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始まりの青い月(1)
あやかしの森にあると言われている精霊の泉の水面に一匹のサーベルタイガーがたたずんでいた。
かつて何百年前は、この地で大賢者、大勇者とも言われる仲間の1人であったが、今となっては、見る影もない一匹のサーベルタイガー。100年に一度の大魔力を司るこの青い満月の夜空の下、昔を懐かしむように考えにふけていた。
あれから、100年。
この姿になってから、いろんな事がありすぎた。
もはや、もう一度人型には戻ろうとは思わないが、魔王の1人を倒し命と引き換えにサーベル・タイガーに生まれ変わろうとは…。
私個人としては、代償はかなり大きかった。
だが、この世界は救えたのだが…。
青く光るフルムーンを目を細め眺める。
一瞬の青白い閃光を放つ程の月明かりが湖を輝かせた。
あれは?何だ?
目の前には、湖に浮かぶ白い包布にくるまれた赤子がフワリフワリと水面に浮かんでいた。