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魔法使いの頼み事

漸く書き上がりました。楽しんでいただければ幸いです。


アスリラと声を合わせて「かんぱーい」と言って、エールの入った木の杯を打ち合わせてから口へ運ぶ。

ゴクリと大きな一口を飲んで木の杯をテーブルにおく。


そこら辺で出されている酒だと酒造技術が未熟なのか地球の物と比べるとイマイチだ。

まあ、それでも冷えている分(自分で冷やした)マシでアスリラは美味しいと木の杯を空にする勢いでゴクゴクと飲んでいる。

飲み切れず口から零れたエールが首に垂れていき最終的に胸の谷間に消えて行くのがスゴくエロい。


今、こうしてアスリラと一緒に酒場で酒を飲んでいるのは、偶然、鉢合わせたからではなくパーティを組んでいるからだ。


リディアの迷宮の最下階層を攻略してから三週間が経とうとしている。

意識を失っていた期間と意識を取り戻し静養という名の監禁で一週間。

 破損した装備の購入と戦闘感覚などを取り戻すリハビリを兼ねてリーゼ達のパーティとアルナーレ男爵家の次期当主のジルモルトを連れて二十一階層から三十一階層までの下層部を踏破で一週間。

 そして、二日ほど休息を取った後、今度はアスリラ一人だけとパーティを組んで迷宮探索をこなし今日、地上に戻って来て打ち上げをしている。


 最初の一週間はとにかく暇だった。客室から出る事は出来ないので、ベットに横になりながらハチを通して情報収集をしていたが、それしか出来ないので必要だと思う分の情報が揃うとやる事が無くなり寝て過ごす事になる。

 

 次の一週間は驚くことが多かった。客室から出られるようになったと思ったらアルナーレ男爵に執務室に呼び出されて頭を下げての謝罪をされた。

 執務室に呼び出された時点で、情報操作でされている俺の評価について何か言って来るんだろうとは思っていたが頭を下げての謝罪は想定外だ。


 確かに結果的にアルナーレ男爵家に貢献をした。それに庇護するという約束もある。

 だから、俺の評価が不当に貶められているのは庇護できていないという事になり、アルナーレ男爵には非があるのだが、頭を下げるほどかというと否と言うしかない。

 貴族の頭というのは、どんな事があれ、ただの平民の冒険者に下げるほど安くはない。

 それでも、頭を下げて謝罪しているのは悪いと思っているのと、これ以上、関係を悪化させない為だろう。


 頭を下げての謝罪を受け入れなければ必要以上にアルナーレ男爵の名誉を汚す事になり、そうなると関係も悪化し、俺に対する庇護の力も弱くなり、最悪は縁を切られる。

 俺がシビアで活動するには、まだアルナーレ男爵家の庇護が必要だ。他の貴族なり、クランに庇護を求めることは出来るが今以上に良い条件の所はないだろう。


 俺の評判について軽く責めて優位に立とうと思っていたが、これでもう責めることは出来ない。

 アルナーレ男爵は名誉を汚す事になったが立場は変わらないままだ。


 アルナーレ男爵の人柄はまだ理解できていないが頭を下げる事を手段として使って来るので、手強い人だというのが分かる。


 それから詫びという事で買い直す装備類や、次の探索の為の荷物の代金を代わりに払うという提案を受ける事になったが、俺に対する詫びというより次の探索には次期当主のジルモルトを同行させるつもりだったから提案したんだろう。

 下手に安物を買われて危機に陥ったら向こうは困るからな。


 そして、リハビリ兼ジルモルトの護衛しつつの下層部踏破を終えた。


 最後の一週間はリーゼとラーネルは貴族のパーティーや王都へ行く為の準備が忙しく、アスリラと迷宮探索をしている暇が無いので代わりに俺とパーティを組む事になった。


 別に俺じゃなくても良いんじゃないかとも思ったが、リーゼ達がパーティを解散した後に起こるアスリラ(踏破者)の取り合いで、何処かが有利になるような事は避けたいという。


