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地方都市アンニー 到着

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6/19最後の方を少し修正しました

 

 ノキ村を旅立ってから、ゴブリンやレッドアイウルフ等の魔物に襲われもしたが、それ以外は何事もなく地方都市アンニーに着くことが出来た。


 地方都市アンニーはリディアの迷宮により発展した都市だ。


 リディアの迷宮が発見された当初、迷宮に潜る探索者と探索者が持ち帰って来た迷宮産の資源を管理する為に国から、貴族が派遣されたが、その貴族が「野蛮な者と一緒に居られるか!」と言い、リディアの迷宮から離れた所に屋敷を構えて、一緒に派遣された末端の役員は探索者と一緒にリディアの迷宮近くに寝泊まりさせた。


 探索者達も役員も口うるさい貴族、上司が居ないので、それで良かったんだが、迷宮から持ち出して来た資源を報告書でなく、目録を作り、必ず屋敷に持ってくるように指示されていた。


 その為、迷宮産の資源は貴族の屋敷に運び込まれてから、報告書を作成して、やっと売りに出される。


 探索者の報酬も貴族の屋敷―――と言っても探索者は屋敷の中に入れないで外で―――払われ、迷宮産の資源を求めて商人や職人が集まり、報酬を得た探索者を目当ての商人に娼婦、少数の娼男が集まって、それらを支える人が集まり、都市へと発展していった。


 これだけが理由ではないがリディアの迷宮の近くで都市が出来なかったのはそういう背景がある。


 そして、地方都市アンニーでの特産品は、迷宮の名にもなっているリディア鋼で作られた武具とくに防具が多い。


 リディア鋼は魔鋼鉄の一種で、魔鋼鉄は鋼鉄に魔力が宿った物で、等級が高いほど宿っている魔力が多いく、普通の鋼鉄より魔法などを防ぐ力が有り、等級が高くなるほど、その効果が高い。


 そして、リディア鋼は魔鋼鉄より魔法などを防ぐ力は劣るが、その分、物理的な力には強く丈夫である。


 リディア鉱石は他の迷宮で採掘できない訳ではないし鉱山がなどが存在しない訳でもないが、リディアの迷宮は浅い階層でもリディア鉱石が採掘する事ができる。


 他の迷宮では中層或いは下層と呼ばれる所まで潜らないと採掘できないし、鉱山は少数しか存在しない。


 アンニーでは他よりもリディア鋼の武具を多く揃えられ、安い値段で売ることができるので特産品に成ったと言う訳だ。












 さて、門で軽い検問を受け、入市税を払い終えて、都市内に入ったが、この後どうするかな。


 時間は昼を少し過ぎた位か。うむ、まずシューバ達に挨拶しに行くか。


 アンニーの事は知らないから、知っているシューバから話を聞くのはいいかもしれない。シューバなら役立つ話しも聞けそうだ、とくに良い宿を教えてくれるといいな。


 シューバ達に会いに行く事を決めて、通り掛ける人に道を聞きながらシューバの店に歩いて行く。


 シューバの店はメインストリート一つ横の通りに構えていた。メインストリートは、すでに商人か商会が店を構えているから、新しく店を構える事が出来なかったんだろうな。


 店の名前は紺狼商店、シューバの家族そのものを名前にした感じだな。


 店前から中を覗くと客が数人見える、閑古鳥は鳴いていないみたいだな。


 (洗浄)を使い、服と体を綺麗にしてから店内に入る。「いらっしゃいませ」と出迎いの挨拶をしながら、一人の女性が出てくる。


 ホーエルをそのまま大人にした感じの女性。ただし獣耳と尻尾は無い人間族だ。


「お久しぶりです、ニーエルさん」


 出て来た女性はニーエル、シューバの妻でホーエルの母親だ。ホーエルは人間と獣人のハーフで、獣人の血を濃く継いでいる。


「あら、久しぶりコウセル君。元気にしてた、いつアンニーに着たの?」


「馴れない旅で少し疲れましたが、元気ですよ。アンニーに着いたのは、つい先ほどです。アンニーに着いたのでシューバさん達に挨拶しようと思いまして」


「そう、ありがとう。じゃあ、主人を呼んで来ますね―――ホーエル、あなたもコウセル君に挨拶なさい」


「ちょ、ちょっと待って」


 ニーエルはホーエルに声を掛けてから店の奥に行き、代わりにホーエルが慌てて出て来る。


「久しぶり、コウセル君。元気にしてた、何時アンニーに来たの?」


「お久しぶりです、ホーエルさん。旅で少し疲れている位ですかね、アンニーにはつい先、着いたところです」


 それからシューバが来るまで話をした、父親に魔力無しで槍の勝負に勝った事、アンニーに着くまで旅の苦労した事、道中、魔物に襲われた事などを話。ホーエルからは店を開業準備の苦労話や開業してからの話を聞いた。


