第30話 ある現代の学級委員は・・・見守る 1
朝投稿しようかと思っていたのですが忙しく、出来ませんでした。泣
私は堀田麗香 祖父が衆議院議員で父は区議会議員の政治家一家。お祖父様の言いつけで小学校から志水桂子さんと同じ学校に通っています。他にもう1人吉川しのぶさんも同じように親の言いなりで小学校から一緒です。志水桂子さんは所謂「お嬢様」でスーパーゼネコン「志水建設」会長の孫娘さん。少し歳の離れたお兄様がいらしゃってもう大学生四年生だった筈です。私のお祖父様はちょうど同い年の孫を出汁に志水さんのお祖父様に取り入ってる訳ですわね。小さな頃から志水さんの誕生日には「ウチの孫が桂子さんの誕生日を祝いたがっている」選挙やその他諸々にも「ウチの孫が」と理由をつけて志水さんのお祖父様ではなく、「志水建設会長」に会う口実にされていました。小学校高学年にもなれば大体理解できました。いつもご一緒の時間を過ごす吉川しのぶさんも恐らく似たようなものなのでしょう。吉川さんのお父様は都議会議員ですので。お祖父様にとっては所詮私は政治の道具なのでしょうね。
私のお父様はお祖父様にとてもよく叱られています。お祖父様は自分が国会議員の間にお父様を都議会議員にさせて国会議員への道を作ってあげたいらしく党の公認として擁立する根回しも済んでいたのに前回の都議選出馬を頑なに拒み結局都議選に立候補しなかった為、党内でお祖父様に少し風当たりが強くなってしまったらしいです。
そんなお父様によく連れられて小さな頃から行っていた場所が私の後ろの席の結城太一さんのご実家「結城建設株式会社」お父様の後援会で頻繁に訪れていました。私はそこに行くのは好きでした。同い年の子供が二人にお姉様と妹もいるのですもの。お祖父様の華やかで豪華ではあるパーティーの「お飾り」よりお父様と一緒に行く結城家のお世辞にも豪華とは言えない宴会の「気軽さ」が心地よかった。同い年の子達とは走り回って遊び、お姉様には色々と教わり、妹にはお姉ちゃん風をふかせました。いつもの息苦しさも何かに押さえ付けられているような感覚もなくとにかく居心地が良かった。同い年の男の子はとても元気でリーダー気質の明るい子でした。私の周りには全くいないまるでテレビや本の中から出てきたような少年に私は惹かれていきました。
同じ中学校に通うと判ったときは嬉しくて、でも恥ずかしくて、楽しみで、でもやっぱり恥ずかしくて、と色々な気持ちで胸がグシャグシャになってしまいました。
中学校入学式で彼を見かけてドキドキして、クラスが違う事に本気で落ち込みました。でもたまに見かける彼はやっぱり輝いていて、他の男の子とは違って見えるのです。結城家にいつも居たあの女の子、沢木さんと一緒に居るのを見ると私は何だかいてもたってもいられない気分になり、目をそらしてしまいます。
1年生の夏休み明けくらいから彼の様子が変わりました。何だか元気が無い、何かに怯える感じ?です。それは段々と悪化していったような気がします。
秋頃、久しぶりにお父様に結城さんの会社に行くお誘いを頂きました。お父様が今年も既に何度かお伺いしていたのは知っていましたが、「私も連れていって下さい!」などとは、恥ずかしくて言えませんでしたから二つ返事で了承しました。
結城家に来るのも1年ぶりくらいです。学校では会釈程度しか出来ませんがここではお話も出来ます。私は彼を探しましたが・・・・・・いません。1時間経っても2時間経っても彼はあらわれませんでした。私は期待の分、落ち込みも激しかったようでした。まだ周りを見渡していると夏帆お姉様が手招きをしています。私は御手洗いにと言って席を立ち夏帆お姉様の所へ、夏帆お姉様は階段をのぼりお姉様の私室へ私を招き入れました。
『麗香ちゃん、あなた太一を探してた?』
私はいきなり核心をつかれてあたふたとしていたと思います。しかしお姉様や妹の菜奈ちゃんは異常に鋭く小さな頃からかくれんぼ等で勝てた事はないのです。
『は、はい・・・・・・』
素直に答えました。すると夏帆お姉様が言うには彼の様子がここ何ヵ月かおかしい、独り言を言ったり叫んだりしていて部屋に閉じ籠る時間が多くなった。という事らしいです。沢木さんにお姉様が聞いた所学校でも様子がおかしくなってきていて、段々と不良学生達に目をつけられて来ているらしいのです。「私を何だか避けるようになってきて、私からも太一に接触しづらいのよ。麗香ちゃんももし良かったら学校で少しでも気にかけてやって」と夏帆お姉様はいい、話は終わり私はリビングへと戻り色々と考えます。その日から結城さんの観察をはじめました。
やはり、学校での様子はおかしく、基本的には、1人でいます。沢木さん、東絛さん、平田さん、坂上さん、としか交流も持っていないようです。彼女らと一緒にいてもどこか上の空な様子で愛想笑いを浮かべている感じでした。
ある日、不良学生達に連れられて彼が暴力を受けているのをみかけました。私はオロオロとしてしまい、先生を呼ぶという的確な判断が出来ずにただみている事しか出来ませんでした。彼はやり返したりせず黙ってただ「それ」が終わるのを待っていました。やがて不良達が去ると彼はフラフラと立ち上がり帰ろうとしています。私は彼の元に飛び出して行こうとしましたが、平田さんが現れて保健室へ連れていってくれました。
その日から不良達の彼へのイジメは過激になりました。やり返してこない、先生に言わない彼は不良達にとってはとてもイジメやすかったのかもしれません。
徐々に結城太一はいじめられっ子というのが周囲に認識されると便乗したり、自分ではイジメに加担していないつもりでも「笑ったりしただけでイジメている側に声援を送ってしまっている」という事をわからない人達が出てきます。その輪というのは物凄い勢いでひろがっていきます。
何時もより長かったので分割しました。
読んで頂きましてありがとうございます!
これからも頑張りますのでまた読みに来て頂けると幸いです!