リーゼ達三人にお願いされて、アルナーレ男爵にも頼まれれば断ることは出来ない。まあ、この時のアスリラはハチと一緒に居たいというのが本音ぽかったが。

 それに俺も知り合いを面倒事に巻き込まれるのは可哀想だという思ったのでパーティを組んだが、さっさと次のパーティを探して、そっちに移って欲しいという思いも有るので、この場でアスリラに聞いてみる。


「アスリラさんは、次に組むパーティの目処はついているの?」


「全然ついてない。もういっそコウセルと組もうかな」


「俺と組んだ場合は、シビアどころか国から出ることになるよ」


「う~ん。シビアから出ちゃうのはな~」


注文した炒り豆をポリポリっと食べながらアスリラが答えるが、本当に当てがないんだな。俺と組むというのも本気ではなく冗談ぽい感じだ。


「知り合いの居るところとか、どうなんだ?

え~と、名前は思い出せないけど〈犬狩り隊〉だったけ」


「ヒールックの事? あ~ん~、悪くは無いんだけどね」

 ―――ああ、そんな名前だったな。


ヒールックが好意をアスリラに寄せているから進めてみたが、本人も満更でもなさそうだが煮え切らない返事が返ってくる。

 

 アレかな。ヒールックがヘタレなのがいけないんだろうか。


「こんばんはコウセル」


何が気に入らないのか聞こうと思った時に誰から声を掛けられ言いそびれ、振り向いてみれば、そこに居たのはラルベルグだった。


「やっと見つけたよ」


どうやら随分俺を探していたみたいだな。

ほとんど、アルナーレ男爵の屋敷に居るか、迷宮に潜っていたので会うのは難しいかな?


「久しぶりでいいのかな? ラルベルグ。俺を探していたみたいだけど、何か用事?」


「うん。コウセルに頼みたい事があって探していたんだけど、話は食事をしながらでも良いかな? パーティメンバーもいるんだけど」


 俺に頼みたい事? 何だろう?

 特に俺には立場もコネもないのに検討が付かない。ラルベルグに聞けばすぐにわかる事だが。


「俺は良いけど……」


「私も構わないよ。もう一つテーブル持って来ないと座れないね」


「ありがとうございます。メンバーを連れてくる時にテーブルも持って来ますので座って待っててください」


 視線で良いのかどうかをアスリラに訊ねれば、了承を得られ。

 ラルベルグは礼を言ってからメンバーを呼びに離れて行き、そして、少しするとリディアの迷宮で見かけた時よりも軽装な恰好をした〈黎明の剣〉のメンバーがやって来て、持って来た二つのテーブルを並べ終えると、椅子に座りながら酒場の給仕にそれぞれが注文をし始める。

 

 〈黎明の剣〉全員が注文を終えるとラルベルグが喋り始めた。


「まず、話をするのに応じてくれてありがとう。それで話をする前に自己紹介をしたいと思うんだけど、どうかな?

 僕とコウセルは、お互い軽く自己紹介はしたけど残りのメンバーはしてないし、アスリラさんは僕たちが一方的に知っているだけだから」


「分かった、それじゃあ私からするね。私はアスリラ、アルナーレ男爵家のクートゥリーゼ様のパーティメンバーだけど、今は一時的にコウセルとパーティを組んでます。

 それでこの子がハチちゃん。コウセルの相棒だよ、よろしく~」

 

ラルベルグの提案を受け入れて、俺が何か言う前にアスリラはハチを持ち上げて、自分とハチの自己紹介を始め、ハチは自分が紹介された時に「ワンッ」と普通の犬のように鳴き、返事している。

