表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/67

二連戦

久しぶりに投稿できました。


 訓練の後、酒場でラルベルグ達と食事をしていれば、何か吹き込まれたのかヒールックが勝負を挑んできた。

 これだけでも面倒なのにおそらく何かを吹き込んだであろう『誇り高き剣』のイドフロン達も出て来て、余計に面倒な事になりそうだ。






「いくぞぉおおおおおお!」


 ヒールックが雄叫びを上げながらの突撃。気合は十分なんだろうが速度は遅い。

 振り下ろされる剣を槍で強く弾けば、転倒することはないが体勢を崩す。

崩した体勢を踏ん張って持ち直し、剣を横凪ぎに振るってくるが石突きで剣を跳ね上げ、がら空きになった腹へと蹴りを入れると「ごはぁ」と息を吐き出し後ろへと転がっていく。

転がりはするものの勢いを利用してすぐに立ち上がり剣を構える。


何となく予感はしていたがヒールックもリーゼと同じように対人戦闘の技術がなってない。

これで勝負を挑んでくるとか馬鹿にしているのかと思う所だが、ヒールックはリーゼと同じように人と魔物では求められる戦い方が違うことを知らないんだろう。


「まだだ、まだ戦えるぞ『犬飼』! 掛かって来やがれ!」


地面に転がしたが戦意は衰えはしないか。

逆に掛かってこいと吠えて戦意を滾らせている。


けど、戦意を滾らせるだけじゃあな。


「それじゃあ、いくぞ」


槍を回して矛先ではなく石突きヒールックに向けて構え直す。

それが気に入らないのかヒールックの眉間に深くシワがよる。


「舐めてるのか、テメー」


「文句があるなら全部防いでみろよ」


 面倒事を持ってきたとはいえヒールックを気遣っての事だが、ヒールックからすれば舐め腐っているようにしか見えないだろう。

 矛先のまま突きを連続で放てばヒールックの身体は穴だらけになる。

 憂さ晴らしに叩きのめしたいだけで殺したいわけではない。


 ヒールックの文句は聞き流し、槍で突きを放つ。

 連続で放たれる突きの一発、二発は辛うじて防いでいくが、三発目からは殆ど防ぐことが出来ず突きがヒールックの体を打ち据えていく。


「ぐっ! さっきから間合いの外から卑怯だぞ!」


 こいつは何を馬鹿な事を言っているんだ?

 実際は思わず言ってしまった台詞なんだろうが、口に出したことに呆れてくる。


 剣と槍では基本的に槍の方が間合いが広いのでヒールックが俺に反撃するには間合いを詰めないといけないのだが、防ぐ事で(殆ど当たっているが)精一杯のヒールックには間合いを詰めることが出来ない。


「そんなに俺の剣が怖いのか!」


さっきから怖いのかとか卑怯とか言っているが挑発のつもりなんだろうか。

 自分では間合いを詰められないから、何とか俺の方から間合いを詰めさせようとしているが、間合いを詰めてもヒールックには勝ち目なんか無いんだが理解なんて出来ないよな。






憂さ晴らしの為に、勝負が着かない程度に攻めていたがそろそろ飽きてきた。

 あまり気は晴れないが元々人をいたぶって喜ぶ趣味も無い。

 これ以上は面倒くさいだけなので勝負を着けにいこう。


 挑発に乗ったわけではないが俺のほうから間合いを詰め、突きから殴打に、点から線に攻撃を変える。

 俺が間合いを詰めたことにヒールックはニヤリと笑うがすぐに焦燥した表情に変わっていく。


他の槍使いは知らないが俺は連続の突きより、円運動を利用した連続の殴打のほうが(矛先の方も(覆い)で切れないようにしている)攻撃の回転率は早く、突きを放っていた時よりも攻撃の回転率が上がったのでヒールックに当たる攻撃の数が増え、さっきまでは僅かに動けていたが今は動くことが身を固めて槍による殴打を耐えている。

