表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/67

交渉中

毎回毎回、遅くてすみません。

今回は誤字がいつもより多いと思います。

9/9加筆しました。


 アスリラの足の怪我を治療してから腕の傷治せないかと聞かれたが、骨折しているなら治さない方が良いと言うと溜め息を付いた後、真剣な顔をして黙り込んでしまった。


 この後、どうすれば良いか悩んでいるんだろう、どうするつもりかな。


 とりあえず、折れただろう腕の処置しないとな。


「ラーネルさん、後は腕の応急処置だけなんでお願いしても良いですか」


「分かりました。リラ、骨折した所を固定します、痛いですが我慢してください」


「ううっ、出来るだけ優しくしてよ」


 後はラーネルに任せればいいだろう。これで後は倒した魔物の配分とアスリラ達を護衛して地上に戻れるように交渉が残ってる。

 配分は自分が倒した分の貰えれば良いから、アスリラ達が欲張らない限りすぐに終わる。護衛の交渉も自分達の状態が悪い事を分かってるはずだ受けてくれるだろう。


 立ち上がってアスリラの傍から離れるとリーゼが横に来てお礼を言って来る。やっと警戒を解いてくれたのかな。


「ありがとう、助かったよコウセル殿」


「いえ、もう少し早く駆けつけられた良かったんですが」


 魔物と争っていたのは知っていたけど、駆けつけなかったからな。けど、邪魔になる時もあるだろうからな、今度からはどうする? 決めておかないと不味いかな。


「その気持ちだけで十分だ」


「そう言って貰えると助かります」


 お礼を言われるが、本当なら腕の骨折も治すことが出来るから少し罪悪感を感じるな。まあ、死ななかっただけ良かったと思ってもらうしかないか。







「リラ、終わりましたよ」


「あ~、痛かった。もう少し優しく出来なかった」


「無理、言わないでください」


 リーゼと話している間に折れた腕の応急処置が終わったみたいだな。


 礼を言われた後は何で怪我をしてしまったか話を聞いていた。

 何でも部屋にコボルト(小型)が一匹だけ居たのでアスリラが一人で突っ込んで行って、待ち伏せをくらってしまったそうだ。


 その行動に呆れ、止めようとは思わなかったのかと聞くと、リーゼは違和感を感じて相談しようとしたが、相談する前にアスリラが一人で突っ込んで行ったので相談する時間が無かった。

 今まで魔物が待ち伏せをしている事は無かったので、周りからコボルトが襲って来た時はかなり驚いたそうだ。

 俺も十五階層から待ち伏せをしていたコボルトと遭遇した。十五階層から少し様子が変わるのかもしれないな。

 

 リーゼ達は基本的に十一階層から十三階層で活動していたが、上層が魔物も鉱石も枯れているせいで、中層に来る探索者が多くなり稼ぎが少なくなったので、つい最近、十五階層に潜る事にして探索を始めた。

 今まで十三階層までにしていたのはDランクの魔物が多くなり、Dランクでも上位に数えられるオークが出て来たり、本当に少ないがCランクのミノタウロスも出てくるからだ。

 倒せないとは思わないが危険が大きいのと、リスクに比べて儲けが少ないからだ。


 オークは魔核の他に脂肪も取って貰えるのだが、買取値はあまり高くなく、量が欲しいので持ち運びを考えると苦労に見合った金額を稼ぐことが出来ない。それならコボルト(中型)を狩った方が儲けが良い。

 ミノタウロスは、まだ戦った事が無いがCランクと高いランクの魔物なので慎重になっている。それに倒せたとして、その後、魔力が残っていなければ無事に地上に戻れないかもしれないからだ。


