表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/67

帰り道

この頃、前書きで謝ってばかりで申し訳ないです。次はまともに投稿できる様にしたいと思います。


 説明回ばかりになっていますが、今回で一先ず区切りがつくと思います。




 何とかアスリラ達に護衛としてだが同行する事が出来る。これで心配しなくても済む。


 迷宮から地上に戻るので最後に、今いる部屋に鉱石が有るか調べようとするとアスリラ達に驚かれた。

 俺の電磁波を放って調べる方法とは別の、魔力鉱石が埋まっているか、どうかを調べる方法は前世からあったからアスリラ達の驚きようは不思議だ。


「普通の鉱石ならともかく、魔力鉱石はコツがいるけど魔力を使えるなら誰でも探せるだろ、知らないのか?」


「そんな方法があるのか? 少なくとも私の周りではそんな方法を知っている者はいないぞ。地上なら土属性の魔法使いが鉱山を探すことが出来ると聞いた事はあるが」


 俺の問いに答えたのはリーゼだ。貴族の間でも知っている人はいないと答えが返ってきた。彼女の家の友好範囲内だけかも知れないが。


 土属性の魔法使いは土を生み出したり、操る事ができる。そして熟練の土属性の魔法使いは魔力を浸透させて地中に埋まっている物を探る事ができる。

 地上では普通の鉱石ならはっきりと種類まで判別する事ができ、魔力鉱石は魔力が溜まっている異常な状態なので何かが埋まっていると分かる。

 しかし、迷宮内は特殊な空間なので、どこも魔力が溜まっている異常な状態と同じ反応するので鋭い感覚がないと難しいので、さらに熟練の技が求められる。


 俺の場合は一人の時は魔術で電磁波を壁の中に放ち、反応が有れば、そこを掘る。何が埋まっているかは分からない。

 そして今からするのは魔力を壁の中に放ち、埋まっているだろう魔力鉱石の魔力に干渉して反応を探るもので、こちらも何が埋まっているかは分からない。この方法はかなり難しいが魔力を扱えるなら誰でも出来る。


 この方法を発見したのは人間ではなくドワーフだ。

 前世で知り合ったドワーフに教えてもらった事だが、彼らは魔力鉱石を加工するのに、より良い方法はないかと考えていた時に、自分達の魔力に魔力鉱石の魔力が反応するので、これを魔力鉱石を探すのに応用できないかと考えて編み出したらしい。 


「土属性の魔法使いはどうやって調べているか分かりませんが、俺は壁の中に魔力を放って、反応が有るか調べるんですよ。」


 前世では色々な魔法使い達に聞きまくった様々な情報が有るが、今世では魔法使いの知り合いがいないので何も知らない事にしておく。


「そんな事で良いの? 魔力を放つのはちょっと難しいけど誰でも出来そうだね」


 方法が思ったよりも単純だったのか、アスリラが誰でも出来そうだというが魔力を放つのがちょっと難しいと言っている時点で彼女が使える様になるには時間が掛かるだろう。

 

「アスリラさん、魔力を放つだけだけど放つ魔力に色々と工夫するから、魔力を高いレベルで扱えるようにならないと出来ないよ。少なくとも魔力を放つのを難しいて言っているレベルだと、かなり訓練が必要だと思う」


「高いレベルって、どんな工夫をすれば魔力鉱石を探せるようになるの?」


 方法を覚えて今度から使おうと思うっているのかアスリラが聞いてくる。

 使える様になると取り分が減るかも知れないが、アスリラが使える様になるには時間が掛かるだろうし、使えるようになれば更に下に潜ればいいか。それなら俺にはあまり影響がない。