 

「がああぁ!」


 ヒールックは身を固めて耐えても好転しないと判断したのか、雄叫びを上げ、殴打を受けながらも剣を大きく振り上げる。

 

 思いっ切りと判断力は悪くないんだけどな。

 はっきり言ってこっちが仕掛ける手間が省けただけで無駄な足掻きだ。


 剣を振り上げたことで隙だらけとなったヒールックの顎先に槍を叩き込めば、膝から崩れ落ち、後少しで倒れるというところで剣を支えにして何とか立っている。


「っまだ…まだ……」


「そこまでだ。お前の負けだ。あー……ヒールックだったか? お前じゃあ『犬飼』にはいくらやっても勝てねーよ」


まだまだ、勝負を続けようとするヒールックをイドフロンが止める。


 驚いた。イドフロン達は立会人だけでなく審判役もやっていたのか。

 けど、それにしては御粗末なところが多い。ヒールックの名前をキチンと覚えていなかったり、俺の攻撃が何度も当たっているのにそれに対して何の判断も下していない。

 こいつらは本当は何がしたいんだ?


「そんな…俺は、まだ…戦えます」


「お前の負けだって言ってんだろ。お前、人相手の戦い方なんぞ知らねーだろ。そんなので勝てるわけがねー」


「えっ?」


 ヒールックの主張をイドフロンはバッサリと切り捨てて勝負を終らせにかかっている。


 まあ、客観的に見ても俺の方が圧倒的に有利だったんでイドフロンの判断に異論をはさむつもりはない。

 それよりもイドフロンが人と魔物では戦い方が違うことを知っているということの方が興味を惹かれる。

 ヒールックはやっぱりというか、知らなかったのかイドフロンの指摘に疑問の声を上げるだけだ。

 

「そんなんだから、『犬飼』に虚仮にされんだよ」


 馬鹿にしたようなイドフロンの言葉を聴いてヒールックは悔しそうな顔をして俯いてしまう。


 もう少し口調と言い方を考えてくれ。憂さ晴らしに痛め付けたが虚仮にしたつもりはない。ヒールックに逆恨みされそうだ。


「これで勝負は終わりだ! 『犬飼』! アスリラ! お前らは俺のパーティに入れてやる。有りがたく思え」


―――うん?


終了宣言から次に放たれたイドフロンのセリフに思わず首をかしげる。

こいつは何を言っているんだ?


それはアスリラも同じなのか戸惑った顔している。


「イドフロンさん。私とコウセルはパーティに入れて頂きたいわけではないんですが」


「あぁん! イドフロンさんの誘いを断るつもりか! お前!」


アスリラが躊躇いながらも誘いを断ればイドフロンのパーティメンバーだろう男が激昂するが何で断られないと思っているんだ。


激昂された事に畏縮しながらも断り続けるアスリラに、他の連中も苛立って来たのか文句を言い始め、ヒールックはアスリラを助けようとしていたが「関係ない奴は引っ込んでろ!」と言われて蚊帳の外に弾かれる。


これは俺が助けないとダメだよな。

自分自身にも関係しているし、リーゼ達やアルナーレ男爵にもアスリラを頼むと言われているんだ。それに見捨てるのは後味が悪すぎる。


「俺も勧誘はお断りさせてもらいます。後、アスリラさんは俺のパーティメンバーです。強引な勧誘は止めてもらいますか」


「寄生虫くせに俺の決定に逆らって、指図までするつもりか」


寄生虫?パーティメンバーや他者に恩恵だけを受けて役に立たない奴が、そう呼ばれるが俺は呼ばれる覚えはない。

イドフロンが文句を言えば、他の連中もアスリラから俺に矛先を変えて寄生虫だの格下など言って責めてくる。


ヒールックで憂さ晴らしたのに、またイライラとしてきて最初よりも苛立ちが増す。


「さっきから人を寄生虫だの格下とか言ってくるが、あんた達にそんな事を言われる筋合いはない。

 それに格をどうこう言うなら、少なくとも俺とあんた達は最低でも同格、それか俺のほうが上だ」


「ふざけんじゃねーぞ! 同格どころか自分の方が上だぁ。あるわけねーだろ!」


見下していた相手に雑な口調で言い返して来た事が気に食わなかったのか、イドフロン達の表情が険しくなり、一人は怒鳴り声を上げ、それにヒールックとアスリラは顔色を悪くする。


