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冷酷なファナティシア  作者: 摩訶郎
1/1

さよなら

 隆起されし彼女の心に釘を打つ 釘を打つ


 それがたとえ禁忌とも 餌を食む鳥のような無邪気さで


 露呈されし私の欲に釘を打つ 釘を打つ


 妄りに強張る絵空事 並べよ二人を奉れ


 深淵に飲まれた讃歌を謳え


 深淵に飲まれた讃歌を謳え


 二人に憎悪の花束を 暗い黄色の花束を


 沈む夕日と照り合わせ 彼女を夢から醒めさせよ




「来る狂気に備えあれ、彼女の狂気に備えあれ……」


 乾ききった唇を動かす事をやめる。目の前の光景へと意識し、私はため息をつく。

 酷く傷んだ髪を掻き上げ、私は目の前の赤い娘へと歩み寄った。

 血生臭い彼女の額に口づけをし、目を瞑る。


「今日でさよなら。明日からは、愛してる、だね」


 私と彼女の物語が、始まる。



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