 リディアの迷宮は獣系亜人の魔物が中心に出現するみたいだな、紺狼商店に売れる物をリディアの迷宮から取って来る事ばかり考えていたから情報収集を怠っていたな。

 とりあえず、今回の探索で落ち着くので情報収集などをしていかないといけないな。


「コウセル、足の治療、ありがとうね助かったよ」


 応急処置が終わったアスリラから、お礼を言われる。こちらは笑顔で言われるのでリーゼよりも罪悪感を感じる。顔が引きつらない様にするのに苦労する。


「どういたしまして。怪我する前に助けられたら良かったんだけど」


「別に良いよ。迷宮で助けて貰えただけで運が良かったんだから。それで足の治療代の事なんだけど」


 笑顔から一変、困った顔で足の治療代を聞いてくる。迷宮内だから普通より多く請求されても仕方がないが俺は金を取るつもりはない。

 

「治療代はいいよ」


「えっ!良いの、私達は助かるけど」


 腕の怪我を治さなかった、代わりみたいなものだ。それに俺の魔力を少し使っただけで、そんなに労力を食ったわけではないしな。


「元手は俺の魔力だけだし、そんなに負担にならないからいいよ」


「じゃあ今度からタダで治療、頼んでも良いの」


「それは勘弁してくれ、緊急事態とかなら良いけど、普段は金を取るよ」


 便利に使われるのは流石に勘弁してほしい。酒場でタダで酒を冷やしたりするのは何らかの話をしてもらっているからだ。

 緊急事態なら金の交渉なんてしていられないから無償でも良いが、普段なら金を貰わないと治療をするつもりはない。


「それは残念」


 全然、残念そうではないな、断られる事、前提か。本気で頼まれても困るからそれでいいけど。


「それじゃあ、魔物の配分について話そうか。魔物は全部コボルトで九匹、魔核しか取れないわ。私達は助けて貰ったけど、私達は最初からコボルト達と戦っていた。

 コウセルが強いのはコボルトとの戦いを見ていたから分かるけど、一人だけだとコボルト九匹は苦労するでしょ、だからそれを考えて取り分を言ってほしいの」


 コボルトなら何匹居ても面倒なだけで、別に苦労はしないんだけどな。

 そんな事は分からないアスリラは真剣な顔で交渉してくる。今回の探索でどれだけ成果があったか知らないが腕の骨折を治すと稼ぎが少なくなるから真剣だ。


「俺としては自分で倒したコボルト四匹を貰えればそれで良いよ」


「えと、それだけで良いの? ・・・・コウセルはちょっとお人好し過ぎない」


 あれ?何か怪しまれてる。


 お人好しというのはコボルトの配分が少ない事と治療代をタダにした事かな。


 俺としては魔核の一つや二つ気にしないし、怪我の治療代無しは、そんなに労力を食わないのと、俺の都合で骨折を治さなかった詫びの意味を含んでいる。

 けど、俺の都合を知らないアスリラには怪しく感じるのかみたいだな。


 どうするかな、疑われたままだとアスリラ達に同行出来ないぞ。いや、これを交渉材料にすれば良いのか。

 変にすり寄らず、対価を求めれば良いかな?


「それほど、労力を割いてないのと、お願いしたい事が有るから配分を多く求めないだけだよ」


「お願いしたい事って、何?」


 マズイな警戒され始めたな、前もって言っておいた方が良かったのかな。


「そんなに警戒しないでくれ、アスリラさん達はこの後、地上に戻るだろ。その時に護衛として雇ってほしいんだよ」


「何で私達が地上に戻ると思ったの、私は腕の怪我で戦えないけど先行して偵察ぐらいは出来るは、戦闘はリーゼとネルに任せれば、まだ探索はできるわよ」


 アスリラは俺がラーネルの魔力が枯渇している事に気付いてないと思ってるのか。

 まあ、普通は気付かないのかな。現在の魔力を使える様になる方法は、魔物を倒して徐々に使える魔力を増やす方法が主流だ。

 しかし、それだと魔力に対する把握・感知する能力は意識して訓練しない限り低い。だから相手の魔力の残量を把握できるとは思わないんだな。

 