 副音声で「よろしくでアリマス」というハチの声が聞こえてきそうだ。


 〈黎明の剣〉の神官の女性はハチを抱き上げているアスリラをうらやましそうに見ていて、他はハチを珍しがっている。


別に自己紹介するのは良いんだけど、少しは俺に聞こうとしてくれても良いんじゃないか、アスリラ。

顔には出さないが内心なんとも言えない思いは有るが、とりあえず置いといて、アスリラに続いて自己紹介をさせてもらおう。


「次は俺が。ソロで冒険者として活動しているコウセルです。魔術師をやってます」


「『犬飼』とは名乗らないのか?」


俺に付いている二つ名を名乗らないのが不思議に思ったのか、スカウトの男が聞いてくる。


普通の冒険者や、探索者なら誇る事の方が多いから疑問に思ったのかな。


「ハチの事は気に入ってるんで、別に嫌だって訳じゃないんですけど。俺、個人的には魔術師を名乗ってるんで、それに関係づけた二つ名が欲しいんですよ。

 『犬飼』は、ただハチを飼っているから付けられた二つ名なんで、何ていうか微妙なんです」


「あ~、確かに勇ましい感じは無いな」


 別に勇ましいのが欲しい訳ではないが、まあ良いか。


「質問してたついでだ、こっちは俺から自己紹介するぜ。名前はルウェインだ、スカウトをやってる」


 口調はちょっと荒い様に思うが、探索者ならこんなモノか。


 ルウェインは大柄ではないが腕の筋肉は脂肪の無い引き締まったもので、身体全体もそんな感じだろう。

 腰に付けているポーチと投擲用のナイフなどが多いので、アスリラの様にナイフで戦うのではなく色々な道具を使って戦うタイプかな。


「次は私ですね。私は友愛の神テルティアの神官、フォトルと申します。この出会いに感謝を」

―――テルティア教の神官か。


フォトルの見た目は長い金髪の清楚な美人という感じの女性だ。


 テルティア教の教義は、種族の隔たりを無くし手を取り合って、より良い世界を作って行こうというもので、簡単に言えばみんな仲良くしましょうというものだ。


俺の中でテルティア教で印象深いのは、テルティア教の聖女アモル。

 彼女は祭り上げられたサティアとは違って、神の祝福を受けた本物の聖女、選定の勇者であるフリーデンの恋人だった。

前世の俺とアルクスが亡くなった、大罪の人災後はフリーデンと結婚したらしいが詳しく事は知らない。

後からフォトルに話を聞けば、今より詳しい事が分かるかも知れないな。


「次はナーレンですね」


次にとフォトルが隣に座っている魔法使いの女性に順番を回すのだが、「私は最後で。今回のお願いは主に私ですから」と言い、身体のデカい男性に順番が回る。


 魔法使いが魔術師である俺に、お願いか。余計に分からなくなってきたな。


「俺はモートロ、戦士をしている。よろしく」


「ん? えっと、よろしくお願いします」


 モートロは身体がデカく厳つめの顔をして口数が少なめなので、少し威圧感が出ている男性だ。


 簡単な自己紹介が終った後にモートロが手を出して来たんだが、握手をしようとしてるんだよな?

 戸惑いながらも手を握れば、握手で間違いはなかったらしく、モートロも軽く握ってくる。


握手するのは良いんだが、なんでモートロだけが握手を求めてきたんだ?


「モートロはコウセルさんを尊敬してるので握手をしたいと思ったんですよ」


俺の態度から握手するのを疑問に思っているのを察したのかフォトルが説明をしてくれたんだが、また別の疑問が浮かんでくる。

戦士であるモートロに尊敬されるような事、何かしたか?


