01-17(旧) 乾坤一擲
17/01/16 オーギュストの名前がガーランドに改名されていたのを修正 ひどいミスだ……
18/01/08 サブタイトルの変更(旧の追加)
***** 二日目(1) *****
突如鳴り響いた爆音と共に、防壁の上部とそこにいた部隊員は粉砕された。粉砕され飛び散った石片以外にはぱらぱらと防壁の残骸が辺りに降り注ぎ、同時に人間だったものが無事な者へ飛び散り、残骸と一緒に降り注いで周辺を赤く染める。
防衛戦が始まって初めて降りかかった死に、ある者は叫び声を上げながら逃げ出し、またある者は呆然とその場にへたり込んだ。
北部隊隊長を任されたオーギュストは確信する。これは単純な魔物との防衛戦ではなく、戦争であると。冒険者組合の依頼のようなシステム化された安全なものと違い、戦争は理不尽の塊のようなものである。それを経験したことのない経験の浅い冒険者がこのような状態になるのは無理もない。
「落ちつけ、おそらく魔力大砲による砲撃だ! 魔術師は物理障壁を張れ! 負傷者は治療班のところへ連れていけ!」
恐慌に陥る部隊に対して、オーギュストは大声でできるだけ具体的に指示を出す。既にトロルの軍勢は魔力大砲の砲撃開始に合わせてアルレヴァへ侵攻を開始している。
魔力大砲。古代遺跡から発掘されたアーティファクトであり、発見される数が多く、魔力結晶のみで動作する手軽さで実際の戦争にもよく投入されている兵器である。魔力結晶の魔力貯蔵量に比例した威力を発揮する性質を持ち、過去の数多の戦争で使用され、防壁を粉砕し、兵士諸共を肉片に変えてきた。ある意味では呪いの品よりも数多の命を奪っているアーティファクトと言えるだろう。
魔力大砲を運用する上での最大の利点は、その動作原理にある。供給された魔力で弾となる岩を生成し、それを打ち出すというものだ。つまり、投石器や従来の火薬による大砲のように巨大な弾を運ぶ必要がなく、サイズにもよるが持ち運びは容易。兵站にも恩恵のある兵器である。
ちなみに魔力大砲という名称から間違えられやすいが、その動作原理故に対策としては物理障壁が有効である。
オーギュストは二発目の砲撃の衝撃を受け、ツィンネ(※1)に掴まり耐える。衝撃の強さから被弾した場所は近いと想定していると、門の横の防壁を抜かれた事が知らされた。オーギュストはその知らせを聞くと、すぐに声を張り上げて命令を下した。
「抜かれた防壁にはクレイ隊を当て、エルロ隊は打ち合わせ通りにバリケードを築け! 絶対にトロル共の侵入を阻止しろ! それとSランク冒険者のファルクス、Aランク冒険者のカイ、フォルツ、ユッカを呼べ! 強襲をかけて魔力大砲を破壊する! 急げ!」
このままでは防壁のいたるところに穴を開けられ、内部にトロルが波の様に侵入してくるだろう。被害を広げないために、オーギュストは少数精鋭で魔力大砲の破壊を狙っていた。
すぐに集められた四名を前に、オーギュストは命令を下す。
「諸君らをただ今を持って強襲隊と任命する。この隊の指揮はファルクスがとれ。先ほどから鳴り響いてる魔力大砲による砲撃は知っているな? 諸君らにはそれを強襲し、破壊してもらいたい。破壊後は速やかに帰還しろ。
諸君らはこの街の最高戦力だ。この程度のことは容易いはずだ」
ファルクスは双剣使いの剣士、カイは刀剣使いの剣士、フォルツは大剣使いの戦士、そしてユッカは魔術師だ。ある程度の距離まで切り込み、ユッカの魔術で魔力大砲を破壊するのは造作もないだろうとの判断であった。
ファルクスは強襲隊の面々を見回すと、「了解いたしました」とオーギュストへ敬礼を行った。
