青き精霊の衣服を纏ったランスロット(2)
あやかしの森の精霊達の聖なる泉で拾われてから3年の月日が流れた。
どうやら、俺の名前はサーベルが(俺にサー・サーベルと呼ばれるのが好きじゃないらしい。なので、サーベル。)前世での仲間の勇者の名前を着けたらしい。
その名を恥じぬように頑張れとサーベルは言っていたけど、頑張れるかなー?何を頑張ればいいんだろう?
数百年前の魔王との聖なる戦いでこの世は大安まではいかないが、それなりに平和になったと一角ウサギのマリウスが言っていた。
居心地の良い、あやかしの森は多種族の仲間が住んでいた。
サーベル・タイガーは只1匹。普通はサーベル・タイガーは毛並みが黄色なんだけど、サーベルは白銀。
前にアウロラ女王が葡萄酒に酔っ払って「サー・サーベルは前世で苦労してるから、今世で白銀なのは解るわ…。」と話してた事があった。サーベルも俺と同様に転生した者らしい。俺と違って、前世の記憶があるのは羨ましいけど、サーベルは前世の事は多く語らないから…。
一角ウサギ、トレント、精霊も初めは見分けが付かなかったけど段々と個性が解るようになった。
あやかしの森は多種族間で自然と言語が統一してお互いを理解していた。
それは俺の成長に良くないとアウロラ女王が俺だけ、統一言語ツールから外したから、それぞれの種族の言葉を覚えるのに一苦労した。
セシリアから基本的な精霊語を教えてもらい、トレントは唸り声しか解らなかったけどようやく言語を理解できるようになった。
一角ウサギのマリウスは身振り手振りで言葉を教えてくれて、一角ウサギの言語もマスターした。
サーベルは、人間の言葉を話してると思う。統一言語ツールから外されても、サーベルの言葉は理解出来たから。
俺があやかしの森に来てから、種族の代表が代わる代わる言語の先生をしてくれた。もちろん、俺の成長に必要なそれぞれの種族に伝わる事も教えてくれた。マリウスには、礼儀作法から料理まで習った。時々、一角ウサギの他の仲間と作物を育てたりした。作物は、あっという間に育ち、難しい作物も豊作が続いたのでマリウスは毎回大喜びして俺に感謝していた。「さすがは、最強の幸運の持ち主ランスロット様!あやかしの森では珍しいスウィートポテトをこんなにも豊作に実らせるとは!ありがたやー。」マリウスはちょっと大げさだ。
トレントの代表からランスロットからは剣術を習った。
トレントのトレバーは、大昔にあやかしの森に偶然迷い混んだ修行中の戦士に会い、暫く剣の修行を共にしたらしい。トレバーは、木刀を使うがその切れ味は落ちる木葉も木刀の一振りで真っ二つになる。岩をも砕く木刀は、だだの木刀ではなく、木刀の周りに目には見えない気を張らせて一刀両断にする。得意の技は雷鳴真空切りだ。
トレバーの剣の手解きは、いつも真剣勝負。礼にはじまり礼に終る。暫く、手解きをしてもらっているとトレバーは古びた木しか姿が見えなかったが、最近人型にも見えるようになった。老年の茶色裸の黄色い鋭い目をした細身の剣士。髪も茶色でオールバッグの長髪を木の弦で結んでいた。
そうそう、一角ウサギのマリウスも最初は眼鏡をかけた蝶ネクタイの一角ウサギしか見えなかったけど、マリウスも人型に見える時がある。黒髪の短髪で黒めがちの丸い目の肌の白色の人の姿に。大半は一角ウサギの姿で見えるんだけど。
今日もトレバーと剣術の稽古だ。だだ、上達までは行かない。何せ、いざ本気で勝負しようとすると、偶然が重なりトレントは木の弦に引っ掛かったり、小石につまずいて倒れてしまう。
これって、俺が持っている最強の幸運ってやつかな?