表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/43

第16話 ある現代の悩める友人

またまたブックマーク増えてました!ついに10件です!本当にありがとうございます。


ギャグパート書きたいのにシリアス回が終わりません!!

このままだと勇者回想パートなんかいつになるのか・・・・・・;;

 太一の部屋を飛び出した俺は走った。

夢中で走っていた。

気が付くとそこは公園、小さい頃よく遊んでいた公園だ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 俺は母さんと2人暮らしだった。父さんは俺が5歳の時に病気で死んでしまったからだ。

母さんは朝起きるともう仕事に出かけている。朝ごはんは机の上に用意してくれている。朝ごはんをつまらない朝のニュースを見ながら食べて学校の準備をして首から家の鍵をぶら下げて家を出ていく。


 学校から帰ると友達とその公園で暗くなるまで遊んだ、16時になり「塾があるから、習い事があるから」といって帰る子が出てくる。が 俺は夢中で遊ぶ。

やがて17時、18時となると、帰る子供も増えて気が付くと俺は一人になる。

いつもの事だった。


 誰もいなくなった公園で俺は遊ぶ。

取り合いになっていたブランコ

人が一杯で滑れない滑り台

誰かが忘れていったサッカーボール

全て独り占めだった。誰とも奪い合うことが無く全てが俺の物だ。

そこは「俺」しかいない「俺」だけの世界だった。


 俺の世界で俺だけの物になった、それらは「皆」の物だったときには喧嘩になってまでも欲しかった物であった筈なのに、俺の物になった途端に全くの別物になってしまったかのように興味がなくなってしまう。俺はそんなガラクタに背を向けて家に帰る。


 首から下げていた鍵で家に入る。そこは今しがたガラクタばかりで興味が無くなった場所と同様に、真っ暗で静まり返っていた。電気を付けてすぐにテレビを付ける。チャンネルなんかどうでもよかった。ただ先程まで感じていたひとつ、またひとつと何かが欠けていくような感覚を消してくれる騒音でいいのだ。音量を大きめにすると夢中で遊んでいたあの公園の喧騒に近づき安心する。


 夜ご飯も一人だ。昼間に1度帰って来た母さんが作って冷蔵庫に入れてくれている。

見てやしないテレビの音で何かを紛らわしながら夕食を食べ風呂に入る。

そのうちにテレビから聞こえてくる笑い声に嫌気がさしてきたら、とっとと寝てしまう。

また明日も同じことの繰り返しだった。


 ある日俺は誰もいなくなった公園でいつもより遅い時間まで一人ボールを蹴っていると、剣道の帰りの少年と剣道具ではない何かをもった少女が公園の外の道路を歩いていたのが見えた。

確か同じ学年の奴だったと思う。話したことは無いが男女なのによく一緒に居る結構学年で有名な二人組だ。それを見ていたらよくわからない気持ちを感じて俺はフェンスに向かっておもいっきりボールを蹴った。


 次の日学校で体育の移動中に昨日の二人組を見かけた。やっぱり二人一緒にいた。昨日感じたようなよくわからない気持ちは感じなかった。その日も同様に公園で遊ぶ。公園を独り占めからなんだかイライラしたような気持に変わってきたら、家に帰るのだ。家に着き首にかけてある鍵でドアをあけようと首に手をかけると鍵がなかった・・・・・・俺はすぐに公園に戻って公園中を探した。無い。体育の着替えで落としたのかもしれない。母さんの仕事場はバスで行かなければいけないくらい遠い・・・・・・帰りは夜中である。なんとか泣きそうな気持を抑え必死で鍵を探す。すると突然後ろから声がかけられたのだ。