 怒鳴られたのは俺で、なんとも思わないが、二人はそうもいかないか。

 暮らしている街の有力クランの探索者に目を付けらるかも知れない。

 そういうのは出来れば避けたいと思っているんだろうが、どの道、イドフロン達の勧誘という名の命令に逆らうんだ目は付けられる事になるだろう。


一応、アルナーレ男爵にこの事を報告するからアスリラは大丈夫だろうし、ヒールックも所属しているクランが守るはずだ。

俺の方は返り討ちにするなりシビアを去れば良いだけなので気にならない。


もうヒールックとの勝負は終えたんだ。さっさと会話を切り上げて街に戻ろう。 


「俺が唯の探索者ならそうだろうが、俺はリディアの迷宮の踏破者だぞ。あんた達がどれくらい偉いかは知らないが、踏破者よりも偉いのか?」


踏破者であることを持ち出せば、向こうは俺を雑に扱うことは出来ない。

 『踏破者』という称号はシビアの探索者たちから大きな影響力を得られる。

俺の評価が低いとはいえ安易に貶す事は出来ない。

 それをすればシビア中のクラン、探索者から睨まれ、自分達が目指しているものに泥を塗る事になる。


素直に非を認めるような事は無いだろうが、これで大人しく引き―――


「お前が本物の踏破者だっていうなら、それなりに扱ってやるさ。だがな、なんでお前みたいな寄生虫の卑怯者を特別扱いしねーといかねんだ」

 ―――は? おい、まさか。


「……あんた達、俺がクートゥリーゼ様のパーティに居ただけだと思ってるのか?」


「そうだ。お前だけじゃね。クートゥリーゼもアスリラも魔法使いのラーネルに寄生していただけだろ」


寄生していたと疑っているんじゃなくて、寄生していたと決め付けていやがる。


「本気で言ってるのか?」


「当たり前だ。お前みたいなポッと出や、女連中が迷宮ボスを倒すには魔法以外あり得ね」


 何だその理由は、自分たちの妄想じゃねぇか。

 質の悪いことに自分たちの言い分をまったく疑っていない。


「ちょっと待て。仮にあんたが言っていることが本当だとすれば〈迷宮の標〉が何らかの情報をシビアの貴族たちに報告するだろうし、あの場には〈黎明の剣〉も居たんだぞ。

彼等が回りに言いふらさなかったとしても雇った貴族には何があったか報告する。それで貴族が何もしないのはおかしいだろ。

それにBランクの魔物は魔法使いが居るからといって簡単に倒せる相手じゃないぞ」


  本当に寄生していただけだとすれば周りの者、今回なら特に貴族達が黙ってはいない。

今回の踏破者の中には貴族令嬢であるリーゼがいる。

一時的とはいえ、一家だけが力を強めるのは面白くないはずだ。それに〈黎明の剣〉を雇った貴族は理由はどうであれ、得られるはずだった利益を横取りされたんだ荒を探して貶めようと考えても不思議ではない。


あと、魔法使いがいれば迷宮ボスを倒せるようなら、シビアの外に依頼を出したりはしないはずだ。


「監視していた奴と〈黎明の剣〉は金とか女で黙らせて、迷宮ボスは高けー道具を使って魔法の威力を上げて倒したりしたんだろ」


「そんな事、出来るわけ無いだろう。いや、仮に出来るとしても大赤字になるぞ」


「踏破者が身内に居ればどうとでもなるだろ。そんな事も分からないのか、お前は」

―――なる訳あるか! 妄想を垂れ流してんじゃねーぞ!