 俺は相手が隠そうとしてなければ魔力の残量を把握できる。それにラーネルはコボルトに襲われていた時に戦闘に参加していなかったし、顔色もまだ悪いままだ、状態が悪い事は誰でも分かる。


「リーゼさんは問題ないけど、ラーネルさんは、もう魔力は残ってないでしょ。魔力が残ってるならコボルトと戦っている時に魔法を使わないのはおかしいし、顔色も悪い本調子じゃない事は分かる」


「それは・・・・・はぁ~、そうね、その通り。ネルはもう魔力が残ってないは、どうするか決めるのは二人と相談してからだけど、私も地上に戻るつもりだったは」


 アスリラは険しい顔から困った顔で現状を認めた。


 現状を認めさせたから一歩前進かな、後は護衛をさせてもらえるかだ。

 現状が悪いのはアスリラ達、本人達が良く分かってるはずだ地上に安全に戻るのに戦力は欲しい。

 アスリラ達は俺を信用してくれるだろうか、断られると、どうする事も出来ないぞ。


「それでコウセルはどうして私達の護衛がしたいの? 何か理由があるんでしょ」


 警戒心が高いままだがとりあえず話は聞くみたいだな。正直に理由を答えても、怪しまれるだろうから建前も混ぜておかないといけないかな。

 建前は何にしよう、金と技術でいいかな。金はそんなに要らないし、大概の事は魔術で解決できるから技術は役に立たないかもしれないが建前としては十分だろう。


「一番の理由は楽して稼ぎたいからだよ。食糧はまだ余裕が有るけど、今から迷宮を探索して魔物や鉱石を探すには、ちょっと少ないから俺も地上に戻ろうと思ってる。ここで護衛として雇われれば地上に戻るだけでお金も稼げるからお得だ。

 二つめの理由は探索の技術を学びたい、一応、上層で基本的なものは教わったけど中層についてと応用的なものを知りたいんだよ。

 最後三つめは折角、助けたのに下手すれば迷宮で全滅する可能性があるからそれが嫌なんだよ」


 俺の説明を聞いたアスリラは難しい顔をして、他の二人も同じ顔をしている。


 収入は減るし技術は盗まれる、いい気はしないだろう。

 しかも、お前たちでは無事に地上に戻れないと言われたんだ、探索者としてどれくらい経っているかは分からないけど、アスリラ達にもプライドがあるだろう。俺はそれを傷つけた。

 けど、自分達の現状も理解できているから、俺の指摘は無視できない。アスリラ達はどういう結論を出すかな。


「コウセル悪いけど、ちょっと待って。私一人でこれは決められないリーゼとネルと相談するから時間が欲しい」


「構わなけど、待っている間、暇だから先にコボルトから魔核を取り出していても良い?」


「コウセルの取り分の四匹だけなら良いよ」


 分かったと返事をしてから、作業に取り掛かる。


 別に構わないんだけどコボルトの配分を決められている。まだ結論は出てなかったはずなんだが。

 釈然としないが魔核を取り出す作業に取り掛かるが、それでも四匹だけなの、すぐに終わる。


 コボルトの血で汚れた手と取り出した魔核を洗い、魔法の鞄マジックバックに納める。

 改めて魔法の鞄マジックバックの中を見ると今回の探索の成果が分かる。


 上層は魔物、鉱石が枯れていたせいか全然集まらなかったが、中層に来てからは順調に集める事が出来たので、あと一回、迷宮に潜れば紺狼商店に十分な量を納める事が出来る。

 休み無しで再び迷宮に潜る事になるけど、何とかなるだろう。

 











