表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/67

問題が増える

10/9加修しました


 リーゼからケイッコー鳥の青羽の採取するのに力を貸して欲しいとお願いされて、何か俺に問題があった時に貴族として力を貸して貰う事を報酬で手伝う事にした。

 ケイッコー鳥の青羽を採取しても力を貸して貰えるかは確定はしていないが仕方がないか。このままだと何時までも中層で活動する事になるかも知れないからな。


 部屋に戻って準備をすると言っても着替えと魔法の鞄マジックバックを持ってくるだけだから、すぐに終わり、部屋を出る。

 

「コウセル殿、もう準備は良いのか」


 部屋から出て、外に行こうとするとリーゼ達が入り口で待っていた。何してるんだ?


「はい、後は外で食料を買えば良いだけですから。それよりここで何してるんですか?」


「何してるって、コウセルを待ってたんだよ。ケイッコー鳥を探しには一人で行くつもりだったの?」


 アスリラに言われて気が付く。

 食堂で話していた時には一緒に行くか、一人で行くか言っていなかったな。勝手に一人で行くつもりだったので気付かなかった。


「すみません、どうするかは話していませんでしたね。俺は一人で探しに行こうと思います、手分けした方が良いですし」


「土地勘が無いと思うが大丈夫なのか?」


 リーゼが土地勘が無い事を心配してくれるが、迷宮の様な閉鎖空間でなければ迷うような事は無い。

 最悪、迷ったりしても、どうにかする事はできる。


「大丈夫ですよ。最悪、道に迷ったら木の上に登ったりして町の方向を確かめますよ」


「そうか、それなら良いんだが。お願いしといて何だが無理はしない様にしてくれ、進化した魔物と遭遇したら逃げるんだぞ」


「はい」


 一応、素直に返事はするが、遭遇してもCランクで討伐依頼を出される魔物なら問題は無いけどな。


「三日後の十七時、十一の鐘が鳴る頃に一度、ここでまた会いたいと思う、どうかな?」


「分かりました。三日後の十一に鐘ですね」


「ああ、コウセル殿、本当に気を付けるんだぞ」


「はい。では行ってきます」


 リーゼ達に挨拶をしてから受付に鍵を預けて、子犬の寝床亭を出る。

 ケイッコー鳥を探すのを優先するが、進化した魔物も、ついでに狩るか、シビア周辺の魔物とは違いが大きいから捜すのは簡単だろう。

 冒険者ギルドの出されてる依頼はCランクなんで受けられないのが惜しいな。まあ、どのみち目立つから依頼は受けないが。













 


 食料を買い集め、出発に準備は出来たが、一応、シビア周辺の地図と情報、ついでに受けられる依頼が無いか調べる為に冒険者ギルドによる事にする。


 冒険者ギルドにはランクに応じて冒険者ギルドが持っている情報を閲覧する事が出来る。リーゼ達も問題なく森に入っているから大丈夫だろうが調べておいた方が効率は良いだろう。


 探索者ギルドに入り、冒険者ギルドのスペースに行く。冒険者ギルドのスペースには疎らにしか人はいない。


 依頼が張ってある掲示板のスペースに行くとすべての掲示板に進化した魔物が出現していると注意するようにと警告書が張られている。

 警告書には進化した魔物の特徴も載っている。進化した魔物の名前はエアウルフ、狼の魔物で全長が百七十センチで額に角が生えていて風を操る事が出来ると書いている。


 掲示板の警告書を見ていると冒険者ギルドが情報を共有しているのが分かる。

 進化した魔物に遭遇して生きている冒険者や探索者が少ないのに確定している情報が有るのは他の国の冒険者ギルドから取り寄せているからだろう。

 このエアウルフだが、カロンスア王国では珍しい魔物だが、ある国では普通に生息している魔物だ。前世で遭遇したのを覚えている。

 何処で遭遇したのかは忘れたが、確か大草原に群れで生息していた。警告書に書いてあるエアウルフは大きさからして群れのリーダー格になるだろう。

 

 こういったところに時代が進み変わっているんだなと実感する。

 いや、こういったところでしか時代の進みを感じられないのは悲しむべきなのか?

