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魔物の噂

ちょっとグロい表現が有ります、少しですが苦手な方は注意してください。


 シューバ達と出会ってから二年経った。


 最初は効率の良い配分を考える為に馬車六台でノキ村に来ていたが、今では商隊を二つに分けてセースの変わりに周る各村を効率良く回っている。


 シューバは行商で各村を周るが、ノキ村には必ずシューバ本人が率いて来てくれる。


 俺としては色々秘密にして取り寄せて貰えるから非常に助かり、向こうも傷の殆ど無い毛皮、稀にケイッコー鳥の赤羽を売り、多く商品を買っていくので上客一人として商隊全体から重宝されている。


 後日、セースがシューバにケイッコー鳥の赤羽をどうやって手に入れたか聞かれたときに、俺が妥当な相場で買取ると持ちかけたら、積極的に捕りに言ったと説明するように頼んでいたので、セースが説明を聞き、悔しがっていたとか。

 ―――――ざまあみろ。


 二年間、そこそこ平和に過ごしていたが大きな出来事も有った。その中でも特に俺個人的に大きな出来事はシェッタとコッチが結婚した事だろう。


 二年前、シューバ達、商隊がノキ村を離れてから冬の時期に入ると、シェッタとサブロが教会に来るようになった。


 サブロは魔力による身体強化だけをを習おうとしていたが、俺とリムス神父が強制的に勉強するようにして、魔術は覚えられなかったが身体強化は使えるようになる。


 シェッタは俺が魔術を使い楽をしているので羨ましくなり魔術を習いに来たが、コッチを意識していて何かと疑問が有ると、魔術を使いこなしている俺やリムス神父で無く、コッチに質問してコッチも嬉しそうに答えていた。


 リムス神父も俺も二人の事を察して出来るだけ二人の世界を壊さないようにしていたが、サブロは少しばかり嫉妬しているのか、偶に二人の世界を壊そうとしていたので、俺が魔力を流し激痛で声を上げられないよう撃沈して邪魔させないようにした。


 冬が終わり、再び畑仕事をするようになると、俺はコッチを自分の家の畑仕事に誘う事にした、コッチの家の畑は狭く親と兄夫婦で仕事が出来てしまうので、次男のコッチは狩りで生計を立てていたので簡単に誘う事ができた。


 コッチはザーインにビビりながらも逃げずに畑仕事をし、畑を広げる時はシェッタと結婚するための試練としてザーインと二人だけで仕事をさせた、俺は偶に魔術で手伝ったり、狩りを中心に働いた。

 

 コッチが家の畑仕事を手伝うようになって一年ぐらい経つと、家族全員とコッチで昼食を食べているときにコッチからシェッタと結婚する事を告げられ、俺は固まった。


 ザーインとマリスは驚いていなかった、先に二人に結婚の許可を貰うために話していたんだろう。


 コッチは固まった俺に許可を取る必要も無いのに、シェッタと結婚する事を許可して欲しいと頭を下げて来たので許可を出した。


 俺が固まっていたのは、コッチがザーインにカチカチに固まって結婚の許可を貰いに行くときの様子を見れなかった事を悔やんでいただけなのだが・・・・・・・意外と寂しく思っている自分が居る。


 思ったよりシスコンだった自分に驚きながらも喜んでいる二人を祝福する。


 それから、慎ましながらも結婚式を行い、コッチは祝福と嫉妬と尊敬―――ザーインにシェッタとの結婚を申し込んだから―――され、シェッタは祝福され村の未婚の女性の多くは安堵し―――シェッタを狙って村の男衆が他を向かない―――ビッテは先に結婚された事を悔しがっていた。


 結婚してからコッチと一緒に住む事になり、急遽、家を増築することになった。


 木材は畑を広げるためにかなりの数切り倒したので不足する事は無く、増築するために作業する人員で俺、ザーイン、コッチ、サブロは魔力の感覚を完全に掴んでいるので身体強化を高いレベルで使う事ができ作業時間を大幅に短縮して短期間で完成した。


 コッチと一緒に暮らすようになってから、朝の槍の訓練にコッチを誘い(強制参加) 俺、ザーイン、コッチの三人でする事になり、コッチの技術は一人前に成りつつある。


 豪農計画の為、畑を広げ、村で自分の家の畑を継げない次男、三男坊は家の畑に働きに来たので、シェッタは畑仕事をする事が少なくなり、リムス神父から薬の製作を学ぶ事になった、リムス神父以外で薬を作れる人がいなかったので村全体が助かった。


