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マジカルレタス! レタスと言ったら牛乳!

 レタスとキャベツ。

 嗚呼、ヤツらはどうしてあんなに似ているのだろうか。


 あんなにも彼らが似ていなければ、「キャベツを買ってきて」と頼まれた全国各地のちびっ子たちが誤ってレタスを買ってしまい、夕飯がロールレタスになってしまう不幸な事故も減るだろうに。


 というわけで、記念すべき第一回のテーマはこちら。


 レタスとキャベツ何が違うの問題。


 これで行こうと思います。


 結論から話しますと、レタスとキャベツは全く遠い植物たちです。

 いわゆる、他人の空似なんですね。

 まずはレタスの話をして、その後キャベツの話を、最後にその周辺の話をします。

 ちなみにこのページではほとんどレタスの話しかしていませんが、3000字弱あります。

 ドン引きですね。私も引いてます。



 レタス。

 日本語ではチサ(苣)とも呼ばれ、お野菜としてチャーハンなど色んな料理に使われる植物ですね。

 サラダにもよく使われて、そのまま食べることも多い子ですが、サッと湯通しすると色も鮮やかになり、独特の苦味も少し弱まるので食べやすくなります。

 ちなみに、レタスだけのサラダのことをハネムーンサラダと呼ぶのですが、これは「レタスのみ」という意味の「Lettuce alone」と、「私たちだけにして(≒二人きりにして)」という意味の「Let us alone」をかけた小粋なネーミングらしいという説があります。


 そんなレタスですが、分類的には植物界被子植物門キク類キク目キク科アキノノゲシ属の植物です。


 はい、「え、え、なんて?」って感じになりますよね。

 簡単に解説致します。


 生物は様々な方法で分類されます。

 茎とか根とか葉とかを持ってるやつを植物と呼ぼうとか、親の乳を吸って育つ動物を哺乳類と呼ぼうとか、そんな感じですね。


 で、その分類にも大きさってもんがあります。

 住所みたいなもんだと思ってもらえれば分かりやすいかなと思います。

 日本国の中の、東京都の中の、文京区の中の、白山の、三丁目の七番の一号みたいな感じですね。

 植物界の中の、被子植物門の中の、キク類の、キク目の、キク科の、アキノノゲシ属の中に、レタスっていう(しゅ)がいるわけです。

 うーん、うまく説明できているでしょうか?




 レタスの学名はLactuca sativaと言います。

 学名って言うのは、ふんわり言えばそれぞれの生物に与えられるラテン語の名前のことで、例えば人間ならHomo sapiensですね。文脈上なんの生物の話をしているか大体わかる時は、H. sapiensみたいに省略して書くこともあります。

 

 前半のLactucaの部分は、先程でてきた分類にある属の名前です。

 レタスに関していえば、レタスちゃんと同じくアキノノゲシ属の植物はみーんなLactucaなんとかって名前になっているのです。

 サックリ言うなら苗字みたいな感じですかね。


 後半のsativaの部分は、それぞれの(しゅ)に与えられる名前です。

 先程の例に合わせるなら、下の名前ということになります。

 Lactucaさんちのsativaちゃん、みたいな。


 ここまでの話をまとめると、レタスちゃんは、

植物界っていう国の

被子植物門っていう地方の

キク類っていう県の

キク目っていう区の

キク科っていう地域にお住まいの

アキノノゲシ属(Lactuca)さんちの

sativaちゃん

ってことになります。

 どうでしょうか、ふんわり掴めればOKなのですが、分かりにくければ感想などでお伝えいただければ幸いです。


 さて、人間の苗字に由来があるように、植物の苗字にも由来があるものです。

 ここからは言語チックな話を交えながらレタスの特徴の話をしていきます。


 Lactucaという名前ですが、これはラテン語の lact- という語幹から、来ていまして、意味は「乳」という意味です。

 あの、牛乳とかの乳です。


 ピンと来るように馴染みのある言葉を挙げますと、例えば「ラクトアイス」って見た事ありませんか?

 明治エッセルスーパーカップとかに書いてあるアレですね。

 あれもつまり、牛乳で作ったアイスなので、lact- がついてるわけなんですよ。


 あと、もし理系の方がいれば、「乳糖」のことをlactoseっていいますし、「乳酸」のことをlactic acidっていいますよね。

 乳酸菌サプリとかにも、ラクトなんとかってよくありますね!

 抹茶ラテとかの「ラテ」も少し遠回りをしますが同じ由来を持ちます。


 で、きっと今皆さんは「lact- の話はわかった。けど、なんでレタスが乳なのか」と思っているはずですね。


 実は新鮮なレタスは、手でちぎると白い乳状の液が出てくるんです。

 これは苦味のあるポリフェノールの一種なのですが、その滲み出る様子が乳に似ているので、Lactucaという名前がつけられたのですね。

 もっと言えばlettuceもlact- からつけられているという説がありますし、日本語の「チサ」も、乳草(ちちくさ)の略だという説があります。

 ちなみにこの白い液は鉄に触れると変色してしまうため、ハネムーンサラダを作る時は包丁で切るのではなく、手でちぎって作る必要があるそうです。


 もう少しだけ話しますと、この属名(苗字みたいなとこ)は、よくその植物からとれる成分の名前に使われます。

 例えばレタスやその同属の仲間は、ラクチュコピクリンという物質を作るのですが、これはレタスと同属の別の植物から見つかったので、Lactucaという属名から名づけられています。

 鎮静作用や催眠作用があるなんて言われていますが、現在食用としてよく使われるレタスにはあまり含まれていないのだとか……。

 このように「苗字と成分の名前は似てる」みたいな小技は本当によく出てくるのでかるーく覚えておいてください。



 さて、ようやっと下の名前の話に入れます。


 sativaというのは、実は結構ありふれた名前です。

 例えばみんな大好き白米で有名なイネはOryza sativaって名前ですし、大麻草という呼び名でこれまた有名なアサはCannabis sativaって名前です。

 人間で言うなら、苗字は違うけど下の名前は同じってことですね。ですのでもちろん分類的には遠いことになります。

 下の名前が同じだから実は親族とかそんなことはありませんもんね!


 このsativaというのは、「栽培されている」という意味なのです。

 イネもレタスもアサも、何らかの用途があって栽培されている(しゅ)なので、同じ名前がつけられたんですね。

 ちなみに、レタスの栽培は紀元前六世紀アケメネス朝ペルシアで始められたという説があります。すごい。



 さて、今回はこの辺で……。

 読者様の中にレタスファンの方がいたら、結球の話とかサンチュの話とか栄養価の話とか色々気になるところはあると思うのですが、その辺は追々ということでご勘弁を……。


 それでは皆さんまた次回!

 素敵な植物ライフを!

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