「強襲のタイミングは任せるが、分かってるな?」
暗に魔力大砲による被害が大きくなる前に片をつけろというオーギュストに対し、ファルクスは返事と共に再び敬礼を行う。
配置に就くべく強襲隊がこの場を後にすると、オーギュストは軽く息を吐いた。
オーギュスト殿、何か心配事でも?」
北部隊副隊長のターラル・ガルバート騎士爵がその様子を見て尋ねる。
「魔力大砲があの一門だけしかないのが気になってな。罠か、それとも注意をそらすための陽動かと考えていたところだ」
「それを知りつつも彼らを送り出すのだろう? それに依然悪魔の発見報告は上がっていない。裏で動いているのなら今の俺たちには手出しはできない」
険しい顔をしながらも落ち着いた声で話すターラルに対し、苦虫を噛み潰したような顔をするオーギュスト。
「ああ、だからこそ分かる範囲で一つ一つ潰していくしかない。それがまるで手の上で踊らされているようで気に入らなくてな。悪魔とやらは性格も捻じ曲がってるようだ」
「違いないな。……オーギュスト殿、そろそろ交戦区域に入るぞ」
そんなこんなしているうちに、トロルの軍勢はこちらの弓や投石が届く距離まで迫っていた。オーギュストは考えを振り切るかのように目を数秒瞑ると、目の前のことに集中するべく、防壁上に陣取っている隊へ声を張り上げた。
「弓を構えろ! 放つのは合図を待てよ! 投石隊も準備!」
本来防壁上の隊の担当はターラルなのだが、攻撃開始の合図は部隊長である俺がやるべきだとオーギュストが強く主張したため、一時的にだが強引に一部の隊の指揮権を奪われていた。こういう所は元冒険者らしいなとターラルは苦笑いを浮かべながらも、オーギュストの声に呼応するように残りの隊へと命令を発する。
「魔術師隊は作戦A通りにいくぞ! 魔力は半分保持しておくのを忘れるな!」
「……投石開始! …弓士隊も矢を放て! 頭の働かないボンクラ共に、我々の方が蹂躙する側だと思い知らせてやれ!」
このオーギュストの合図によって、北部隊とトロルの軍勢の本格的な交戦が始まった。
トロルの軍勢が防壁付近に到達するまでの時間は三十分程だった。防壁上の部隊がトロル側の弓兵の射程に入り、弓矢が飛び交う。投石がトロルを押し潰し、砲撃が障壁に防がれ、時には防壁を粉砕し、放たれた様々な魔術がトロルを燃やし、斬り裂き、貫き、押し潰した。
たった三十分での攻防の結果、北部隊の損害は軽微であるのに対し、トロルの軍勢は大量の死骸が地面へ転がることとなった。そしてそれらを気にすることもなく、同族の死骸を踏みつけて尚も進軍してくるトロルの大軍に誰もが悍ましさを感じていた。
その光景をじっと見ていたオーギュストはニヤリと口元を歪めると、少し重くなった空気を吹き飛ばすように楽しげな様子で声を上げた。
「さて、折角の開戦だ、派手にやろうじゃないか。ターラル殿! 陣を起動させろ!」
その合図で外壁付近――ちょうどトロルが居る足元が次々と赤く発光していく。幾何学模様のようにも見えるそれは弧の形に並んでおり、だんだんと光量を増してトロルの肌を不気味な色に照らしていく。そしてこれでもかというほど輝きを増した後、それを起点として爆発が巻き起こった。弧の形に巻き起こる爆炎は周囲のトロルを巻き込み、辺り一帯を赤く染めた。
事前にアルレヴァ周辺へは 爆発 の魔術陣が仕掛けてあった。 爆発 は炎と風属性の中級混合魔術であり、その中でもトップクラスの破壊力がある。
その威力は巻き込まれたトロルを軽く爆散させ、トロルの黒色の血や肉片、身体のパーツ、身に着けていた装備やその破片が敵味方問わず降りかかった。
