始まりの青い月(2)
あまりの光景にただ目を丸くして見つめるサーベル・タイガー。
すると、どこからともなく金切り声があがる。
「ちょっと、何これ!??サーベルあんた何かやらかしたの?あれは何??」
現れたのは、あかやしの森に住む精霊セシリアだった。
「あれ?あれれ?あの子魔物??っていうか、だんだん水に近付いてない??ちょっと、サーベル!サーベルったら!!!このままだったらあの子水に落っこっちゃうよ!!」短い緑の髪を揺らしながら小さい羽をばたつかせ、あわてふためく精霊。辺りに精霊の粉を撒き散らしながら。「ええい!このままにしておけな!いくわよ!」精霊の浮遊術で何とか危機一髪。水に落下を免れ、ゆっくりとサーベル・タイガーの目の前に降りてきた。
パチリと赤子が目を開けて、サーベル・タイガーみるなりにんまりと笑う。
青く澄んだ瞳だった。
まだ、状況が今一つ理解出来ていないサーベル・タイガー。精霊のセシリアは、サーベル・タイガーにしきりに言う。「ちょっと、本当に驚いたわ!100年に一度のフル・ブルー・ムーンだから精霊の女王様に警備を依頼されてたの。何せ、何が起きてもおかしくない程の魔力を秘めた月だから。」バタバタとサーベル・タイガーの周りを右往左往に飛び回る。
「私、500年と数ヶ月生きて来てはじめての体験だわ。その子が魔物であれ何であれ、精霊の女王様に報告しなくちゃ!」一目散に飛んで行こうとするセシリアにサーベル・タイガーが立ちはだかる。