コストもリスクもリターンも何も考えてない。

第一、懐柔することが出来ると考えているのが間違っている。

 〈迷宮の標〉の監視役は懐柔をしてくる奴がいる可能性が有るから信頼できる者を派遣するだろう。

〈黎明の剣〉は高ランクを目指すパーティだ。どれくらい上を目指しているか分からないがAランク以上を目指すなら人格、信用、信頼が必要になってくる。それを損なう、疑われるような事はしない筈だ。

 何より一時的な金の為に貴族を敵に回すようなことはしないだろう。


 早くシビアに帰ろう。これ以上、イドフロン達と話しても時間の無駄になるだけだ。


「あんた達の言い分は分かった、こっちの話を信じる気は無いみたいだな。

 改めて言うが勧誘は断る。こっちの話は信じない考え方も違いすぎる、パーティを組んでもやってはいけないだろう。もう帰らせてもらう」


「は、バレるとは思ってなかったか。まあ、俺もお前をパーティに入れようとは思ってねーよ」


  俺の嘘を暴いて言い負かしたと思っているんだろうから、ドヤ顔するのは分からないでもないし、パーティに入れるつもりは無いというのは面倒が少なくなって良いんだが、剣を抜いてこっちを囲むように散開するのは―――


「何のつもりだ」


「お前とヒールックは勝負の結果、二人とも死んでそれで取乱したアスリラを俺たちが慰めてそのままパーティ入りするという事だ」


「始めから、こっちが目的か」


 道理でヒールックの名前もまともに覚えてない訳だ。


 さっきまで怒りで歪めていた顔が人を嘲るものになり、()()()妄想でもしているのか下品な表情をしている奴もいる。


「『犬飼』 アスリラを連れて逃げろ」


明らかに殺しに来ているイドフロン達を、どう処理すべきかと思い悩んでいると、答えを出す前にヒールックがボロボロの身体で俺とアスリラを庇うように前に出ていく。


「俺のせいでこうなったんだ。逃げる時間は死んでも稼ぐ」


「は、お前程度が俺たちの足止めが出来ると思ってんのか」


 ヒールックの決死の覚悟をイドフロンは馬鹿にするように嗤う。


 何か向こうだけで盛り上がってるな。

ヒールックは大真面目で俺達を逃がそうとしてるんだろうけど、逃げなければならないような状態ではないし、ここで倒した方が後々楽だ。


「おい」


 槍を構えてヒールックと横並びになるとヒールックが非難がましく声を掛けてくる。


「逃げる必要なんて無い。それにこいつ等をここで倒しておいたほうが後々楽だ」


「寄生虫ごときが俺たちに勝てるつもりでいるのか」


「そうだよ。あんた達程度に負ける訳がない」


「―――楽に死ねると思うなよ」

 ―――沸点低いな。


 ヒールックに対して返したんだが、先に反応したのはイドフロンだ。

 馬鹿にするような顔をしていたが、少し言い返せば怒り心頭なのか顔を赤黒くする。


「死人が出るとしたらそっち側だよ」


「ちょっ!? コウセル! 殺しちゃ駄目だよ。加減して!」


「ぶっ殺せ!」


怒りを爆発させたイドフロンの怒声と共にあっちは全員が動く。


最後の切っ掛けになったのはアスリラの言葉だよな。

全く自分達が脅威と思われてないのがプライドを傷付けたか。

まあ、実際に脅威にはならない。


改めてイドフロン達を見る。イドフロンともう一人が剣士、壁役の大盾持ちが二人、スカウトと短めの鉄棒を持った奴が一人づつ。

 スカウト以外は俺とヒールックに突っ込んできて、残りのスカウトは回り込もうとしているので多分、アスリラの方に向かっているんだろうと思う。


 ヒールックはボロボロなので戦力としては当てにならない。

 アスリラは相手がスカウト一人だし、いざとなればハチが助けるだろうから多分、大丈夫だ。


「死ねやぁ!」


一番最初に襲い掛かってきたのは一人突出していた鉄棒の男。大きく振り上げた鉄棒をヒールックに振り下ろそうとし、少し遅れて他の四人は陣形を組み壁役二人を前にイドフロンと剣士が左右斜め後ろに控えながら向かってくる。


