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ユーシャちゃんの日常  作者: 無題
6/6

ユーシャとルルッカ、夢の中

私たちはひた歩いた。途中の木陰で干し肉とドライフルーツの昼食をとり、道中二人でしりとりなど嗜みながら、なんとか日暮れ前に初日の目的地であるオルセー泉に到着することができた。

テントを張り、湧き水を使ってごはんを炊き、野菜炒めを作って二人で食べた。後片付けを終えて焚火のところへ戻ってくると、ユーシャさんがじっと闇夜に目をこらしているのに気付いた。

「どうしました?」

ユーシャさんは荒野を指さすと、ひそひそ声で言った。

「あそこ、何かいる」

途端に空気がピリついた。すわレムルスか? しかし、ユーシャさんが指さした方向に目をこらしてみても、私には何も見えない。

「獣ですか? レムルスですか?」

「獣なのかなあ? でもあんな獣いるかな。レムルス見たことないからよくわかんないな」

「ど、どんな雰囲気ですか?」

「うん、なんか、グゴッ! ギューン! スヴァーッ! ヴィシャーッ! って感じ」

 まるで伝わってこない……。

「あ、動いた……遠ざかってく。なんか大丈夫そうだよ」

どうやら危険は去ったらしい。私はホッと胸を撫でおろした。

「それにしても、すごいですねユーシャさん。私もかなり夜目は効くほうなんですけど……。全然見えませんでしたよ。あの辺ですよね?」

私はユーシャさんが指で示していた方向を指さして聞いた。

「うん。その方角。五キロくらい先」

夜目とか関係なく見えるわけない……。

「……ユーシャさん、視力っていくつですか?」

「はかったことないからわかんないなあ。なんで?」

「いや、なんでもないです……。とりあえず明日もまた歩かなきゃだし、今日はもう寝ましょうか」

「わかった」

私たちはテントに入り、下にマントを敷いて、そこに横になった。

「それじゃ、ランプ消しますね。おやす……」

「すぴー、すぴー」

早い。もう眠ってる。寝つきいいなあ。

私はユーシャさんに毛布をかけて、ランプを吹き消した。それから自分も毛布にくるまり、目を閉じた。

「ううーん。むにゃ、むにゃ……」

まどろんでいると、ユーシャさんの寝言が聞こえてきた。

「ねえ、見てルルッカ。大きい鼻くそがとれたよ、むにゃ……」

夢の中で私に何見せてんの……。

「ほら、虎くらいある」

大きすぎるわ。


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