そして土煙と血煙が交じり合うように舞い上がる中、後続のトロル達が先ほどの出来事を歯牙にもかけずに進軍していた。
「これが使い切りじゃなかったら楽な戦争になるんだがな」
トロルの軍勢はまだ一割すら消耗していないだろう。だが、このまま侵入口が広がらないならば、トロルの街内への侵入を防ぐことが可能だとオーギュストは踏んでいた。
後続のトロルが魔術陣があった地帯を超え、防壁まであと少しのところまで近づいてきた時、防壁の穴から外に飛び出てトロルを文字通り殲滅しながら直進する一団が現れた。その勢いに思ったよりも早く魔力大砲は片付きそうだとオーギュストは口元を緩めた。
暴風のように切り込む一団をも意に介さず、防壁の穴を目がけて進軍してくるトロルを確認すると、防壁内部へと振り返り、オーギュストは命令を出した。
「クレイ隊は戦闘準備! 防衛線から一匹も街に入れるなよ! エルロ隊は引き続きバリケードを造れ!」
防壁内では防壁の穴を半円状に囲うように冒険者が配置され、さらにその後ろでは工作隊がバリケードが続々と構築していた。
それは条件付きながらも、多対少の状況を作り出し続ける強靭な防衛線であった。
―――――
爆発音が重なった轟音が響いたことを合図に、強襲隊の四人は防壁に開けられた穴からアルレヴァの外へ出た。
あれほどの魔術を受けながらも尚も進行してくるトロルの軍勢へと先陣を切って突っ込むのはファルクスだった。右手に持つ黒い刀身の曲刀と対になっているような左手に持つ白い刀身の曲刀で、瞬く間にトロルを絶命させ、その巨体が倒れるのを待つこともなく巨体の隙間から奥へと詰め、蹂躙を繰り返していく。
そんなSランク冒険者の規格外な動きに驚きつつも、カイ、ユッカ、フォルツのAランクの面々はファルクスに続くように周囲のトロルを斃しながら進んでいく。
そんな蹂躙劇を十分程続けた辺りだろうか。強襲隊の面々は、アルレヴァを中心にそれが展開されていくのを目の当たりにした。
――結界。この街を中心とし、南北に待機していたトロルの大群を包み込むような巨大な結界が唐突に構築された。その目視できる結界は灰色に濁ったような色をしており、全面に渡っていくつもの模様のようなものが不規則に動いていた。
結界とは、指定した空間を覆う膜のようなものを作りだし、その内部、もしくは膜そのものに何らかの効果を持たせる魔術、魔法の総称である。そのバリエーションは数多に渡り、有名どころを挙げると結界内の出入りを禁止するもの、物理防壁のような防御効果があるもの等がある。
突然の事態に少し動揺した強襲隊の面々であったが、その後も変わらないペースでトロルを屠り、魔力大砲への道を拓いていく。
その中でただ一人、ユッカは結界をその左の赤い瞳と右の青い瞳で忌々しそうに見つめていた。
「……アストラル領域まで及ぶ結界。閉じ込めて、私たちの魂を喰らい尽くすつもり?」
珍しくユッカは眉を寄せ、顔に感情が乗っている。その感情をぶつけるかのように、トロルの眼孔へ向けて 氷弾 を放った。
「珍しく表情が顔に出てるな。ユッカ、どうした?」
強襲隊の中で唯一その様子に気づいたフォルツが声をかける。フォルツはぼさぼさした黒髪にダークブラウンの目をした大柄な男である。その巨躯に見合うような大剣を得物にしており、その見た目の豪快さと体中に刻まれた傷跡が組み合わさることで歴戦の猛者の雰囲気を感じさせられる。ちなみにユッカとフォルツは何度か臨時パーティを組んだことがあり、ある程度気心の知れた仲である。
