9話
九話
放課後、用事もない晴香はさっさと帰りたかったが真澄から『放課後待っててね』と書かれたメモを渡されてから帰りたくても帰れなくなっていたのであった。
『はーるーかーちゃんっ♪ごめんね、待たせちゃって。』
晴香の背後からそんな声が聞こえたと思って振り返ろうとした時スカートの上から“ポンッ”とお尻を叩かれる。
晴香は真澄の声で少し安堵しつつも、恥ずかしくて頬を真っ赤に染めていた。
『うふふ。やっぱり履いてるのね』
と二人以外には(既に教室には誰もいないが)意味深な言葉を晴香に言うなりバッグを持つ。その言葉にさらに恥ずかしさを隠せない晴香はさらに赤くそめている。
『さ、帰りましょ?待たせちゃったお詫びに帰り道の喫茶店で美味しいものおごるわ。』
と言うなり歩き始める。
真澄においてかれそうになって、慌ててそのあとを追いかけようとする晴香。その姿はさながら公園の帰り道、姉のあとを必死についていく妹の様であった。
喫茶店に着くなり、メニューをみる真澄。
『わたしが美味しいの選んであげるね!』
そう言うなり店員を呼んでメニューを注文する。
店員がその場を離れた途端、
『ね、晴香ちゃん。それで…聞きにくいけどなんで…その履いてるの?』
と店の中なので“おむつ”という言葉を出さない様に配慮して、遠慮がちに聞く。
その様子見を見て、イタズラやからかいで聞いているのではないと察した晴香は、本音を話すかどうかで少し悩む。
『うーんとね…。』
と言葉に詰まる。
『なるほどね。さしづめ、失敗が続いたのかしら?私ね、妹がいるんだけど最近弟もできたの。でね、その妹がママが取られると思ったのかしらね?赤ちゃんがえりしてしまったことがあるのよ。もう、治ったんだけどね。で、今の晴香ちゃんと同じ様なかっこしてるわけ。それで、晴香はちゃんがあまりにも妹に似てたから…。そうなのかなって思ったんだけど、違うかな…?』
晴香自身にも原因はわからないため、その話をきくと、いきなり一人になった晴香に水戸という優しいママができたことによる一種の赤ちゃんがえり(実際におねしょはそれが原因であった)だと、晴香は思い込んでしまった。
『うん…。いいくいけど、多分そう言うことなんだと…思う…。』
“なぜ、おむつを履いているのか?”
という質問がいつの間にか
“なぜ、おもらしをするのか?”
という質問に変わっていたのは、今の晴香には気づけないことであった。
『私ね、こんなこというとはるかちゃんは怒るかもしれないけど…。そのなんていうか、そう言うの可愛いなっておもえるの。私昔から小さい子とかの面倒見るの好きで…って、あ、晴香ちゃんが小さい子ってわけじゃなくて…えーと。だから、その…』
『ありがとう。私ね、真澄ちゃんにばれた時、クラスのみんなに言われたらどうしようって、ちょっと悩んでたけど、真澄ちゃんはそんなことしないってわかったし、(私のこと可愛いとも言ってくれたし)ちょっと、安心した。』
と、言うと、ニコッと今日一番の笑顔を見せる。
人に知られた…という絶望感から解放されたためであるが、晴香はとても気分が楽になっていた。
『ところで、晴香ちゃん。大丈夫なの?お、と、い、れの方は。』とちょっと意地悪をする真澄。
『もぉ〜。大丈…ぶじゃないかも…。私、ちょっとトイレ行ってくる。』
とは、言ったものの実はことお店にはトイレがなかった。
そして、一通り店内を見回して真澄の下まで戻ってくると、すでに限界を超えて晴香の膀胱は決壊した後であった。もちろん、その全てを受け止めてくれるオムツに吸収されてより、一層不自然な膨らみをスカートが見せていた。
そして、その不自然な膨らみの変化に真澄はいち早く気づいていた。
『晴香ちゃん、どお?間に合った?』
と、真澄も店内にトイレがなかったことは知らない。
それを晴香は察した。
『も、もちろんよ。私だって…ちっちゃい子じゃないんだからね。』
と余計小さい子みたいな言い回しで言い返す晴香。
そんなやりとりを、続けていくうちに2時間が経ち、おひらきにして今日は解散したのだった。その2時間の間に2度ほど晴香はオムツの世話になっていたのは言うまでもない。そして、途中で当てたショーツもすでに本来の使用法ではない方法でその機能を失っていた。
そんな、晴香はやっとの事で家に着くのであった。その時はすでにオムツには吸収できる部分はなく、ギリギリの状態であった。
そして、この日約束したある事が今後、真澄を変えていく事はまだ誰も知らない。
今夜も晴香はオムツを使うだろう。