「コウセル達が迷宮ボスに挑んでる時、失敗したら次に挑戦するために僕達が後ろに控えていただろ。

その時にコウセルが迷宮ボスを抑えていたのを見て感心したんだよ」


「俺は壁役だ。やり方は違うが迷宮ボスを抑えていたお前はすごい」


 ラルベルグが説明して、モートロが褒めてくるが心情的には微妙だ。


「はぁ、どうも」


「何だよ、気のない返事だな。喜べとは言うつもりはねーが、もう少し嬉しそうにしても良いんじゃねーか」


 気のない返事をしたせいかルウェインに嬉しくないのかと指摘が飛んでくる。


 戦士なら技量を認められたという事で嬉しいかも知れないが、戦士じゃなく魔術師だからな。


「いや、別に嬉しくない訳じゃないんだけど、魔術師と名乗ってるのに戦士として評価されるのは―――」


「でも、仕方がないんじゃないの? コウセル、戦いで使える魔術、覚えてないじゃん」


 ルウェインに対して弁明している途中でアスリラからのツッコミが突き刺さる。


 変に目立たない様に人前では今世で習った―――という事にしている――― 魔術しか使わないようにしているから戦闘で使える魔術は(投石)のみ。

 そうすると(投石)を使うより槍で戦った方が効率が良いので魔術は使わなくなる。


 本当なら、もっと多くの魔術が使えるんだけどな。これで魔術師として評価してくれという方が難しいか。


「まあ、これから覚えていけば良いんじゃないかなコウセル」


「ああ、そうするつもりだよ」


 落ち込む俺に苦笑しながらラルベルグが慰めの言葉を掛けてくるが気分は晴れない。


「―――次は僕の番だね。コウセルは知ってるけど改めて自己紹介するね。

 〈黎明の剣〉のパーティリーダーのラルベルグです。剣士で流派はアーク流です」


 流派のこと以外は事前に知っている事だけだな。

 確かアーク流は転生してからアルクスが使っていた流派だと少し聞いたが、門弟であるラルベルグはどう聞いているんだろう。


 俺の知っている限りアルクスは何処の流派にも所属していないし、学んでもいない。

 あいつが身に着けていたのは一般的な基礎の剣技で、後は俺が教えた魔力操作で独自の剣技に仕上げていた。

 Aランクという魔力を惜しげもなく使い、すべての攻撃が一撃必殺というべき斬撃を繰り出す形に。


 後、自己紹介するのは一人だけだ。自己紹介と俺への頼み事を聞いてから、テルティアの事と共、アーク流について訊ねてみよう。

 

「最後に私ですね。ナーレン、魔法使いで風と土のダブルです」


 ナーレンはゆったりとしたローブ姿なのでスタイルは分からない。髪は頭の後ろで三つ編みで一本にまとめてある。

 後は珍しく眼鏡をかけているのが特徴だ。


 これは思った以上に珍しいな。魔法使いというだけでも珍しいのに風と土のダブルと来た。

 けど、そんな魔法使いが(魔術師)に頼み事とは何だろう?