 一応、俺が教えた事とこの方法を広めない様に言っておかないとな。まあ、自分達の取り分が減るから広める事は無いと思うけど。 


「詳しく教えるのは良いけど、俺が教えた事と、この方法は誰にも教えないでくれよ」


「分かった誰にも教えないよ。それに誰かに教えたら私達の取り分が減っちゃうじゃん」


 アスリラが返事をして他の二人は頷いて承諾しているので詳しい方法を教える。


「まず魔力をはっきりと感じ取れるようになってから、魔力を放つのと武器なんかに通せる様になって、最後に放った魔力の変化を感じ取れるようにならば使う事が出来るよ」


 俺の説明を最初は笑顔で聞いていたが、だんだんと笑みが消えていき、渋い顔になり、覚えるのを諦めたのか最後には冷めた口調で文句を言って来る。


「・・・・・無理。それ何処の奥義、廃れて当然だと思う」


 奥義て・・・・・そこまで大仰なものでは無いけどな。

 確かに難しいが訓練をすれば、いつかは必ずできる様になる、素早く使える様になれと言うなら話は変わって来るけど。


「確かに簡単じゃないけど、訓練をすれば出来る事だよ。アスリラさんは普段どんな訓練しているの?」


「どんなて、普通よ。身体強化を使いながら身体を動かすだけよ」


 本気か。その鍛錬方法は前世と変わらないぞ。昔、聞いたザーインの話だと、それなりに俺が考えたりした訓練方法が広まっているはずなんだが。

 よくよく思い出せば、アンニーの冒険者ギルドの訓練所で身体を動かしている人は見かけるが、魔力操作の訓練をしている人は見なかったな。

 魔力操作の訓練をする人は少数なのか? アスリラ達に聞けば、どうなのか分かるか。


「魔力操作の訓練とかは、やらないのか」


「私はやらないよ、あれって魔力をある程度、感じ取れるようにならないと出来ないでしょ」


「そうだな、私もそう聞いている、魔力をある程度、感じ取れるようになった上級者の訓練法だと。ネル、魔法使いはどうなんだ?」


 魔法を使わない二人にとっては一般的な訓練ではなく上級者が行う訓練という認識か。

 確かに魔力を感じ取れないと魔力操作の訓練は訓練している実感が湧かない。無駄と考える人も居るか。


「私も魔力操作の訓練はしません。私は本での独学で、偶に他の魔法使いの方と訓練の方法を話したりもしますが魔力操作をする人はいませんし、話に出てくることありません」


 魔法使いの方は魔術を消そうとしたせいもあるだろうが、利便性が高すぎせいだな。

 魔法使いは自分の適性属性が分かれば独学でもやっていく事が出来る。そのせいか誰かに師事を受ける人も、誰かに師事する人も少ない。

 魔法使いの家系だったり、住んでいる近くに魔法協会が在れば師事を受けるんだろうが、家系の方はよそ者には教えないだろうし、魔法協会は大きな都市にしかないので、小さくはないが大きくもないシビアには魔法協会の支部は建てられていない。


 魔法使いも魔力操作の訓練はした方が良い。魔法の威力、発動速度、連続性などの能力を向上させる事が出来る。


 話を聞く限りでは魔力操作の訓練は廃れてしまっているみたいだが、戦いを生業としている職種なら魔力操作の訓練はしておいた方が良い。

 積極的に広めるつもりはないけど、彼女たちになら教えても良いか。ここまで来たらどれだけ、お節介しても変わらないだろう。

 幸いというか父親が"剛閃ギウス"から教わったと言えば特別注目されるような事は無いだろうし。


「迷宮を出てからになるけど、魔力操作の訓練方法、教えようか。時間は掛かるかも知れないけど魔力が関わる能力は軒並み上がるよ」


「あんまり魔力を感じられなくてもできるの?」


 アスリラの中では上級者の訓練法で自分が出来るものではないと思ってるのかな。上級者だろうと、そうでなくても魔力操作の訓練はやった方が良い。

 俺も未だに訓練はやっている。


「出来るよ。というより魔力をはっきりと感じられるようになるのが最初の目標みたいなものだよ」


「やるとしたら、私も魔力操作の訓練は、やった方が良いですか?」


 ラーネルがやった方が良いかと質問してくるが、訓練する場合と仮定か。本当に用心深いな。

 まあ、教わるのを断られても別に構わないが。無理に教えるのはめんどくさい、今回は折角、助けたのに迷宮で死なれるのが嫌なだけだから。

 次からはどうでも良いとは言わないが、特別、何かをするつもりはない自分達の責任で動いてもらう、向こうもそれが当たり前と考えているだろう。


「やった方が良いと思うよ。魔術でも威力を上げたり魔術を素早く発動させたりできる様になるから、魔法でも、そうなると思うよ」


「そうですか・・・・」


 ラーネルは黙って考え込んでしまったな。アスリラとリーゼはどうなんだろう。

 ラーネルから二人に視線を戻すと、リーゼから質問をされた。


「コウセル殿、訓練方法を教わるのは何度も会わないといけないのだろうか?」


 魔力操作の訓練をやる気ではいるみたいだけど、外で何度も会うのは嫌なのかな。

 俺は最初に教える一回だけのつもりでいる。そうしないと迷宮探索の予定とかが組みづらい、それに何度も会うのは面倒くさいから避けたい、向こうもそこらへんを考えているんだろう。


