7話
七話
チャイムの音がなり数学が終わると、早速次の授業の準備に取り掛かる生徒の姿がある。もちろん、晴香や、真澄も例外ではない。もともと、誰かと特別仲良くしていたわけでもない晴香は教室移動の時、なんとなく女子たちと移動していたため、一人で行こうと晴香は考えていた。ところが…
『晴香ちゃん。一人?私も一人だからもしよかったら一緒に行こ?ほら、私たち同じ班だし…』
と、真澄が話しかけてくる。変に、断わる訳にもいかず、なんとなく一緒に行くことになってしまった。もちろん、真澄はこの時"一緒に行くこと”が目的であったわけではない。数学の時間にみた、あるものの正体を突き止めるためである。
(どうやって、確認しようかしら…。遠くから見てたのでは、まだ確定してないわ。ちゃんも、近くでみて本物だと証明したいわ…)
と、真澄は心の中で考えていた時、晴香は
(あぁ。どうやって、トイレ行こうかしら…。でも、トイレに行ってもしかないし…)
と、相変わらずであった。そうこうしているうちに、すぐに化学室についてしまった。
席は後ろの方だったため、他の生徒に見られる心配はなさそうだった。
授業が始まって先生の声が聞こえてくる。他の生徒は集中して、実験のやり方などを聞いているが、真澄と晴香は全く違うことをそれぞれ考えている。
『えー。というわけで各班ごとに実験を始めてください。』
と、言われ2人は何も聞いていなかった実験を始める。
『えっと…じゃ、じゃあ私このフラスコに水道水汲んでくるね。』と晴香は言い残してくるりと回れ右をすると、水道水を汲みに行った。しかし、その時スカートがふわっと上がって後ろにいた真澄だけはちらりと中が見えたのであった。もちろん、そこにあったのは真澄の想像通りのものであって高校生が身に付けるものではなかった。
そして、実験もなんとか終わり教室に帰るとなんだか、元気のない晴香が席に座っていた。しかも元気がないだけでなく、何処と無く座りにくそうにしている。真澄は色々な考えを巡らすが一つしか浮かばなかった。
時計を見ると後1分で次の授業が始まってしまう。そのため、晴香は行きたいところにも行けずにあと1時間我慢することを、余儀なくされたのであった。
この時の我慢は一時間前の我慢と意味が違っていたことは、そのうちわかることだろう。