 ホーエルと話している間、ずっと他の客からの嫉妬の視線を感じた、アンニーでも人目を引くほどホーエルは美少女なんだろう。


「お久しぶりです、コウセル君」


「お久しぶりです、シューバさん」


 店の奥からシューバが出て来て、挨拶をして来るので挨拶を返す。


「アンニーに着いてから、すぐに挨拶しに来てくれたと聞きましたありがとう御座います。この後、ご予定はありますか?」


「時間は大丈夫ですし、シューバさんに少し聞きたい事もありますから、時間を取って頂けますか?」


「分りました、店の奥で話しましょう―――ホーエルは仕事に戻ってください」


「はい、分りました。コウセル君、またね」


 シューバには店員として返事をして、俺には友人として挨拶してから仕事に戻っていった。


 その後、シューバに案内されて店の奥、応接間に通される。


 お互いソファーに座り話を始める。


 俺は二年間という期限があるが、紺狼商店の専属冒険者として契約している、紺狼商店の意向に沿って働かなければならない。


 と、言ってもまだ冒険者ギルドに登録もしていないので登録して、新米ランクと言われるEランクになってから一月ぐらい経ったあと、アンニーに馴れてから二年間契約を始めたいと言われた。


 俺はこれを了承した、流石に役に立っていない期間を含めるつもりは無い。


 仕事の話を終えて、アンニーで面白い話はないかと訊ねると、大型新人が現れた事を聞いた。


「二代目剛閃ギランですか、剛閃ギウスの血縁者なんですか?」


「いいえ、自称ですよ。しかし、魔力量はAランクもある将来優秀な冒険者ですよ」


 すごいな、魔力量Aランクか、それは周りも期待するだろう。しかし、そういう情報は簡単に出回るのか?


「冒険者の個人情報というのは簡単に手に入るんですか?」


「いいえ、ギランが自慢して言い触らしているだけです。まあ、それなりの地位に居る人が調べれば分るのかもしれませんが」


「まあ、それは仕方が無いかも知れませんね」


「そうですね。それとギランは依頼を受ける時は魔物討伐しか受けません、他の仕事は地味で嫌だとか。それに彼は魔力を使った、強い力で魔物を倒すみたいで、魔物の身体が滅茶苦茶になって素材も余り取れなかったり、周りに被害を出すので少し問題児扱いされています」


 魔力量が多いから訓練しなくても魔物を倒せるからな、訓練してないな。訓練してないせいで魔力の制御能力も低いから周りに被害が出るんだ。


 これは何時か小暴風リトスみたいに何かやらかしそうだ、出来るだけ近づかないようにしないとな、巻き込まれたら堪らん。


 それから話を続け二回目の鐘が鳴るとシューバは仕事があるといい、話し合いは終わった。


 最後にシューバから良い宿は無いかと聞くと熊の手亭という宿を教えて貰った。アンニーに行商で来る時は何時も熊の手亭に泊まっていたらしい、女将も従業員も獣人で、獣人の事は分っていてサービスが良いらしい。


 人間である俺には、獣人の為のサービスは意味が無いが、それでも値段も安く、食事も美味しいので良いらしい。


 シューバとは分かれて、ニーエルに、アンニーに来るまでに手に入れた魔核と毛皮を買取って貰い、ホーエルに挨拶をすると店を出て宿を目指した。


 シューバの店を出て、暫く歩くと熊の手と思われる、看板を見つけた。


 看板にも熊の手亭と書かれているので間違いないだろう、宿の中に入って行く。


「いらっしゃい、食事かい、それとも泊まりかい。食堂の時間が終わっているから、悪いけど食事は出来ないよ」


 受付に座っていた大柄な獣人の女性が声を掛けてくる。


「泊まりです、とりあえず十日程、部屋を取れますか?」


「ああ、大丈夫だよ十日分なら金貨一枚分の料金だよ、朝晩食事付を付けるなら赤金貨一枚と銀貨一枚分追加だ分るかい?」


「大丈夫ですよ、一万六千エルドですね」


 計算してから、金貨二枚を出す。獣人の女性は少し驚いた顔をする。


「偉いね、計算できるんだ」


「ええ、父親や村の神父様に習いました」


 実際、習わなくても出来るんだがな。


「そうかい、自分で出来た方が良いからね、騙されずに済むよ。―――ああ、言うのを忘れていたんだけどお兄さん、従業員以外に獣人がいても大丈夫かい? うちは獣人のお客さんが多いんだ」


