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岩手巡り

作者: チャンドラ

 大学二年である、この俺、如月剛きさらぎつよしは、岩手県に一人旅に出かけた。

 俺は、大学二年になったばかりの頃、高校時代から付き合ってきた彼女と最近別れた。そのあとは大して勉強に身が入らず、やることといえば、家に引きこもりアニメやゲームをするというぐうたらくな生活をしていた。


 そのせいあって、俺は、留年して三年に進級することができなかった。親からはこっぴどく怒られた。一年仕送りを打ち切りにするから来年からバイトしながら、大学に通えと言われた。


 ものすごく、絶望的な気分だったと思った。例えるならドラゴンボールのZ戦士が、フリーザがまだ二回変身を残しているとしったときくらいショックだった。彼女と別れたのが一番ショックだったが。


 留年が決まり、何個かバイトをしようとしたのだが、生まれながらの根性なしであるため、バイトが全く続かなかった。どれも三日くらいでやめてしまう。よくて一週間である。


 これは、コンビニでバイトをしていた時の話だが、お客さんがマルボロのメンソールって言われて、え? って聞き返したら、お客さんに怒られた。

 俺は、その時、豆腐メンタルを発揮し、そのままレジから抜け出し、お客様をその場に置き去りにしてきた。


 一緒に、シフトに入っていたJK(女子高生)は、突然の出来事に唖然としていた。生のばっくれを見たのは、初めてだったようである。罪なものを見せてしまった......


 彼女に振られる、留年する、バイトはばっくれるというクズ要素が揃っていて、自暴自棄に陥った時、こんな考えが思い浮かんだ。


「そうだ! 旅に出よう!」

 俺は、なけなしの金を使い果たし、自分探しの旅に出てやろうと考えたのだ。まぁ、金がなくなったとしても、なんとかなるだろうと前向きに、いや投げやりに考えた。


 最初は、北海道や沖縄など、観光地の王道を行くところに旅行に行こうかと考えたのだが、行き先を調べているとき、岩手県の観光情報を見て、興味を持ち、行ってみよう考えた。


 ひとまず、俺は新幹線で盛岡に向かった。岩手といえば、あの宮沢賢治の故郷である。正直なところ、宮沢賢治の小説は難解というか、哲学的な内容で、あまり俺は理解できないものが多かったが。クラムボンとは一体全体なんだったのだろうか。


 盛岡駅に到着した。俺が住んでいる東京と違い、やはり人が少ない。盛岡駅内にある『フェザン』を徘徊した。基本的に、フェザンの中は、女性向けのお店が多い。フェザンの中にある本屋を見て、お土産やさんなどを見た。

 南部鉄器も置いてあったが、一万円以上するものが多かった。とてもじゃないが、俺に手を出せるものではない。


 盛岡駅をあとにし、とりあえずは盛岡八幡宮に向かうことにした。なかなか立派な神社とサイトでは書いてあった。

 盛岡駅からだいたい20分か30分ほど徒歩でかかるのだが、交通費の節約のため、歩いて向かうことにした。


 俺は、開運橋を渡り、大通り方面へと向かった。

 大通りには、居酒屋が多かった。大通りの冷麺のお店に入り、盛岡冷麺を食べた。盛岡冷麺もりおかれいめんは、岩手県盛岡市の名物麺料理。辛味のある冷麺である。麺は、糸こんにゃくであり、他には、ゆで卵、肉、キュウリ、フルーツ(ナシ、スイカ、りんご)などが使われている。

 俺はなかなかの美味しさだと思い、満足した。


 さらに歩き続けると、岩手銀行赤レンガ館が見えてきた。非常にエレガントな建物だと思った。岩手銀行赤レンガ館は、1911年に、盛岡銀行の本店行舎として落成し、1936年に岩手殖産銀行(のちに名前を岩手銀行に変更)がこの建物を譲り受け、本店として利用しはじめた。その後、1983年に岩手銀行新社屋完成に伴い中ノ橋支店となりました。

 設計は東京駅でも知られる、辰野・葛西建築設計事務所によるもので、辰野金吾が設計した建築としては東北地方に唯一残る作品である。


2012年8月3日に銀行としての営業を終了し、約3年半に及ぶ保存修理工事を経て、2016年7月17日に一般公開されている。

 中に入ると、明治時代の銀行として威厳を感じる作りになっていた。天井を見上げると、各所に装飾が施され、華麗なシャンデリアに目を惹きつけられた。

 当時の銀行の様子が俺は頭に思い浮かばれ、なんだかワクワクしてきた。


 岩手銀行赤レンガ館を後にし、俺は盛岡八幡宮へと向かった。

 盛岡八幡宮は、岩手県盛岡市にある神社である。旧社格は県社で、現在は神社本庁の別表神社に加列されている。盛岡の総鎮守とされ、神事のチャグチャグ馬コ、例祭の山車行事(盛岡山車)、流鏑馬神事で知られる。


 盛岡八幡宮は、健康長寿、子授け・安産、商売繁盛に試験合格と叶えたい願いは何でも叶うとされ、年間を通して参拝客が大変多く、県内一の大社として人気を集めている神社である。


 俺は、賽銭箱の前へと向かい、五円玉を入れ、『幸せになれますように』と願いことをしてみた。


 留年し、彼女にも振られた俺に幸せなんて訪れるのだろうか、そう思ったのだが不思議と気分は軽やかになった。


 東京とは違い人もあまり多くなく、不思議な魅力を持つ岩手に来て俺の気分は少し良くなった。絶望感を今は感じてはいない。


 もう少し岩手旅行をしてみようと思う。

 明日は、岩泉町の日本三大鍾乳洞の一つとされ、また洞内に棲むコウモリと共に国の天然記念物に指定されている『龍泉洞』に行ってみよう。


 そういえば、あそこの市長、ニュースになってたなぁ......



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― 新着の感想 ―
[良い点] 旅行記だ、これ! [気になる点] 各名所への主人公の感情や感想がもうちょっと書いてあったら、より臨場感があったこと思います。 [一言] これは、次回に続く! のでしょうか。楽しみです。
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