「極端に言えば、ここでやり方を口で教えるだけでもいいですよ、けど効率を考えるなら一回だけでも一緒にやった方が良いですね」


「訳を聞いても良いだろうか」


「別に構いませんよ。魔力操作の訓練は簡単に言えば身体の中で魔力を循環させるだけなんで難しくはないんですよ。

 けど、今のリーゼさん達は魔力操作の訓練をしても、出来ているのか、どうか実感があまり分からないと思いますから、最初だけ手伝いたいと思ってるんですよ」


 魔力操作の訓練は一人でするもので誰かの手伝いなんて本来はいらないのだが、彼女達は曖昧な感じでしか魔力を感じ取れないので訓練をしても、訓練をしたという実感がわかないだろう。

 そこで俺の魔力を違和感を感じるように彼女達に流し込み、その状態で魔力操作の訓練をしてもらう。

 その状態なら自分の魔力は動かしても感じ取れないかもしれないが、俺の魔力は感じ取れるので訓練がきちんと出来たいると実感する事が出来る。

 実感が湧かない、成果もなかなか出ない訓練ではやる気が失せていくだろうし、出来ているか不安にもなるかも知れないからな。


「そうか、なら一度だけ手伝って貰っても良いだろうか」


「構いませんよ。日程はどうします、俺は地上に戻って時間帯にもよりますが消耗品を補給すれば、また迷宮に潜るつもりなんですが」


 紺狼商店に納める物が、まだ少し心もとない。今、持っている分を預けたら再び迷宮に潜るつもりだ。


「まだ、相談をしていないがアスリラの怪我の事もあるし、ラーネルの魔力が回復するまで迷宮に潜るつもりはないから四日ぐらいは休もうと思ってる、それで何とかならないか」


「迷宮から出たその日はカウントしますか」


「いや、しないつもりだ。私は時計を持ってるから、昼か夕方に時間を合わせて地上に戻るつもりだ、終わりと区切りをつけるなら、それの方が良いだろ」


 すごい、時計だ。流石、貴族という事かな。モータルセンヌでは時計はかなり珍しい物だ、今はどうなのかは知らないが前世では何年待ちという、長い時間を待たされることもあった。

 暦を作った魔術師が、時計を作り、時計を作る技術を残した。本人はあくまで天体を観測するための道具だったが当時のモータルセンヌでは画期的なもので、特に冒険者と探索者が欲しがっていた。

 今世でも時計は高級品で、俺も、まで持っていないので出来る限り、早く入手したいと思っている。


「それなら、休みの最終日に外区の(子犬の寝床亭)という宿屋に来てくれませんか、多分ですが戻ってると思うので」


 向こうは休んで体調は万全になっているだろう、俺は一日寝れば十分、体力が回復するから問題ない。

 納品の事もあるから地上に戻った日は除いて、三日が時間的に限界になる、それまでにどれだけ物を集められるかな。


「分かった。戻っていなかった場合は宿の従業員に伝言を頼んでおく、それでいいか」


「はい、分かりました。―――それでラーネルさんはどうすんですか」


 アスリラとリーゼは魔力操作の訓練を教わってするつもりだが、ラーネルの返事はまだ聞いていない。


「二人が訓練をするなら私もします、コウセルさん、手伝いの方お願いしても良いですか」


「大丈夫ですよ。手伝いもそんなに手間じゃないですから」


 ラーネルは自分の為じゃなくて二人が俺の手伝いを受けているから、受けようとしている感じがするな。


 俺が心配する事じゃないけど、それで良いのかな。

 










「それじゃあ、地上に帰ろうか」


 アスリラの言葉と共に移動を開始する。


 部屋に魔力鉱石が埋まっているか調べて。埋まっていたので掘り出し終わってから、少しの時間、休憩をして休憩が終ると戻る準備を始める。

 三人は魔力鉱石を探す方法が半信半疑だったので、掘り出した時は驚いていたな。

 

