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裏向きクズの悪辣物語  作者: 肝臓の支配者(ノンアルコールマスター)
3/9

クズの決意



例えば漢字を書く事が出来るのにわざわざステータスを見て確認しないと漢字を書く事が出来ていると認識出来ないなんて事がないという様に、自分の持っている力は自然と発揮できる事が当たり前でないとそれは自分の力ではないいう事だと考えられる。


僕が教会から帰ってきてだいぶ時間が経ったのだろう。今はすでに夜で部屋が暗く、俺はベッドに横になっていた。

僕はベッドに腰をかける様に座ると目を瞑ってスロットに何が与えられたのかを確認する。

今回は3つのスロットが埋まっていた。

圧縮・壁・音の3つの能力が僕に芽生えたことになる。これらの力は元から僕に備わっていた力という認識になる。

簡単に言えば、運動が嫌いな人が走ってみたら意外と足が早かったとか、初めてウエイトトレーニングをした人の潜在能力が高くてベンチプレス100kgか思いの外余裕だったとかそういう事だ。

だから僕は3つのスロットの能力の使い方は理解している。


圧縮は自分が認識したものを圧力をかけて元の体積より縮める事が出来る。

壁は任意の大きさの透明な壁を熟練度による一定の時間内に出現させる事が出来る。

音は全ての音を認識、様々な音を発する事が出来る。

という風に自分の元からあった力の様にスロットの能力を振舞う事が出来る。


試しに耳に集中してみると屋敷内の生活音が聞こえてきて、誰がどこで何してるのか手に取るようにわかる。まるでエコーマップの様な使い方だが僕の能力の一片だな。これも。


という様にスロットの儀式で得た能力については自分の力として使う事が出来る。

まぁそれ相応に疲れるらしいがな。


ベッドの上で3つの能力をいろいろ試してどんなことに使えるかを検証していると日が昇っていつの間にか朝になっていた。

そして僕は今日を機にマンダリンとして一皮剥き、前世と同じ様な生き方をすることを決めた。

こんなファンタジーな能力を得る事が出来たんだ、使わないと損だろう。

でもそのためにはまず情報を集めて知識を蓄えないとな。やらかしてからじゃ遅いし。


そう決意をして俺は瞼をこすりながらベッドに入って寝息を立てる。



その日は昼頃に目覚めた。

というか決意をして寝た日の昼だ。

朝飯も食わずに寝た事で腹は異常に減っていた。

ダイニングに行くとこの屋敷の執事のダンソンが出迎えてくれた。


「ダンソンお腹減った〜」

「かしこまりました、すぐご用意させていただきます。お召し変えを侍女にやらせますのでそちらで座ってお待ちください」


ダンソンは一礼して部屋を出て行くと入れ替わる様に侍女のエリナが入ってきてパジャマから普段着へと着替えさせてくれた。

もともとマンダリンの記憶があるから恥ずかしいとかは思わなかった。


着替えが終わり一息付いてるとダンソンがメイドとともに入ってきて、テキパキと食事の準備を始めた。


「みんな悪いね。スロット確認してたら朝になっちゃって昼まで寝てたんだ。」


ダンソン達は僕の言葉を、否謝罪を聞いて一瞬時が止まった様に動きが止まったけどすぐに取り直して動き出した。


「左様ですかマンダリン様。スロットはいくつあったのですか?」


ダンソンが恐る恐るといった体で聞いてきた。

マンダリンの記憶ではこういった場合聞いても聞かなくても怒鳴り散らすクズ野郎だった様だけど僕は普通に答えた。


「3つだよ!すごいでしょ〜」


えへへっ、と笑いながら答えるとダンソンが一瞬だけギョッとした顔をしたがすぐに取りなして柔和な笑みを浮かべ「それはそれは大変嬉しい事ですね」と喜んでくれた。

そこで俺は改めて実感した。

この屋敷の人達チョロいと。

過去のマンダリンの行いからしたら今の僕のマンダリンとしての演技はすごく効果的だったみたいで、成長なされたとでも思ってそうだ。


ダンソン達が用意してくれた朝兼昼食を取ると屋敷の庭にダンソンと共にでた。


なぜかと言うとダンソンの力量を見たくなったからだ。

大体の人はスロットを持ってるはずで僕の能力がどんな程度使えるものなのか知りたかったからダンソンに頼み込んで見せてもらおうと考えた。


「ダンソンは何回スロットやった?」

「次でラストですね。現在埋まってるのは5枠です。」


ふーん。

てことは初回で3つのスロットが埋まるのは多いのか?


「ダンソンの能力見せてー!」

「僭越ながら何個かご覧ください。

まずは【サバイバル】」


ダンソンの掌からコップ一杯分の水が湧いてきた。それを地面に落とすと次に種火程度の火が揺らめいた。手を左右に揺らすと火が消えてそよ風程度の風が僕の体に当たって少し爽やかな気分になった。


「今のが【サバイバル】です。野営する上で役立つ能力なのですがこれは結構地味な能力に分類されますが便利なものです。次に【バチェキテル】です。」


ダンソンは自分の頭に手をやり、その手を少し上下させるとダンソンの髪の毛が跳ねたりし始めた。次いでダンソンが握手を求めてきてそれを返すとバチっと静電気が発生して少しだけ痛みが走った。


「この様にこの能力は嫌がらせ程度の力しかありません。マンダリン様に至っては今の行い申し訳ありませんでした。」


俺がマンダリンになる前だったらキレてただろうなとは思ったけど、俺は許した。俺が見せてくれと頼み込んだからな。

しかしこの能力いいなぁ。僕が持ってたら有効活用するのに。


「次が最後でよろしいでしょうか?」

「うん、ありがと!じゃあ頼むよ」

「かしこまりました。では最後に【カタパン】です。これは使い道が少し難しいのですが、グーパンチが肩に当たると一定確率で状態異常を引き起こし、対人で当たると肩が急所になる能力です。」


やってみますか?と聞かれたから俺は軽めにお願いした。


……やらなければ良かったと後悔したがその時はすでに遅くて金的を思いっきり蹴り上げられた様な痛みで悶絶した。


「だ、大丈夫ですか!マンダリン様。」

「あ、あぁ。なんとか。でもダンソン。次からはもっと緊張感を持った上でその情報を教えてあげるといいよ」

「も、申し訳ありませんでした」


ダンソンもいくら嫌いなマンダリン相手だとしても流石にやりすぎだっただろう。前のマンダリンだったら打ち首もんだぞ。


「ま、まぁありがとう。またいろいろ見せてくれるとありがたいよ。今日はちょっともう無理だわ」


そういって庭にダンソンを置いて股間を抑えながら自室へと引き上げるのだった。









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