 そのリムス神父だが、体が弱っているわけじゃなく、まだまだ元気で使える魔術が多くなり喜んでいる。ノコモ村長が持っていた土の魔導書とシューバから買った今では(旅の書)と呼ばれている魔術書の魔術を覚えて楽しんでいる。


 旅の書は魔術書だから魔術文字の解説が書いていないので、普通は覚えられないが、俺が解説を書き足したから覚える事も出来るようになった、リムス神父と一緒にいる時に買うと書き足すことが出来なかったので先に買う事にしていた。


 後、ジャイタが冒険者になる為、村から出て行ったが村の若くて強い男が出て行ったのに出て行く前より平和になったのは皮肉だ。


 シューバからジャイタの話を聞くと素行は悪いがそこそこの腕利きに成っているらしい、父親のジャイボは複雑そうな顔で話を聞いていた。






「魔物がこの辺りに来ているんですか?」


 行商に来ている、シューバから様々な話を聞いていると魔物がノキ村のある地域に来ていることを教えれくれた。


「ええ、二年ほど前に魔王種が出てきた事を覚えていますか?」


「はい」


 確か魔核の価値が高騰して、手に入れられなっかた原因だったな。


 話を聞くと、魔王種の元と成った魔物は狼の魔物で狼以外の魔物を住んでいる森から食い殺すか追い出して、森を占拠してしまったらしい。


 追い出された魔物は別の森へ行くが、当然そこには元々住んでいる魔物が居り、森に入るのを諦めて別の場所に行くか、元々住んでいる魔物を追い出すしかない、そして追い出された魔物は別の森に移動する。


 そんな事を延々と繰り返し、次第にその波がノキ村の在る地域にまで及んで来たらしい。


 未だに影響が有る事にも驚いた。


「そこ等じゅうで噂に成っているよ。私もノキ村に来るまでに人が殺された跡を見たよ、食い殺されたせいか、血の跡と散らばった肉片が在っただけだが服らしき布が有ったから、たぶん人だ」


 おいおい、かなり物騒だな死体を喰われて骨も喰うとなると大型の魔物に成る、シューバ達は村から出て行くとき大丈夫なのか? 今回の行商には四人ごついのが付いて来ているみたいだが。


「シューバさんは大丈夫なんですか、四人、商人じゃない人がいますけど彼等で大丈夫なんですか?」


「彼等は冒険者でもうすぐCランクになるベテランです、それに攻撃用の魔導具も持っています、使い捨てですがなんとかしますよ」


 ん~、それでも心配だな。その攻撃用の魔導具は使い物になるのか?


「シューバさん、勉強の為に攻撃用の魔導具を見せてくれませんか?」


「いいですよ、ホーエル!」


「はい、隊長どうかしましたか」


 シューバがホーエルを呼び、すぐにホーエルが近くに来る。ホーエルはプライベートと仕事時を分けて、仕事の時は父親のシューバに接するときは隊長と呼んでいる。


「コウセル君が攻撃用の魔導具を見たいそうだ、持ってきてくれるかな」


 シューバもプライベートと仕事の時は分けていて、プライベートの時は俺を君付けで呼ぶ。


 俺を君付けで呼んでいることにホーエルが気付き、引き締めていた顔を弛めた。


「分かった、コウセル君、少し待っててね」


 ホーエルと話すようになり、ホーエルの方が年が一つ上である事が分かってからは君付けで呼ぶようになった、俺は変らず、さん付けで呼んでいる。


 ホーエルが魔導具を取りに行き離れるとシューバが冒険者について聞いてくる。


「コウセル君は護衛の彼等をどう思いますか」


 シューバに聞かれて護衛の冒険者達を視る、持っている武器は剣が三人で一人が盾を持っていて、一人が槍を持っている、魔法使いは居ないみたいだ。全員、魔力の制御が甘く感じる、剣と盾を持っている冒険者は魔力量がCランク位あり他はEランク位だろうか、たぶん武術の方だけ鍛えて魔力の制御は訓練していないんだろう。