 ・・・・・あまり深く考えない様にしよう。


 FからDランクの依頼書が張ってある掲示板を見ると殆どがアンニーに行く途中の護衛で、あとは常時張られているだろう魔物退治の依頼と薬草の採取、それとケイッコー鳥の青羽の採取の依頼書が有る。

 ケイッコー鳥の青羽の採取は金は要らないとリーゼに言っているので、受ける事が出来ない。割が良さそうな薬草の採取の依頼を掲示板から引きはがす、薬草の種類は知っている物なので知らない土地でも何とかなるだろう。


 引きはがした依頼書を手にカウンターまで持って行き手続きをする。


「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょうか?」


 カウンターまで行くと受付嬢が笑顔で対応してくる。


「依頼を受ける手続きと、魔物や自生している薬草など買取をしている物の情報の閲覧をお願いします」 

 

「かしこまりました。まず、お受けする依頼の依頼書とギルドカードの提出をお願いします」


 言われた通り依頼書とギルドカードを受付嬢に渡し、受け取った受付嬢は|魔導機器(魔導パソコン)にギルドカードを差し込み本人確認をしてくる。


「お名前とランクを仰って頂いて宜しいですか」


「名前はコウセル、ランクはEです」


「はい、確認いたしました。少々お待ち下さい」


 受付嬢が隣にいる別の受付嬢に指示を出してから、|魔導機器(魔導パソコン)を使い依頼の手続きを進めていく。

 指示を受けた受付嬢はカウンターの奥の方に行った。シビア周辺の資料を取りに行ったのかな。


「コウセルさん、お受けする依頼ですが依頼を達成するのにシビア周辺の森に入らないといけません、しかし、今は森にCランクの進化した魔物がいます、本当に依頼を受けますか?」


 受付嬢が通常時と違い、進化した魔物がいるせいか依頼を本当に受けるか尋ねてくる。


 あれ? そういえば普通の冒険者達は森に入るような依頼を受けるだろうか、ここで俺が受ければ変に目立つか。

 受付嬢は依頼を受けようとしている事に驚いていない大丈夫だよな。


「――――はい」


「かしこまりました」


 受けると答えても受付嬢は特に表情を変える事は無かった。

 ―――――俺の考え過ぎか。


 依頼の手続きは終わったが奥に消えた受付嬢は、まだ戻ってきていない。手続きをした受付嬢から、少し待ってほしいと言われてソファーに座り資料を持ってくるのを待つ。


 暫くするとカウンターの奥から一人の男性職員が紙束を持って出て来て声を掛けてくる。

 男性職員は青みのかかった黒髪で温和な感じの雰囲気をしている。


「お待たせしました、コウセルさん。資料をご用意しました、閲覧室にどうぞ」


 閲覧室? そんなのが有るのか。

 情報を盗み見る事などを防ぐなら良い方法だと思うが俺が閲覧するのはEランクが閲覧出来る情報だ、わざわざ閲覧室を使う必要が有るのか?

 ゆっくりと資料を見ることが出来るから俺は良いんだが。


 男性職員に連れられて閲覧室に入る。

 閲覧室の中は机と椅子が二脚有り、照明の魔導具が取り付けられていて窓は付いていない。

 詳しく調べていないが見た限りは除き穴などは無さそうで機密性が高そうだ。


「どうぞ、お掛けください」


 男性職員に勧められて椅子に座り、資料を受け取り読んでいく。

 男性職員も対面に座り俺を見ている。資料に何かしないか見張っているのか?


 見られるのは気になるが、出来るだけ無視して資料を読んでいく。


 資料を読んでいくが特に目新し物はなかった。アンニーから、さほど離れていないから当然なのかもしれないが。

 資料の中にはエアウルフについて書かれた物があり、警告書には書かれていない注意事項などが掛かれていた。


 わざわざ持って来てくれたのかな。ありがたいがエアウルフの対処方法は知っているから必要は無いんだよな。


 資料すべてが読み終わったので男性職員に資料を返して席を立とうとすると男性職員が話しかけてくる。


「ありがとう御座いました。参考になりました」


「いえ、職務ですから。それより友人から聞いたんですがコウセルさんは大変、優秀な方だと聞いています」


 誰から聞いた? いや何処まで知ってるんだ。

 

 自分で優秀だと言うのは傲慢だが、モータルセンヌより何千年と進んだ地球の魔術知識と並みより多い魔力量、そして二回目の人生、これで優れていなければ凡夫以下になってしまう。

 まあ、今、思ったような力が有る事は誰も知らないだろう。

 今、知られている情報の中で優秀だと判断する情報はリディアの迷宮の中層を一人で探索できる事と薬草についての知識、それと鉄製の装備を槍で貫通させる事が出来る事だろう。


