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天使の話

「天使の話」


もぐらくんとひまわりくんは山々に囲まれた草原の中の一本道を歩いています。


どこまでも続くかのような一本道を目的の町まで歩いています。


ひまわりくんは言います。


「なんて見晴らしの良い景色なんだ。もぐらくんもそう思わないかい?」


もぐらくんが答えます。


「そうだね。いつまでも歩いていたい気分になるよ。」


そう話し、にこやかに二人で歩いていると、草原の坂のところで飛び跳ねている女の子にあいました。


女の子は坂を勢いよく駆け下り、ジャンプし、また、坂の上に登りまた駆け下り、ジャンプしを繰り返しています。


もぐらくんが話しかけます。


「君は何をしているの?」


女の子は言いました。


「私は天使。雲の上から落ちてしまったの。」


「雲の上に帰るために、飛ぼうとしているんだけど、飛べないの。」


そういうと泣き出してしまいました。


その天使さんの背中には羽が生えていましたが、片方の羽根が傷ついて動かなくなっていました。


ひまわりくんは天使さんに聞きます。


「この地上も楽しいところだよ。ここで過ごしたらどうだい?」


でも、天使さんは言いました。


「ダメよ。」


「雲の上には友達が待っている。」


「私が突然いなくなって、きっと心配しているわ。」


ひまわりくん聞きました。


「友達はどんな天使さんなの?」


天使さんは答えました。

「一人は踊りが上手な子」


「一人は歌がとても上手な子」


「一人はすごく力持ちな子」


「一人はとても優しい子」


「一人はすごく明るい子」


「そして、私は勇気のある子」


「私たちはいつも6人で楽しく一緒に遊んでいたわ。」


「みんな大好き。」


そう言うとまた天使さんは泣き出しました。


ひまわりくんは天使さんがかわいそうになり、自分の種を渡していいました。


「僕の種は一つだけ願いを叶えるチカラがあるよ。天使さんが心から雲の上に帰りたいなら食べて願えばきっと叶うよ。」


天使さんは嬉しそうに種を受け取り、食べて願いました。


そして、また坂の上から駆け下りて、羽をパタパタと動かして飛ぼうとします。


すると、両羽がパタパタと羽ばたいて天使さんは空を自由に飛ぶことが出来ました。


天使さんが言います。


「ありがとう。これで雲の上に帰れるわ。」


もぐらくんが言います。


「良かった。これで友達に会えるね。」


すると天使さんがもぐらくんとひまわりくんが言います。


「お礼に二人を雲の上に招待するわ。」


もぐらくんとひまわりくんは驚いた後、ニッコリとし、招待を受けました。


天使さんが持ち上げるブランコに乗って、もぐらくんとひまわりくんが雲の上に向かいました。


雲の上に着いて、天使さんともぐらくんたちは、走って天使さんの友達のところに向かいます。


一人の天使さんのお友達のところにきました。


お友達は落ち込んで泣いていました。


「天使さんどこにいったんだろう。」


そう言いながら泣いています。


天使さんが友達に話しかけます。


「私はここよ。戻ってきたのよ。」


しかし、友達の天使さんは気づきません。


天使さんのことが見えないようです。


天使さんは、友達に話かけ続けますが、友達には天使さんが見えません。


天使さんは「せっかく帰れたのに何で気付いてくれないの。」


と言って泣き出しました。


すると、雲の上の村長さんがやってきて、天使さんに言いました。


「天使は、清くなくてはいけない。地上に落ちて地上の物に触れた君はもう天使ではないんだよ。」


「天使はきれいなものしか見えないから、他のお友達は君が見えなくなってしまったんだ。」


村長さんの話を聞いて天使さんはなおのこと泣き出します。


天使さんはひまわりくんに言いました。


「もう一度、種をください。そしてまた天使に戻れるようにお願いするわ。」


でも、ひまわりくんは言いました。


「僕の種は一つしか願いが叶えれないんだ。」


「君の願いはもう叶えてしまったから、僕のチカラはもう使えないんだ。」


そういうと、天使ちゃんは落ち込みました。


天使ちゃんは、他の友達のところにも行きましたが、みんな、天使さんがいなくなって泣いて落ち込んでいました。


天使さんは、言いました。


「私は天使にもう戻れないのならせめて友達の元気を取り戻したい。」


「どうしたらよいのかな。」


するともぐらくんが、天使さんに言いました。


「今までいた勇気のある天使さんがいなくなって、元気がなくなったのなら、君の持っている勇気を、みんなに分けてあげたら、元気になるかもしれないよ。」