 魔核の取り出し作業が終わり、座ってアスリラ達の話し合いが終わるのを待っていると結論が出たのかリーゼを先頭に三人一緒に俺の元まで来る。


「すまない、待たせたね」


「大丈夫です、魔核を取り出していたのでそんなに待っていませんよ。それでどうするんですか? 俺は護衛として雇って貰えるんですか」


「ああ、護衛をコーセル殿に頼みたい。細かい内容を決めていこう」


「分かりました」


 よしよし、何とか護衛として雇って貰えた。条件は向こうが変に怪しまない程度に譲歩すればいいな、加減は分からないけど何とかなるだろ。


 リーゼ達と内容を決めて行くんだが、交渉事は、どうやらアスリラが行うみたいでリーゼは後ろに下がって話を聞いているだけで、話にはあまり参加せず、ラーネルも同じで彼女は全く参加しなかった。


 話し合いで決まった内容は俺とアスリラが一緒に先行して偵察する事、部屋に魔物が居た時は後ろに居る二人と合流してから戦闘をする、その時の配分はどんな事があっても配分は五:五とした。

 配分を変に向こうに多くしても変に思われるかも知れないので五分にした。その代りじゃないが護衛の報酬を技術を教えるからとかなり値引きして来たので、少し渋って了承した。

 別に素直に認めても良かったんだが、それだとまた怪しまれる。面倒になってきたけどやめると振り出しに戻るかもしてない、我慢しよう。

 

 それから残りのコボルトの死体から魔核を取り出すのを許可を取ってから手伝う。怪我のせいでアスリラは魔核の取り出しが出来ないので、取り出した魔核を水で洗ってもらう事にした。

 

 コボルトの死体は五体しかなかったので、三体から魔核を取り出すと、最後の一体をリーゼとラーネルが協力して取り出していたが驚いた顔で俺を見ている。


「コウセルは、すごく早く解体出来るんだね。魔核を取り出すだけだけど、すごく早いよ。解体用のナイフは名工の作品なの?」


 アスリラも驚いた顔で俺に話しかけてくる。ナイフ事態は鍛造物で安物ではないが名工は作った物でなく、そこら辺で売っているちょっと良い物程度の物だ。

 解体の時に魔力を通して強化しているから切れ味が出ているだけだが、そういう事は出来ないのか?


「そこそこ良い物だけど名工の作品じゃあないよ。魔力を通せば切れ味が上がって早くできるだろ、魔力を通したりはしないの?」


「そういうのは流派の上級の技になると思うんだけど、何処かの流派の達人?」


 不思議そうにアスリラが訪ねてくるがそんなに珍しいのか?


 アスリラの反応を見る限り、魔力を通す事ができる人は今世でも少ないみたいだな。前世と違って広く普及していると思ったんだが違うのか。

 練習すれば戦闘に使える様になるのには時間は掛かるが、解体の時なんかは魔力を通す時間があるので使えると思うんだけど。


「どこの流派にも所属してないよ。全部、父親から教わった事だし魔力を通す事が当たり前のように教えられたよ」


 まあ、ザーインは出来る事は全部、鍛え上げていたからな。魔力操作能力も鍛えていたから魔力を武器に通す事が出来ていた。

 槍が良い物なので魔力を通せば、かなり切れ味なんかが上がる、魔物によるが一方的に攻撃をすることもできただろう。そうすれば戦闘も早く終わらせる事が出来る。


「コウセルのお父さんがどういう人かは知らないけど、普通は魔力を武器に通せる人はそんなにいないよ」


「そうなの、かなり便利だと思うんだけどな」


 どうして、そうなったんだ。かなり便利なんだけどな。魔力を通すのに時間が掛かっても、奇襲なんかで使えそうなんだが。


「コウセル殿、こちらもすぐに終わらせるから少し待ってくれ。すぐに終わらせる」


「ゆっくり、やっても良いですよ。鉱石が埋まってるか調べるのに少し時間が掛かりますから」


「コウセル、鉱石が埋まってるか分かるの!」


 リーゼにゆっくり解体をしても良いと返事をしたんだが、その返事にアスリラが驚き、残りの二人も目を見開いている。

 

 あれ? 普通に鉱石ならともかく魔力鉱石が埋まっているかどうか探す方法は昔から、前世の時からモータルセンヌにあった筈だけどな、そんなに驚くことか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