 この中で権力者に知られたくない情報は鉄製の装備を槍で貫通させる事が出来る事だ。他の二つは教育すれば出来る事だし、あまり魅力的ではない。

 鉄製の装備を貫通させる事が出来ると言う情報は、あくまで酒の席で〈鋼の牙〉が冗談で言ったと思われているから、周りは信じてはいない。

 しかし、誰かが信じて男性職員に接触するように言ったんだろうか。


 ランクの高い魔物は鉄よりも硬い身体を持っているので、ランクの高い冒険者なんかは鉄を砕いたり切り裂く事が出来る。

 今の俺のランクは低いが高ランクの冒険者になる事が出来る可能性が有るので、情報を信じた誰かが青田買いしようと動いた可能性もある。

 少し警戒し過ぎかと思っていたが、それでも足りなかったのか。


 険しい顔でもしていたのか苦笑しながら誰から聞いたかと言うが・・・・・


「そんなに警戒しないで下さい。コウセルさんの事はリカーから聞きました」


 リカー? 誰の事だ。


 分からないという顔をしていたせいか男性職員が話を聞いた相手のフルネームを教えてくれた。


「分かりませんか。リカーゲザの事です」


「リカーゲザさんですか」


 リカーゲザは何を考えて、この男性職員に俺の事を教えたんだ。

 嫌な想像だけどリカーゲザに騙されたとか?


「はい、彼から手紙をもらったんです、優秀な新人なんで何かあれば力になってやって欲しいと」


 この人を信用しても大丈夫なのか? リカーゲザが本当に彼に手紙を出したかは俺には分からない。


「信用できませんか、用心深い方だと聞いていましたが、かなりのものですね。こういう風に説得するのは嫌な何ですが仕方がないですね。

 コウセルさん、私があなたを誰かに売ろうするなら、すでに言っています。あなたは魔力量のランクがBもあります、誰かに売るなら、それだけで十分です」


 確かに言ってる事は間違いはない、冒険者ギルドで測った魔力量だけで十分売り込む事は出来るだろう。

 でも、それは必要最小限だ付加価値を付けた方がもっと高く売りつける事が出来る。

 あ~、だめだ、そんな事を考えてたら何時まで経っても売る事が出来なくなるし、他の奴に出し抜かれる事もある。

 情報を掴まれてるんだ、とりあえず信用するとして、何で彼が閲覧室で話をしようとしたかだ。


「えっと、お名前は何と言うんでしょう?」


「ラカムです。リカーとは昔、パーティを組んでいました」


 話が本当ならリカーゲザがラカムを信用するのは分かるな。一緒に死線を乗り越えて来たんだろうから。


「それでラカムさんは何で閲覧室で話して来たんですか、リカーゲザさんの知り合いだという事だけなら何処でも良かったでしょ、何か秘密にしたい話があるんですか」


「はい、実はお願いしたい事がありまして、他の職員に聞かれると面倒だったんですよ」


 お願いしたい事ね。無理難題じゃなければ良いんだけど。


「そのお願いしたい事って、何ですか」


「エアウルフの討伐をお願いしたいんです」


 無理難題じゃないし、元々狩るつもりだったが、普通Eランクの俺に頼む事じゃないぞ。

 エアウルフの討伐依頼はCランク、俺が依頼を受けるにはランクが一つ足りないしソロだぞ。何を考えてるんだ。


「無理ですよ。エアウルフの討伐依頼はCランクでしたよね、俺はEランクですよ依頼を受ける事は出来ないし、Cランクのエアウルフなんて倒せませんよ」


「そうですか、私は討伐出来ると確信していますよ」


 何で他人のあんたが確信したんだよ。


「リディアの迷宮の中層をソロで特に疲れもせずに探索、出来ているらしいではないですか、普通はベテランでも表情が疲れて覇気無いもんですよ。

 それにBランクの魔力量を持っているなら、エアウルフぐらいなら魔力のゴリ押しで倒せますよ」


 出来ない事は無いだろうが、そういうのを低ランクの冒険者に勧めるか? 俺がCランクの魔物に負けないぐらい強いと確信しているみたいだが何考えてるんだ。


「ラカムさんの言う通り、俺がエアウルフを倒せるとしてもCランクの依頼は受けれれませんよ」


「別に依頼を受けなくてもエアウルフは倒せるでしょ」


「えっ」


 確かに依頼を受けなくても討伐する事は出来るし、実際にする、つもりだったがギルド職員が、それを言うのか。


「ああ、エアウルフの死体を持って来てくれましたら密かに処理をして依頼書に載っている分の報酬もギルドポイントも得られるようにします」


 一応、目立ちたくない俺に配慮をするつもりではいるらしい、報酬もギルドポイントも支払うと言っている。けど・・・・


「何で俺に頼むんですか、エアウルフの討伐依頼は出していますし、誰も受けないなら報酬を上げればいいんじゃないですか」


「そうできれば私達も良かったんですが、色々と間が悪いんですよ。それに世知辛い話ですが資金が不足しているんですよ」


 ラカムの話だと、まず魔物が枯れているので儲けが少ないからとシビアに居る冒険者が少なくなり、冒険者ギルドを活用する冒険者も少なくなり資金が稼げなくなってしまっている。

