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彼女の本音

15歳の3作目の作品となっております。

1話目の晴れた日の夕暮れ

2作目の最後の花火は完結していますのでよければそちらもご愛読ください。

カチッ、カチッ。


時計が動く音を聞きながら、俺はぼんやりと窓の外を眺めていた。


教室からはうるさいざわめきが聞こえてくる。


「えっ! めっちゃかわいいじゃん!」


ーー調子に乗ってこれからも私たちの引き立て役でいろよ、ブスが。


「ほんとテストとかやばいって。俺全然勉強してねえもん」



――毎日八時間はやってるけど、その方が賢いと思われるだろうからな。



本当にうるさくて鬱陶しい声だ。


俺は心の奥に鉛を抱えたまま、時計の方に目をやる。


早くこの地獄みたいな時間が終わらないかな。


思わずため息が漏れる。


なんでこんな風になっちまったのかな。


昔の俺は純粋に世界を信じていた。

みんなが思っていることを素直に言って、みんなが周りを認めている。


そんな夢みたいな世界を、本気で信じていたんだ。


でもある朝、そんな世界の常識は真っ逆様に崩れていった。


「おはよう」


いつも通りの母さんの声だった。


ただ、いつもと違ったのは――


――今日も起きてきて学校に行かせなきゃいけない。本当に疲れるわ。


「母さん疲れてるの?」


「えっ? そんなことないよ。どうしてそんなこと聞くの?」


「なんでって、今母さんが言ったことじゃん」


「うそっ……口に出てたのかな。気にしないでいいのよ」


「わかった」


そうして俺は、ただの気のせいだと思って家を出た。


しかし現実は違った。


周りの人の本音が、頭の中に響いてくる。


その黒に染まった心を知って、俺も世界も真っ黒に落ちていった。 


そう俺は他の人とは違うものが聞こえる。


人のーー心の声だ。


「はぁ……」


もう一度深いため息をつき、意識を現実に戻す。


いつもと変わらない、地獄みたいな日常。


その中に一つだけ、違和感を覚えるものがあった。


どこだ?


俺はその違和感を見つけるため、教室を見回す。


見つけた。


それは、学校一かわいいと言われる美少女の心の声だった。


「時雨さん、おはようございます。よければ放課後一緒にお出かけしませんか?」


「ごめん。忙しいの。話しかけないで」


――違うの。本当はこんなこと言いたくないのに。


――誰か、本当の私に気づいてよ。


言葉とは裏腹に、そんなことを考えていた。


俺は、その少女のことを無視することができなかった。

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