「コウセルさん、頼みごとが有るんですが、その前に魔術を使っている所を見せて貰ってもいいですか」


 本当に魔術が使えるか疑っているのか? 見る限りでは悪意はなく、確認の為という感じだな。


「良いですよ。それじゃあ―――ラルベルグ、エールの入った木の杯、貸してくれる」


「良いけど、どうするの?」


「それは見て、というか感じてからのお楽しみだな」


 ラルベルグからエールの入った木の杯を受け取ってから詠唱を唱えて指先でコツコツと木の杯を叩き、ラルベルグに返すために木の杯を差し出す。


「え~と、何をしたかったの?」


「まあまあ、杯を受け取ってエールを飲んでみて、すっごく美味しくなってるから」


 特に変化が無い事に疑問を浮かべるが、それを気にせずアスリラが飲んでみろとラルベルグに勧める。

 訝しながらもラルベルグが俺から杯を受け取ると、杯が冷たくなっている事に気が付いたんだろう、驚いた顔をして少し戸惑いながらもエールを口に運んだ。


「………冷たくて美味しい」


「そうでしょう。コウセルと打ち上げすると冷たいエールが飲めるから良いんだよね~。

 後、ハチちゃんも居るし」


 何でかアスリラが自慢そうに言い、ハチに腸詰を与え、ハチも嬉しそうに腸詰を食べている。


 いやいや、アスリラが自慢する事じゃないし、ハチは関係ないだろ。

一応、俺を持ち上げてくれているんだろうか………いや、多分、意味もなく騒いでいるだけだな。


「今、エールを冷やしたのが(冷却)で、逆に温める(加熱)も使うことが出来ます。後は―――」


驚いているラルベルグと不思議そうにしているナーレン達に使った魔術の説明して、今度は全員に分かりやすいよう(照明球)使い光力の弱い光の玉を出す。

(照明球)にはナーレンが一番驚き、他の〈黎明の剣〉のメンバーは少し驚き、不思議そうに(照明球)を眺めている。


普段からナーレンの魔法で不可思議な現象には慣れているのか、〈黎明の剣〉のメンバーはナーレンを除いて、今まで魔術を見た人達より驚きは少ないな。というか何でナーレンが一番、驚いてるんだ?


「コウセルさんは聖と火、水の亜種、氷属性のトリプルの魔法使いでは無いんですよね」


困惑しながらもナーレンは俺に魔法使いではないのかと訊ねてくる。


魔法使いだからこそ他のメンバーよりも驚いていたのか。


(照明球)と同じようなことを魔法でしようとすれば聖の属性が必要で(冷却)は氷属性―――水属性で出来ない訳ではない――― が必要だ。その上(加熱)まで使えるとなると火属性も持っている事になりトリプルの魔法使いという事になる。

トリプルの魔法使いという事だけでも珍しいのに、なかなか現れない聖と氷の属性持ちとなれば、他のトリプルの魔法使いより大きく評価されるだろう。


使った魔術はレベルの低いモノだが、ナーレンからすれば自分以上の才能を持っている魔法使いのようにも見えるんだろうな。


「はい」


「その、すみませんが、何か魔法使いでは無いという事を証明する事はできませんか。お願いする事を他の魔法使いに聞かれたくないんです」


 困った顔をしながら魔法使いでは無い事を証明してくれとナーレンに言われるが、難しいな。

 魔法と魔術はどちらも方法は違うが魔力を使って現象を起こしているので、違いを理解するには前提知識とそれを理解して魔力の働きの違いを感知する感覚が必要だ。

 冒険者ギルドにある魔力と魔法適性の測定装置を使えば簡単に証明は出来るが、ここにはない。


 この場で俺が魔法使いでは無い事を証明できないが、今の俺の立ち位置を話せば納得はするか?


「今、この場で魔法使いでない事を証明するのは出来ませんが、今の俺の状況を考えれば魔法使いじゃないと思いませんか。

 ナーレンさんの言うようにトリプルの魔法使いだとすれば、ソロで気軽に冒険者なんて出来ませんよ」


「………ああ、そうですね。良くも悪くも勧誘や抱え込みが引っ切り無しに来ますからね。すみません疑うような事ばかり言って」


 ポカンと少し驚いた顔をして、自分の過去でも思い出したのか苦笑しながらナーレンは納得してから疑っていた事を謝ってくる。


 すんなり納得する所から見るに、かなり苦労をしたんだろうな。ジッフル男爵みたいに、こっちの都合など考えない奴はいくらでもいるからな。

 どういう経緯で〈黎明の剣〉に入る事になったかは分からないが、パーティ内の関係は良好そうなのでラルベルグ達は良い仲間なんだろう。


 俺にもいずれ仲間と言うような相手が出来るのだろうか。前世の記憶などの秘密が有るので当分はハチとの一人と一匹の旅になりそうだな。


「構いませんよ。それで俺にお願いしたい事というのは何なんですか?」


 さて、問題も解決したところで本題に入って貰おう。

 ナーレン(魔法使い)(魔術師)に何を頼んでくるんだ。


 ナーレンは真剣な表情をしてルウェインに視線を向け、ルウェインも真剣な顔で周りに視線を向けてからナーレンに頷き返す。

 ―――誰かが盗み聞ぎしているのを警戒したのかな。


 そしてナーレンの口からお願い事が出てくる。


「私に魔術を教えてください」

 ―――本気か。

 


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