鳥を見ただけ
(……で...か?!………ッ…。……‥?...? …です...!…ぇ?ち...っー....!ちょ...と!...!)
くぐもった声が聞こえた。
( はぁー・・・
ちょっとそこの。 )
(ちょっと、起きてるわよね??起きなさいよ!!)
んん…。なんか声がする…。
(お"ーき"ーろ"ー)
とても呼ばれてる気がしたので、目を開ける。
「呼んでるわよ。」
色の抜け落ちた白一色の空間。
天井も壁も見当たらない。
何処までも続くと錯覚…いや、本当にそう感じさせるほどの広さだった。
そして正面には、苦虫を潰すような表情をした美しいとしか形容できないほどの女性がいた。
「今!美しいって言った??!やぁーねー女神なんだから当然よ〜」
女神…?自分を女神と自称するとは痛い女だな…。
てか、俺、今声に出したっけ?
「疑問を持つんじゃない!雰囲気で分かるでしょう!」
心の声が読めてる…?!
本当に女神なのか…?
そこそこ距離があったためか、女神とやらがこっちに近づく。
「うわっ!?」
近くに来たかと思ったら予想以上に大きかった…。
自身を軽く覆う程の大きさである。
海かよ。
近くで見ると、また髪が綺麗なもんだな。金と銀の中間のような色で色素の薄めだが、艶があり、光ってるように見える。
(じっー。。。)
ハッ。見すぎた。めっちゃ見られてる。
「ん"んー。こほんっ、こほん。さて、茶番はこのくらいにしといて、本題です。」
茶番かよ。
女神(仮)を纏う雰囲気が変わる。
さっきまでの軽い空気が嘘のように重くなる。息苦しさまで感じる…。
てか、本題…?
「いきなり変な場所に飛ばされたのは女神(仮)がやったのか?」
戒めに女神(自称)を見る。
「仮でも自称でもなくて、本物 だ・か ・ら!!!それに、私がやったわけではないわよ。あのユーカイラの影響。」
「ユーカイラ…?あの鳥か?」
「そうですー。本来ならば、交わる事のない存在を貴方が瞳に写した事で影響が出てしまったのです。これがその結果です。」
「だか、ユーカイラ自体には、非はないだろう?」
そもそも、あんなとこにいた事がありえない。それこそ、誰かが手引して俺がいたとこに来たんじゃないですか…?
「鋭いですね〜。そうですよ。これは第三者によって行われました。ま、我々としてはしょーじきどうでもいいんですよ。世界に何か起きようが所詮人間のした事ですし。」
へぇー。そゆとこはやっぱ傍観主義なんだ。女神でも神は神か。
さすがに、地球がうっかり破滅しちゃったときぐらいは力を貸してもらいたいものだが。
「これはルールなのですよ…。
問題なのは、貴方です。」
ビシッと女神が俺を見る。
「俺…?」
「先程ルールと言いましたが、それによって貴方は禁忌を犯しました。
よって、その罪を償って貰います。」
「はぁ?!」
何だよ、禁忌って???
ただ、ユーカイラとかいう鳥を見ただけじゃん?
「ちなみにこれは俗に言う異世界となります。
あ、前の器なら既になくなったので、心配無いですよー。なので現在貴方は魂だけの状態です。拒否はできません。とゆうか、ここにいれば確実に反抗できませんね!」
いい笑顔で言うなぁ。
さらっと言ったけど、俺の体は死んだって事がわかる。まじかよ。
異世界転生…ねぇ…。。