「大丈夫です、紹介してくれた方も言っていたので知っています」


「うん? 誰から紹介して貰ったんだい」


「紺狼商店のシューバさんからです」


「なんだい、お兄さん、シューバさんの知り合いかい。色々お世話になったし昔の常連さんだ、少しサービスして値引きして上げるよ」


 宿泊代のお釣りで銀貨五枚、五千エルド貰う。


「今日の食事もサービスだ、晩飯は十の鐘が鳴ってならだよ」


「分った、ありがとう」


「んじゃ、改めて、いらっしゃい熊の手亭に。私は女将のボアンよ、よろしくお兄さん」


 宿帳に名前を記載したあと―――ここでも名前を書ける事を驚かれた―――、荷物だけ置き、再び宿を出る。


 次は冒険者ギルドで登録だな。


 冒険者ギルドの前まで来る、一都市のギルドだけあり、そこそこ大きい三階建の建物だ、入り口周りも綺麗にされている。


 出入りしているのは武器を持った厳つい男が中心だ、偶に女性も見かけるが、コッチも厳つい女性が多い。


 前世でも美人の冒険者は少なかったからな、今世でも少ないんだろう・・・・・いないという事が無いように祈ろう、どっかの神様に。


 冒険者ギルドの中に入る、職員以外の人も疎らにだが居るみたいだな。


 冒険者ギルドの中はカウンターが幾つもあり、待っている間座るソファー、依頼の掲示板、軽食提供するスペースと食べるスペース、売店がある。


 依頼書や売店を覗くのは後でいいか、まず登録からだな。


「すみません、登録をお願いしたいんですが、何処ですればいいんですか」


 近くのカウンターに居る、女性職員に話しかけると笑顔で対応してくれる。しかも美人だ。


 受付嬢なんかが美人なのは何処の世界でも同じなのかな。


「はい、いらっしゃいませ。登録はこちらでも出来ますよ。こちらの登録申込み用紙に記入をお願いします。代筆は必要ですか?」


「いえ、自分で書けますから大丈夫です」


 さて、登録申込み用紙の内容は、名前、性別、種族、年齢、職業、使用武器、自分の戦い方、役に立つ技能。あまり前世と変っていないな。


「すみません、これは全部記入しないといけないんですか?」


「いいえ。基本は名前、性別、種族、年齢だけで良いんですが、他は、仲間の斡旋や募集の時やギルドからの指名依頼などで参考にしますから、出来れば記入して頂ければありがたいです」


 そうか、全部記入しなくてもいいなら、自分の戦い方と役に立つ技能は省くか、自分の能力を晒すのは嫌だからな、だけど職業に魔術師と書くのだけは譲れないな。


 魔術師として誇りがあるからな。


 申込み用紙に記入して渡すと、職業に所で驚いたのか「魔術師?」と小さく呟く。


 その小さな呟きを身体強化で聴力を高めていた数人が拾い上げ、ギルドから出て行く。恐らく所属するクランに報告しに行ったんだろう。


 この職員は新人か?珍しい情報や有益な情報は呟くように言われているのか、何の為に記入という方法を取っているか分ってんのか。


 いずれ魔術を使うから噂になると思っていたが、早々に知れ渡るのは想定外だ。


 まだ、どんな魔術が使えるか分らないから強引な勧誘は無いだろう、使う魔術も中級、上級魔法に匹敵するものを使わなければすぐに興味が薄れるだろうから、大丈夫だと思っておこう。


 職員が記入を確認し、ディスプレイが水晶で作られたパソコンみたいな物に打ち込んでいく。


 パソコンみたいなのは前世でもギルドで使っていた古代遺物を複製した物だな。俺は勝手に魔導パソコンと読んでいる、一応、正式名称は魔導機器だっけ。


 前世では完全に解析されていなかったな、今ではどうなんだろう? 暇な時にでも調べて見るか。


「それでは、魔力量をはか「サンテちゃん、依頼達成手続きしてくれない」


 職員が何か言いかけたところで横から男が割り込んでくる。


 体格や身長は変らないが身体強化を男が使っている為、押しのけられ、身体強化に使う時に制御仕切れなかった魔力が男から噴出し、職員達の机から紙が舞い上がっている。


 俺が男を睨むと、男は勝ち誇った顔をしている。


 イラッとするが、突っ掛かる事はしない。


 男もそれが分っているのか余裕の表情だ。押しのけられた時に感じた、いや、感じさせられた魔力量は俺より多い。


 男は自分が魔力量が多く強いと分らせて、我侭を通しているみたいだな。


「ギラン様、もう依頼を達成したんですか、すごいです!」


 女性職員が媚びった声で男を賞賛している。


 というか、こいつが二代目剛閃を自称しているギランか。

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