためと言っていた


なら初めから風呂で二人で過ごさせるため……


「わぁ、本当に広いですね」

「おぉ…」


ラッセルとネビュラもいた


んでやねん





岩の反対側に逃げようとしたところでヘラに捕まった


そもそも三人は俺がいることを知った上で入ってきたらしい




「脱ぐとこで服も確認したしぃ」


「まぁ…知らない女性よかまし、か?」


「そんなぁ、私じゃもう興奮しないってことですか?」


「見てくれはどストライクなのになぁ…」


どうしてラッセルの中身はポンコツなのだろうか


三人と共に湯船につかる


幸せ空間なのに寒気がするのはなぜだろうか

どうして逃げ出したい衝動に駆られるのだろうか



「…三人とも、髪の毛を湯船につけるのは良くない、その持ってるタオルで……」


三人が髪をまとめ始めた隙に逃げ出そうとした


その時



がちゃん


「がちゃん?」


腕がネビュラと繋がれていた、手錠で


「…え、なにこれ」


「手錠、ちょっと待って、髪まとめてるから」


何事もないように髪をまとめるネビュラ

いやいや、おかしいよね、この状況

なんで風呂場で手錠されてんのよ


しかし仕方なく湯船につかる


ちなみに三人とも水着だ


ヘラは可愛らしい水玉の水着

ラッセルは白い…下着と同じように見えますが?

ネビュラはラッセルの黒版

フリフリの着いた大人な水着だ



「…なぁ、ラッセルの、水着だよな?」

「まぁ、下着はダメですよ?」



くすくすと笑いながら指摘される

わぁはらたつぅ



「ねぇ、チェリー、誰が一番可愛い?」


ヘラがちゃぷちゃぷと近づきながら聞いてくる


逃げ出そうと後ろに下がると手錠で止まってしまう、ネビュラぁ…


「あれ、どこ行くの、逃げちゃダメだよ」


ネビュラがクスリと微笑む

まぁこわい


「…ラッセルがどストライクかなぁ」

「あら、ふふ、付き合いますか?つきあいますか?」


なんで二回言ったんですかね?

その指なんですか?…これさえなければなぁ


「…むぅ、誰が好き?」


「ネビュラだが」

「あ、えと、ありがとう…」


がちゃん


手錠を二つ目かけられた

いやどんな照れ隠しだよ


いつもは隠している、というかお披露目するような相手がいなかっただけだが…嫉妬深く、独占欲の強い現れだろうけど

自分、まだ魔法かかってますからね?

そんな事しなくても一言くれれば逃げないよ?



「つ、付き合うなら?」


ジリジリとにじり寄ってくるヘラ


「…」

目をそらす

これだけはどうしてか小っ恥ずかしくて口に出してない


「ネビュラ」

「言って?」

ヘラの呼びかけにすぐに応えるネビュラ

ネビュラの目が淡く光る、注視して見ないと気づかないが、支配の魔法のやつだ



「そりゃまぁ…甲斐性のあるヘラでしょう」


 

ひどいわ、無理やり言わせるなんて


しかしサラッと口に出したぞこの口は…  


 

「…それは本心なんだよね?」

「まぁ、そうなるな」


覗き込むようなヘラの顔が間近に来て照れる、つい顔を逸らしてしまう


「…だから言ったでしょ?」

「うん、ごめんネビュラ…許すよ」


「…あれ、わたしは許してくれないのですか?」


「ラッセルはこれからも言い続けそうだからヤダ」

「まぁまぁ…あー…はい、気をつけます…」


 

「…ネビュラとヘラはそんなに仲良いのか?」

どちらかと言うと刺し合うような仲じゃなかった?


           


「平和的にお話しました…ほんとだよ?」


へへへ…と、どうしてか乾いた笑いになるヘラ


昨日のパジャマパーティーとやらの結果だろう



「仲が良くなったのなら…いいことだ」

ネビュラに欠けていたものを埋めるピースとなるだろう



「わたしはあなたとも仲良くなりたいのですが…」


そう言いながら腕に絡んでくるラッセル

胸を押し当て腰に手を回すように持ってかれる



白濁湯で良かったと思う、水着越しにテントがね?


「ふふ、鍛えているんですね?逞しいですね」


その視線の先に筋肉はないぞ?

あと白濁湯だから見えてないよね?ついでに水着だよ?


「わたしは手玉に取りたい側ですがあなたになら取られても構いませんよ…?」


肩にもたれ掛かるようになりながら艶っぽい口調で囁いてくる


   

うーん、身が持たない


「わたしはヘラの次でもいいから」

そう言いながら手錠を手繰り寄せて腕に絡んでくるネビュラ


「もうキミしか見えない」

そう言ってもたれ掛かってくる


なんとまぁ両手に…


「鼻の下伸ばして…両手に花とか考えてそう」


目の前のヘラがツンケンモードになってしまった

 

「エスパーだったか…」

「えすぱー?」


首を傾げるヘラ

コロコロと変わる表情は見ていて面白い


「…それより私の場所は?」


「あら、特等席がありますよ?」


「…え」

いや、そこはまずい

なぜってそりゃそういうことだからだが



いや、チェリーボーイとしてはそんな事故みたいなシチュが羨ましくないわけがなく、だがしかし実際なるのは話は別で

そも、ヘラには素敵なだんせ…


「……うん?ヘラって俺の事好きなのか?」


ビシャンっと繋がった


三人はピシリと固まった


いや、違うんだ、言い訳させてくれ

何事もその事実より優先度が上の奴隷であり保護下、学園生活を過ごして欲しいという下に考えがあったから


もちろんそれは嬉しいし

俺なんかでいいとも思ってしまうほどだが

てっきりヘラは俺以外と恋して

…俺はお父さんポジの気分だったから



「ヘラさん、この男、捨ててもいいですよ?私が貰いますし…」


「…ぁー、いや、あのね?薄々そんな気はしてたんだ、私を見る目が二人とは違うって、奴隷だからかとも思ってたけど

いざ言われると…」


「いや、いざ恋とかの感情に触れると奴隷の腕紋章がそうさせているのかと…」


「腕紋章にそんな効力ないですよ?首輪じゃないんですから…ヘラの契約は相当甘く契約されてますし」


…きみ奴隷の首輪風のアクセつけたことあったよね?



ばしゃん

水と音をたてながらヘラが正面から抱きついてきた

不意の事で後ろに倒れる


ラッセルとネビュラは離れ、目の前にはヘラの顔が間近にあった


正面だけは死守せねばというしょうもない意気込みと湯船が幸いし、ヘラが上になりながらも密着はしていない、多分バレてない


「わたしはチェリーが好きなの!」

「悪かった、悪かったって」


ぷくぅと膨らんだ頬をつつきたいが両手はヘラが密着しないようにヘラの脇の下から持ち上げているところだ



「もう…まぁこんな気がしてたからいいよ、許してあげる」


そう言いながらよいしょと離れてくれた


「そんなのでいいんですか?」

「ヘラ、甘いんじゃない?」

ラッセルとネビュラがそう言いながら近づいてきた


「…今日はこれくらいで許してあげるっ」


ふふん、と笑顔で答えたヘラ

心臓が一度高鳴った気がした

区切ると書きやすくなってなのかあと6話分は書いてましたが…まぁキリがいいのはここということで


終わりですね、毎時間投稿(予約投稿でしたが)予約投稿設定中では分かりませんが…どうなってるのでしょうか、楽しみです


楽しんでくれたなら幸いです、こんな奴がいたんだな的なことをたまに(具体的には26日)にでも思い出してくれると幸いです


ありがとうございました

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