 枯れる前に大量の魔物、主にレッドアイウルフの毛皮やゴブリンの魔核が入って来て一時は資金が多くなったのだが、需要と供給の関係で長期的に見ると通常よりも減少しているらしい


 シビアを離れた冒険者の中にはランクの高めの冒険者もいて、エアウルフを討伐出来る冒険者がシビアに居ない状態だそうだ。

 遠方から呼ぼうにも資金が無いので呼ぶことが出来ない。そして日々が過ぎていくと職員の給料などが有るので資金は減っていく。

 アンニーの冒険者ギルドからも支援を受けているが向こうもシビアと同じ理由で資金繰りが厳しいので依頼報酬を増やす事は難しい。


 そういう訳で何時までも依頼が残っている状態だ。

 

 そして、何時までもエアウルフが討伐されないのでシビアの貴族達から討伐依頼を出すという話を冒険者ギルドに持って来たらしい。

 今は権力闘争が激しいせいか依頼を出していないが決着が着けば、すぐに討伐依頼がだされる。


 しかし、よほど特別な問題じゃない限り、貴族が力添えして問題を解決する事は、国から独立した冒険者ギルドの理念上、かなり屈辱的な事らしい。


 それなら、アンニーのギルドマスターに話せは良いんじゃないかと思ったが。シビアの冒険者ギルドのギルドマスターが、支援をすでに受けているのに、これ以上、借りを作るのを嫌がり話を通していないらしい。


 アンニーのギルドマスターも現状は知っているが担当地区外なので許可なく手を出す訳にはいかないと何もせずにいる。


 ラカムは手詰まりだと諦めていた時が、そんな時にリカーゲザから手紙を届き、俺の事を知り、色々とリカーゲザから手紙で教えてもらい俺に頼もうと思ったらしい。

 直接、訪ねなかったのは、何処の宿に居るのか分からなかったのと警戒されない様にする為で冒険者ギルドに来るのを待っていた。

 最悪は訪ねる事も考えていたそうだが、俺が冒険者ギルドに来て助かったそうだ。


「そういう理由がありまして、コウセルさんにお願いしたいんです。どうか受けていいただけませんか」


 どうするかな、エアウルフを倒す事は問題ない、Cランクとシビア周辺の魔物と比べてランクが高いんだ探すのは簡単だろう。

 問題はラカムが信用できるかだが。もし騙されて誰かに売られるようなら価値が高いか低いかだけだ、どの道、売られる、なら価値を高めておくか。

 なんか最初から負けている感じがムカつくが仕方がないか。


「分かりました。遭遇して討伐出来そうならやってみます」


「本当ですか、助かります」


 手を握りながらお礼を言われた。演技には見えないから大丈夫かな?

 これで騙されていたら、人間不信になりそうだ。


「エアウルフを討伐出来たとして、密かに処理するって、言ってましたが出来るんですか。誰かにバレませんか」


「大丈夫ですよ、私はこれでもシビアの冒険者ギルドのナンバーツーで、私に指示できる人はギルド内にはギルドマスターだけですし、ギルドマスターは事なかれ主義で問題を起こすのも起こされるのも嫌いなんで情報は外部に漏らしませんよ」


 本当に大丈夫なのか、心配だが今はラカムの言葉を信じるしかない。


「そうですか、分かりました。知人から依頼されている事があるんで、そちらを優先します。エアウルフの討伐は、あくまで、ついでで遭遇してしまった場合ですよ。あまり期待はしないで下さいよ」


「それで十分です。コウセルさんなら出来ると私は信じていますから」


 何気にプレッシャーを掛けて来てないか。


「一応、三日後に森からシビアに戻る事になってますから、その日はギルドに居てください」


「分かりました。朗報を期待してます」


 疲れる。調べ物をしに来た、だけなのに何故か問題が増えている。

 

 迷宮の中に居た方が気楽に思うって、何か間違ってないか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