質問1【英仏百年戦争、薔薇戦争の期間は中世から近世への変換期に入りますか?】
(´・ω・`){ ついった投稿時のレスから頂いた質問です
質問1【英仏百年戦争、薔薇戦争の期間は中世から近世への変換期に入りますか?】
質問者:Kさん
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お待たせしました
自前の資料を色々と調べてきました
百年戦争を語る上で前提としておかなければならないのがいくつかあります
・モンゴル帝国と元の成立によるヨーロッパとアジアの大規模な交流
・14世紀の小寒気の到来による自然環境の悪化と食糧難
・ペストの発生とパンデミック
・食糧難と環境の悪化とペストの蔓延による元帝国の国力衰退
こうした点は外すことができないと思います。
しかし何より中世を終わらせ近世が始まるきっかけとなった最大の要因は【ペスト】だと思うのです。数十年近く続くことになる巨大なパンデミックがユーラシア大陸を大規模に襲ったことにより、人々の思想の根底が覆ってしまったのです。
絶対的な権力も、巨大な国家も、宗教的な権威も、絶対的な死の前には無力である。
死の恐怖と言う絶対的な現実が、人々の心理構造を根底から書き換えてしまい、中世期における神への信仰や王権に対する畏怖の念、さらには宗教的な信仰における権威と言ったものを根底から覆してしまったのです
そしてご指摘の【百年戦争】と言う巨大な騒乱もまた、人々の価値観を根底から覆すには十分すぎる出来事でした。イギリスとフランスの間の王位継承権をめぐる争いが100年も続くという現実もそれまでの社会を支えていた宗教的権威を弱体化させるには十分すぎる現実でした。
さらには銃や大砲といった近代兵器の萌芽、海洋技術の発達による大航海時代の始まり、科学技術の発達と科学による現実の認識と言う新たな価値観の登場。
それまでの神の力により全てが差配されていた中世は完全に消え去り、人間1人1人の現実の認識による社会と言う近世の時代が始まります。そうした意味では百年戦争とその余波で生まれた英国の薔薇戦争は、中世から近世への変革期の【象徴】と言えるかもしれません
Kさん
補足すると、東西交流が盛んになり、水車を用いた製鉄技術の導入も追加できますね。製鉄技術で欠かせないのは、安定的なペースで酸素を送風する技術の導入できます。これにより質の高い鉄ができた。何より人手が減った。プレートアーマーが本格的に導入されるのは、15世紀らしいですね。
Kさん
これ真剣に議論しようとすると、発展段階論になるから難しいですね。少なくとも、僕は税金という仕組みが確立しているかどうかが中世と近世の差だと思っている。世俗権力に対して、法に則り、金銭を渡すということは、それなりに社会基盤が確立していないとできない。
美風慶伍
おっしゃる通りですね。
特に中世は時代が後ろに行けば行くほど都市間交易や貿易が極めて活発になっていきます。
つまりこれはお金のやり取りが活発になっているということであり、それを成立させるためには法に則ったルールがより求められているということでもありますから。