天使さんは言います。


「私のこと、気付いてくれないのはすごく悲しいけど、みんなが元気ないのはもっと嫌。」



「今までありがとうね。」


そういうと、天使さんは感謝の気持ち込めて、友達の胸に「フー」と息を吹き込んで、自分の勇気の心を友達に分けてあげました。


すると、友達がどんどん元気になります。


そして、他の友達のところへ駆け出します。


他の友達も天使さんから勇気の心を吹き込んでもらって元気になります。


そして、みんなのところへ駆け出します。


そして、友達は集まりました。


みんなが言います。


「天使さんを探しにいこう。大事な私たちの友達よ。」


「そうだ。天使さんも私たちと会えなくて悲しんでいるわ。」


一人の天使が言いました。


「雲の上は全部探したわ。あとは地上だけよ。」


そういうと、5人で村長さんのところに行きました。


天使さんのお友達は言います。


「私たち、地上に天使さんを探しに行ってくるわ。」


村長さんは言います。


「それはならぬ。天使さんは地上に落ちてもう天使ではなくなったのだよ。」


「お前たちも地上に落ちてしまえば、もう天使ではいれないんだよ。」


「天使は清くなくてはいけないんだから。」


天使さんのお友達は怒って言いました。


「天使さんは汚れてなんかいない!」


「天使さんのことを、私たちが一番わかっている。」


「地上に落ちたくらいで汚れたりしない。」


「私たちの友達を、汚れたなんて勝手に決めるんじゃない!」


こまった村長さんは言いました。


「天使さんは雲の上に帰ってきているよ。」


「君たちの前にいるけど天使じゃないから見えないのじゃ。」


5人の天使は驚きましたが、村長さんに言いました。


「天使さんと会えないなら、私たちは天使でいる必要はないわ。」


「私たちは友達だから、ずっと一緒にいたいもの。」


すると、ひまわりくんは村長さんに言いました。


「僕の種は本当の願いを一つだけ叶えるチカラがるんだ。」


「天使さんは、願いは叶えてしまったからもう叶えてあげられないけど、他の天使さんの友達の願いなら叶えてあげられるよ。」


もぐらくんは言いました。


「でも、ひまわりくんの種は地上のものだから、天使さんが見えるようにと、他の天使が叶えたら、その叶えた天使さんが見えなくなってしまう。」


村長さんは、考えて言いました。


「わかったわい。」


すると、ひまわくんに言いました。


「わしに種を一つくださらんか?」


ひまわりくんは、村長さんに種を渡しました。


村長さんは、種を食べ、心から天使さんと天使のお友達のことを願いました。


すると、天使さんの姿が、お友達に見えるようになりました。


天使さんと、お友達は泣きながら抱き合い、喜びました。


そして、天使さんたちは,輪になってみんなで踊ります。


天使さんが言います。


「村長さんありがとう。」


「でもなんで村長さんは見えなくならないの?」


村長さんは言います。


「わしが願ったのは、天使さんたちがすべてを見られるようになることじゃよ。」


「これからは、いろんなものが天使たちに見えるようになるけど、心を清くいておくれ。」


天使さんたちは言います。


「大丈夫よ。嫌なこともあるかもしれないけど、みんながいればきっと支えあえるから。」


そういうと、みんなで笑いあいました。


もぐらくんとひまわりくんは、雲の上の天使さんたちが持ちあげるブランコに乗って地上に降りてきました。


天使さんが言いました。


「雲の上は楽しいよ。二人とも雲の上で過ごしたらいいのに。」


ひまわりくんは言いました。


「ぼくらは、まだまだいろんなものを見るための旅の最中なのさ。」


もぐらくんが言います。


「それにぼくらの帰りをまっている友達もいるしね。」


そういうと、もぐらくんとひまわりくんは笑いあいました。


天使さんもニッコリ笑います。


もぐらくんとひまわりくんを地上に下ろして天使さんたちは雲に戻っていきました。


もぐらくんとひまわりくんは天使さんに手を振って見送り、また道を歩き始めました。



天使さんたちもまだまだ子供です。


いろんなことに興味を持つお年頃。


ましてや、今まで見えなかった世界が見えたのだから、尚のことです。


6人が集まって雲から地上を見てヒソヒソとお話をしています。


心配した村長が天使さんたちに話かけます。


天使さんたちは「だいじょうぶ。だいじょうぶ。」と言いますが、


6人とも企んだ笑顔を向けるのでした。



つづく。


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