二話 ヤンデレバレンタイン
「う〜ん…」
僕は潔癖症の一般中学生、翔斗
そして今日はバレンタイン、
そして貰ったチョコレートケーキ、
しかも…相手の女子は良くない噂も聞く程だ。
「どうしよっかな〜…捨てるのも勿体無いし、
けど…手作り好きじゃ無いんだよなぁ」
「誰か貰ってくれればいいのに」
そう言い、一歩を踏み出した時だった。
「うわぁ?!」
「いっててて…なん…だ……よ、、」
まるでパズルのように積み重なった建物たち、
夕暮れの空を照らす不気味な電柱
ブリキのパイプが道に沿って立つ建物の間を繋いでいる
「ゆ、夢?」
目の前で起こる非現実的な出来事に頭がついていかない
ふらふらと歩き出す内に一つの建物の前で足が止まる
「うわ…凄……」
埃が多そうな店だったが、小綺麗に並んだ骨董品に
目を奪われ、つい店内に足を踏み入れた
ぱっと見誰も居なかったが、
山積みになった物の端に机や椅子で作られたトンネルを発見した
奥に人影を発見して声をかける。
「あっ、あの!」
『?嗚呼、お客さんね。チャティは居なかったのかしら』
「えっと?あの…」
『ここに来たって事はいらない物があるんでしょう?』
『見せてくれる?』
控えめに手に持っていたケーキを差し出す
『…これね。思いと物を分けてあげる』
何か大きなポットのようなものにケーキを放り込む
カラン
どす黒く、濃い紫に染まった飴玉の様な物が出てくる
「ひっ…」
『嫉妬、独占欲、性的欲。大まかに3つかな』
『どっちか、居る?』
「いっ、いりません!!」
『そう?ケーキだけ、要らない?』
『見て、橙色。努力の色。桃色、愛情。
要らないなら、捨てちゃうよ?』
「っ…もらいます、、」
『そっか、またね』
ケーキを受け取った頃には、通学路に戻っていた
受け取ったケーキは、食べる事は出来なかった。
何故かって?
帰り際、
無表情な魔女がなにか複雑な顔を浮かべる姿を見たから
〈イヤァゴメンゴメン!買イ物ニ行ッテタノサ!〉
『……』
〈フハハ…ソノ反応、何カアッタネ?〉
『…………』
〈嫌ト言ウ事モ大事ダヨォ?〉