弱ってる相手を狙いのは間違いじゃないが、鉄棒の男は俺を無視しすぎじゃないか。


 一歩踏み出し鉄棒の男の顎を槍で打ち上げ、踏み出した足を軸に鉄棒の男を蹴り飛ばす。


「邪魔だ! 荷運び!」


 蹴り飛ばした鉄棒の男は一人の壁役の前に転がり、行動の邪魔になる。


 連携が出来ていないのは役割が戦闘ではなく荷運びだったからか。

 突出していたのはボロボロのヒールックなら自分でも何とかなると考えたからだろう。考えが甘すぎる。

 後、鉄棒の男の扱いは雑だな。壁役の声は仲間を心配するような感じじゃない。

 哀れに思う所もあるが俺には関係ないことだ気にするのはやめよう。


 鉄棒の男から思考を戦闘に戻し、次の行動に移る。

 行動を邪魔されなかった壁役は他よりも前に出ているので、そちらに近づき突きを放つ。

 壁役は軽々と盾で突きを受け止めるが、想定内で壁役の後ろから出てきた剣士の剣を避けると共に壁役の大盾を踏み台にして上へと高く飛ぶ。

 遠距離攻撃の手段が無いのかイドフロン達は一瞬、呆けた顔をしながら俺を見るだけだが、着地した無防備な瞬間を狙えると考えたのか喜色と俺を馬鹿にするような表情を浮かべて待ち構えている。


「●●●●●・●●●●●・●●●~(電撃)」


 空中にいる間に魔術詠唱を済ませ(電撃)をイドフロン達に放つ。

 まさか、空中で攻撃をしてくるとは考えていなかったのか驚いた顔をして、全員が(電撃)を浴びて倒れる。


 どうして、自分たちに攻撃手段が無いから、相手も攻撃手段は無いだろうと思ったんだ?

 それに俺は魔術師と名乗っているだぞ。魔術を警戒しようとは思わないのか。

 やっぱりアレか。魔術を使って戦闘をしないので槍使いの戦士としか認識されていないのか。

 これまでは表立って使える魔術は(投石)のみだったが、雷の書のおかげで表立って使える魔術が増えたから積極的に使っていかないとな。

 魔術師を名乗っているのに戦士としてしか認識されないのは悲しいし、周りからは滑稽にしか映らないだろう。


「きゃああああぁ!?」


 地面に着地してこれで終わりか?と思っているとアスリラの悲鳴が聞こえ、視線を向ければ倒れているスカウトと少し怯えた表情をしたアスリラがいる。


 何があったんだ? 襲われたから悲鳴を上げたにしては何かおかしい。


「どうした! アスリラ!」


「襲ってきたから蹴ったんだけど―――」


悲鳴を上げたことにヒールックが心配そうに大声で尋ね、アスリラの返答はおかしなもの―――


「―――何か潰しちゃったかも」


 何かって何だ? 改めてスカウトを見れば、両手が股間を押さえて白目を向いている。


『良いのが入ったでアリマス』

 ―――そうか、良いのが入ったか。


 ハチから念話であまり聞きたくない報告を聞く。

 アスリラは魔力操作の訓練をさせているから、平均的なシビアの探索者より身体強化が早く強く出来るはずなので蹴りの威力も高めだと思う。


 スカウトはアスリラを襲うより、俺とヒールックの方に向かってきたほうがよかったのかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