大魔王、隠居する
私は魔王だ。
あらゆる魔族の王の中の王という意味で、大魔王と一般的に呼ばれている。
私が魔王になり、数千年の時が過ぎた。今ではこの世界は平和であり、戦争などはなくった。我々魔族をはじめ、人間、エルフ、妖精などが、活発に交流をし暮らしている。
つい、三百年前まで泥沼の戦争を続けていたのが嘘のような穏やかさだ。
戦争では、我々魔族が勝利した。それにより、今の平和な世の中を作り出したのだ。ただ、魔族が勝ったからといって、他種族を無碍に扱っている訳ではない。基礎となるルールは魔族が作ったが、そのルール自体が他種族差別を禁じており、全ての種族の平等な取扱いをうたっている。その成果が今の世の中である。
私は、この今の現状に満足してた。また同時に、飽きてもいた。
そこで、ここまで安定した世の中を作ったのだから、もう後進に全てを託しても良いだろうと考えにいたった。
一部、魔族が戦争に勝ったのだから魔族中心の世にすべきだと考えている輩がいることも知っていたが、そこはこれからの者達で対処していけば良い。
そして私は、魔王の座を筆頭大臣の職にあった者に譲り、隠居したのだ。