 建前で探索の技術を教えてもらうという事なのでスカウトのアスリラと一緒に先行して進み、色々とレクチャーしてもらう事になった。


 リディアの迷宮は獣系の亜人の魔物が多く、臭いに敏感なので、奇襲を仕掛けるなら必ず臭消しが必要で、臭消しが無いと奇襲は出来ない事。

 足音を出来る限りなくしたいならブーツを変えたり、周囲に溶け込めるようなマントをする事だったりと、当たり前だが見落としていたりする点や思わず感心するような事を教えてもらった。

 

 自分なりのやり方が有ったので、全部は参考にはならなかったが幾つか有効な情報もあり、思ったよりも役立ったと感じた。

 あと、〈消臭〉の魔術が使える事は道具代が浮くからと地味に羨ましがられもした。


 そして、道中の魔物退治だが、殆どを俺一人で片付けている。


 流れとしては通路で遭遇した場合は俺一人で片付けて、部屋に魔物が居た場合は通路の奥から投槍を投擲してから俺とリーゼが同時に突入という形を基本取っている。

 この突入する時なんだが俺とリーゼでは突入する際の速度が違い、リーゼが遅れて追いついた時には殆ど倒していたり、全部、倒してしまっていたりする。


 リーゼは弱くはないと思うんだが、俺からしたら色々な物が遅く感じるのだ。

 まあ、訓練の仕方が俺からすれば効率が悪いものなので、仕方がないかと思う所もあるが彼女本人は納得できていないみたいだったが、今はどうしようもない。


 地上に戻るために迷宮を進み、十三階層の中間地点になると休憩する事になったんだが、リーゼが沈んでしまい少し重苦しい空気が流れた。


 俺が慰める事は出来ないので、ラーネルとアスリラに慰めるのは任せて休憩をさせてもらう。


 ラーネルとアスリラの二人は俺の強さを見ても驚きはしたものの、落ち込むような事は無かった。

 ラーネルは魔法使いだから気にしないのか、変わった感じがしなかったし、アスリラは戦いよりも隠密の行動に重きを置いているのかリーゼほどショックは受けていなかった。


 休憩をして、暫く時間が経つと密かに張っていた結界に反応が出た。

 正確に確かめると反応は全部で六体で一人が先行して他は隊列がきちんとしているので、おそらく探索者のパーティだな。


 視線だけをスカウトが出てくるだろう方向に向けて待っていると一人の男が出てくる。


「おーい、俺たちはクラン〈迷宮の狩人〉のパーティ〈犬狩り隊〉だ、入っても良いか?」


 誰かが居る部屋に入る時は、所属クランとパーティネームを言うみたいだな。

 あれ? そういえばアスリラ達のパーティネームは聞いてないな、何て言う名前なんだ。


「コウセル、〈犬狩り隊〉を部屋に入れても良い? あのパーティは知り合いがいるから大丈夫だし、態度も悪くないよ」


「良いよ、入れても」


「分かった、ありがと。―――どうぞ!」


 アスリラは俺に確認を取ってから〈犬狩り隊〉に入る許可を出している。


 クランの名前からして鉱石を掘るよりも魔物狩りをするクランなんだろうが、パーティネームはもう少しどうにかならなかったのか。〈犬狩り隊〉て、コボルト狩り専用のパーティか?


 最初に男が一人と後から五人の男が入ってくる。

 パーティリーダーらしい男とスカウトの男はガッチリとした体をしていて、他の四人は一人が俺よりも三、四歳ぐらい年上の感じで、残りの三人は一つ上で少し落ち着きが無いように感じる、新人なのかな。