『どうしたの?落とし物?きみ同じ学校の東條君だよね?』


この間の少年だった。俺は泣いているのがばれないように横を向きながら強がってしまったのだ。


『なんでもね~よ!俺はいつもここでこのくらいまで遊んでるし!』


すると少年は


『そうだね、剣道の帰りにたまにみかけるよ。それよりなんでもなくないでしょ?そんなに泣いちゃってて、もしかして鍵なくしちゃったとか?』


 泣いているのも強がっているのも隠しきれていなかったようだ。一瞬さらに強がって少年を追い払おうかと思ったが、自分でもびっくりするくらい素直に返事をした。


『ああ、家に入ろうとしたら鍵がなくってさ。公園で落としたのかもって思って探してたんだけど・・・・・・無いんだ。学校なのかもしれない。』


『そっか・・・・・・お家の人は家にいないの?』


『俺んち、母さんと二人だからさ・・・・・・母さんは帰ってくるのいつも夜中なんだ。』


俺は言葉に出すと夜中まで一人というその現実に実感が沸き、また涙をながしていたようだった。


『そうなんだ・・・・・・そうだ。とりあえず僕の家においでよ。ここに一人でいても寂しいでしょ?』


俺はこの間感じたよくわからない気持ちがまた湧き上がって来たのを感じて

『お前、俺の友達じゃないだろ!クラスも別だし。関係ないじゃん早く帰れよ!』


 何も考えないで出てしまった言葉であった。

しかし少年は

『僕は結城 太一だよ。確かにまだ友達じゃないけど、これから友達になれるかもしれないだろ?とにかくこんな所にいてもしょうがないし僕の家にいくよ。』

と言って太一という少年は俺の手を引っ張り連れて行こうとする。俺は抵抗したがこの太一という少年凄い力だった。仕方なく彼に手を引かれ着いていくことにした。


 太一という少年の家に着き、太一が自分の両親に事情を説明して俺は両親に挨拶をした。

太一の家は建設会社であった。そこで働いてるであろう怖そうなお兄さんやおじさん達から色々と優しい言葉をかけられた。太一の父親が庭・・・・・・っていうよりは駐車場、いや資材置き場?空き地?ででっかい鍋でモツ煮込みを作ってそれを怖そうな人たちがみんなで囲んで食べていた。太一に引っ張られ俺もその輪に入り太一の父親からモツ煮を受け取りたべた。俺は涙が止まらなく隣の怖いおじさんがオロオロしていた。


 太一の母親が俺の家を調べてくれて玄関のドアに事情を説明した手紙を張って来てくれたそうだ。俺は太一と風呂に入り、いつもなら面白くもないテレビを見て太一と共に笑った。

知らないうちに俺は寝てしまっていたらしく、起きると太一の部屋で寝ていた。


 太一の部屋を出てリビングに行くと、母さんが居た。

母さんは太一の両親ととても楽しそうに話していた。俺は「おはようございます。」と太一の両親に挨拶をしてお礼を言った。太一も起きてきて母さんも一緒に太一家で朝ごはんを食べた。

その日母さんは仕事を休んで俺と一緒に居てくれた。


 それからは公園で遊んだら太一が通るのを待ち、太一の家でごはんを食べて風呂に入り家に帰って寝るのが当たり前になった。太一を待っている間の公園は今までのように誰もいない「俺」の世界では無くなっていて、太一を待つワクワクした空間に変わった。

沢木美久という少女とも知り合った。少女の父親が太一の家の会社で働いているらしく少女ともほぼ毎日一緒にご飯を食べた。一つだけ嫌なことが彼らは「勉強」をするのだ・・・・・・

仕方なしに俺も一緒に勉強していると、みるみる成績があがってしまった。


 ある日いつものように太一と風呂に入っていると太一が突然

『隼人、初めて会った日の事覚えてる?隼人さ、僕に「友達なんかじゃない、お前は関係ないって」言ったんだよね~、僕傷ついたな~。』


 俺は突然言われたのと、あの時の泣いていた恥ずかしさで

『知らないよ~。たいっちゃん、勉強しすぎて記憶混乱しちゃったんじゃないの?』


『ほほ~・・・・・・僕にそんな態度とるのかね?冷凍庫には昨日僕が買ったアイスが2つ入っているのだが、隼人がそんな事いうならあれは美久にあげようっと』


『ちょ・・・・・・まった!ごめん!たいっちゃん、謝るからアイスはくれ~』


 風呂で暴れる俺に太一が

『隼人、僕たちは友達だよ。隼人を一人になんかさせない。』

『だって隼人・・・・・・寂しいと泣いちゃうじゃん?』

とにやけながらいう太一に


『たいっちゃん!俺ちょっと本気でおこっちゃうよ?アイスなんかいらない、なぐってやる!』


掴みかかろうとした俺をひょいとよけて風呂から上がってしまった太一


 俺は湯船に顔を突っ込み叫んだ

泣きながら叫んだ、ありがとうと


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 公園のベンチに座り俺は呟く

『まだ友達じゃないかもしれないけど、これから友達になれるかも・・・・・・っか』


投稿3日目だったのでユニークアクセスというのが昨日初めてみれました。

これだけたくさんの方が読んでくださった事に本当に感謝いたします。


ありがとうございます<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