 俺としては魔力の制御が甘く、武術が得意でない俺が見ても少し隙が有るので強そうには見えない。


「彼等が見たことの無い魔物が現れたら、注意したほうがいいですね、ここまで来た魔物ですから何か特殊な能力を持っているかも知れません」


 流石に弱そうだと正直に言う訳には行かないので、不測の事態があれば護衛を信用せずに注意したほうがいいと遠回しに注意する。


 シューバが嬉しそうな表情をしている。


 あれ? 俺は遠回しに彼等を弱いと言ったんだが喜ぶのはおかしくないか。


「コウセル君には彼等がその程度にしか感じませんか、アンニーでは彼等は優秀なパーティなんですよ。この頃、魔物と遭遇し易いから彼等は引っ張りだこです」


 あのレベルで世間では優秀な方なのか、レベルが低すぎないか。


 あ~でも、比較対象が悪いか? 俺が言う優秀な人達と言うと、今世ならザーインだし、前世では近衛騎士団に騎士団の精鋭達だからな仕方が無いのかな。


 比較対象が良いのか悪いのか考えていると、おそらく攻撃用の魔導具を持ってホーエルがこっちに来る。


「お待たせしました、コウセル君。これが攻撃用の魔導具になります、使い方は相手に向けて投げて当てる物だから、強い衝撃は与えないでね」


「分かった、ありがとう、ホーエルさん」


 ホーエルに礼を言い、攻撃用の魔導具を受け取る。


 攻撃用の魔導具は魔核に簡単な術式を込められた物で、効果は当たれば爆発して相手を火で焼く、魔法や魔術なら(火弾)といった感じのものだ。


 人が相手なら、この程度でも十分効果があるだろう、大きな火傷を負えば動きは目に見えて落ち、討伐または捕縛が簡単に出来るだろうが、魔物相手では火傷程度では僅かに怯む程度で討伐などは難しいかもしれない。

 

 もし護衛の冒険者が敵わない魔物ならあまり効果は無さそうだ。まだ、魔核に術式を込められる隙間がある・・・・・・バレない様に改良しておくか。


 魔力を圧縮して込め威力を上げて、術式を追加し命中補正と爆発の指向性を持たせ当たった物に集中する様にする。改良した魔導具は当たった所を爆発で吹き飛ばし相手を炎で焼く、魔法、魔術なら一つランク上の(炎弾)といった所か。


 魔導具を改良してもシューバとホーエルに変った様子は無い。改良はバレなかったみたいだな、けどシューバが何となく感づいているだろう。


「ありがとう、ホーエルさん」


 再び、礼を言ってホーエルに攻撃用の魔道具を返す。


「どういたしまして」

 

「ありがとう、ホーエル。魔道具を戻してから仕事に戻ってくれ」


「うん、わかった。コウセル君、またね」


 ホーエルは俺たちから離れて仕事に戻っていく。


 ホーエルが仕事に戻ると、意味有り気にシューバがこちらを見て、攻撃用の魔導具の感想を聞いてくる。


「どうでしたか、あの魔道具は?」


 これは遠回しに、何をしたか聞いているのかな。まあ、性能が変っているから説明はしておかないとな。


「そうですね、あの魔導具は当たったら爆発して当たった場所を吹き飛ばし炎で焼き払う物ですね」


「そうですか。おかしいですね、私が買ったのは当たったら爆発して火傷を負わす程度だったんですけど」


「きっと購入した店の商品管理が杜撰だったでしょう、それで買った魔導具よりも威力の高い魔導具が混じっていたんじゃないですか」


「そうですね、そうかも知れません」


 お互い白地らしいく笑い合うが、そのあとシューバがまじめな顔で話してくる。


「しかし、本来買ったはずの魔導具は金貨十枚はしますが、混じっていた魔導具は金貨五十枚ぐらいの価値が有ります、あまり頻繁に混じる等の問題が発生すると混乱しますね」

 

 そんなに価値が上がるのか、これは安易に魔導具の改造はするなと言うことかな。


 あれ位なら簡単に大量に作れるんだが、目立ちすぎると貴族や変な組織に目を付けられる。


 物の価値を調べないと大変な事になるな。


思ったより文字数が多くなり、半分ぐらいを先に投稿しました。

今日中にもう一話投稿できると思います。

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