「おう、お嬢達じゃねえか。珍しいなお嬢達が男を連れてるなんてどうしたんだ」


 話しかけて来たのはパーティリーダーぽい男だ。本当に知り合いみたいでリーゼに気安く声を掛けている。お嬢という呼び方はリーゼが貴族だからだろうな。


「魔物に襲われている時に助けて貰ったんだ、それからリラが腕を怪我してしまって、戻れるかどうか不安に思ったから彼を護衛として雇う事にしたんだ」


「そうか、怪我だけで良かったな。教会に金さえ払えば治るからな。にーちゃん、お嬢達を助けてくれて、ありがとよ」


「どういたしまして」


 男から口調は軽いが目が真摯だったので、本気で助けたことを感謝されているのが分かる。


「おい、アスリラ、怪我は大丈夫なのか」


「大丈夫じゃない、骨折れてるかも知れないからすっごく痛い。ヒールック、魔法薬、無い?」


「ああ! ちょっと待て」


 ヒールックと呼ばれた、俺より三、四歳ぐらい年上の男がアスリラを心配して話しかけている。

 アスリラは冗談?で返事するとヒールックは真に受けて、|魔法薬〈ポーション)を取り出して治療を始めようとする。


 おい、本当に魔法薬出すつもりか、もうすぐ地上に戻れるんだぞ。それにアンタ、今から迷宮を探索するんじゃないのか。


「ヒールック! アスリラの冗談を真に受けるな! 転移装置はもう近い、ここまで来たら魔法薬ポーションで癒すまでもねーだろ」


「す、すみません、サリスジムさん」


 ああ、やっぱり普通に怒るよな。


「たく、アスリラもあんまりヒールックをからかわないでくれ」


「ごめんなさい、あそこまで焦るとは思わなかったから」


 アスリラの返事を聞いてもサリスジムは溜め息を付くだけだ、多分こんなやり取りを何度もしていて治す気配が全くしないんだろうな。


「まあ良い。お嬢、足りない物は何か無いか?」


「大丈夫です、後は戻るだけですから」


「そうか、俺たちは、もう行くぜ。転移装置までは最短の道を進んで来たから魔物とは、もう遭う事は無いと思うが油断しないようにな。

 それとにーちゃん、護衛として雇われてんだから、しっかりと守ってくれよ」


 世話焼きのオヤジなんだろうか、それとも特別リーゼ達を気に掛けているのか分からないが、悪い人ではなさそうだな。


「大丈夫です、分かっていますよ。心配しないでください」


「おい、お前」


 サリスジムに返事をした後に、呼びかけられたので、そちらを振り向くとヒールックに睨まれながら注意を受けたんだが。


「護衛してるんだから命に賭けてもアスリラ達を守れよ。あと、こいつらに何かしたらタダじゃ済ませねーぞ」


 護衛をキチンとしろよが二割で、リーゼ達、特にアスリラに手を出すなが八割という所かな。


 何というかじれったい奴だな、さっさとアタックすれば良いと思うんだが。


 サリスジムは呆れた顔をしているし、スカウトの男は明らかに面白がっている。〈犬狩り隊〉の他、三人は迷宮内で余裕がないのか顔が硬いままだ、この先、大丈夫かね。

 アスリラ達は、ヒールックの行動はいつもの事なのか全然気にしていないみたいだ。


「分かりました、というか元々、何もしませんよ。だから安心してください」


「本当だろうな」


 しつこい奴だな、面倒くさい。


「ヒールック! 何してる早く来い探索を再開するぞ」


「はい!」


 サリスジムに呼ばれて離れて行ったが、最後に俺を睨んでいた。怖くはないんだがうっとおしい。


「いつも、あんな感じなの」


「いや~、普段は、あそこまで人に絡んだりはしないよ、今回はたまたまだよ」


 アスリラに向かって問いかけるが、目を逸らしながら弁護しているが説得力が無い、普段も、あまり変わらないみたいだな。


「コウセル殿、彼はアスリラに関わることじゃなければあそこまで絡んだりはしないよ。普段は普通の男だ」


 今度はリーゼが弁護してくる。どうでも良いが好意を持っている事は周りにもバレバレなんだから、さっさと結論を出した方が良いと思うんだがな。

 今日あったばかりの俺は背景が良く分からないから、何にも言えないし、突っ込むつもりもないが。


「さて、私達もそろそろ移動を再開しよう」


 キリが良かったのか、話題を終らせるためかリーゼが休憩をするのを止めて、移動を再開しようと言って来る。

 俺は特別続けたい訳じゃないので、提案に乗っかり、他の二人にも異論は無かったので移動を再開する。


 それからは一度も魔物と遭う事無く、転移装置までたどり着くことが出来た。

 〈犬狩り隊〉が魔物を倒してそれほど時間が経っていないせいだろう。アスリラ達には良かったかも知れないが俺としては稼ぎが増えないので少しばかり不満に思ったが仕方がない。


 また、すぐに迷宮に潜らないといけないが今日は宿のベットでゆっくりと休むことが出来そうだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