「今、悪魔が構築した結界が気に入らない。中の魂を逃さないように喰らい尽くすみたい」
「そんな事まで分かるのか。相変わず便利な眼だな。……にしてもだっ! そんなことさせる訳にはいかないよなぁっ!」
フォルツは青く輝く剣身の大剣を振るい、間を詰めてくるトロルを斬り潰しながら会話を続ける。
「本当に不愉快。アヤさんの魔法もそうだし、これ以上何かを仕掛けられる前に仕留めたい」
「そのためにはまずクソアーティファクトをっ!ぶっ壊すのが先だけどな!」
ファルクスとカイの突破力、フォルツの広範囲に渡る一撃、さらにユッカの魔術の援護によってトロルは近づくことすらできない。一行は容赦なくトロルに死を振り撒きながら魔力大砲へと着実に距離を縮めていく。
そのまま勢いを落とすことなく突き進み、軍勢の後方のトロルを斬り捨てると、そこでトロルの軍勢は途切れていた。どうやら魔物側の前方に配置されていたトロルの一団を抜けたようだ。
そして一行が目にしたのは、鈍い色をもつ板金鎧を身に着けた一団。魔力大砲が配置されている場所へはまだ距離があるようだ。
「事前情報通りハイトロルだと思うが、油断するんじゃないぞ!」
ほんの数秒だけ立ち止まったファルクスが一言だけ告げると、先ほどと同様に軍勢へと突撃する。そのすぐ後に続いていくカイ。
この厄介なハイトロル相手でもやることは先程と変わらないのかと内心苦笑いを浮かべながら、先行する二人に続くユッカとフォルツ。スパスパと鋼鉄の鎧を斬り裂いていく二人に対し、大剣で叩き潰していくフォルツ。ユッカは土属性の打撃を与える魔術に切り替え、効率良くハイトロルを板金鎧ごと潰していった。
「鎧ごと潰すなんてよくそんなエグい事ができるな」
「フォルツこそ、鎧ごと潰してるくせに」
相手が板金鎧装備に変わり、中身もハイトロルと強さも上がったおかげで進行速度は落ちたものの、四人は確実にハイトロルを屠りながら進んでいく。
そして、板金鎧装備のハイトロルの一団の中に、それは居た。
鋼鉄製の鎧の中に一体だけ紛れ込んでいる、禍々しい黒色の鎧。両腕には鎧と同じデザインの黒い剣身の大剣がまるで重さを感じさせないように握られている。それから感じられる強烈な悪魔の残滓は生物の根源を恐怖で塗りつぶし、それに呼応するかのように鎧中に瘴気が纏わりついている。
重厚な鎧と剣士さながらの動きを見せて力を振るい、魔術まで行使するアンデッド。浄化の法術がなければ、ひたすら動けなくなるまで硬い鎧を破壊しなければいけない厄介な存在。Aランク相当の魔物。
「リビングアーマーが出た! 私が相手をする! 進行は停止して周囲の守りを頼む!」
声を上げた直後に魔力の動きを感じ取ったファルクスは、すぐにリビングアーマーへと間合いを詰めた。直後、ファルクスが居たところには影が棘のように空を貫いた。間一髪といったところだろうか。
リビングアーマーから振り下ろされた右の大剣を右手の曲刀で受け流し、左の大剣の薙ぎを受ける。凄まじい重さを持つはずのその一撃は、ファルクスの左手の曲刀だけで止まった。不思議なことに、受けたときの衝撃はまるでそれ自体が存在しえなかったように発生しなかった。
「悪いな、武器の性能差だ」
ファルクスは曲刀へと魔力を通し、輝く刀身をリビングアーマーの右手へと振り切った。刀身は板金鎧を斬り裂いた時のように右手甲を斬り裂き、逆の手でさらに右上腕部が斬り落とされる。
それに反撃するかのような右からの薙ぎを受け流すと、同様に左手も斬り落としていく。
そして右足を斬り落とし、リビングアーマーがバランスを崩したタイミングでファルクスは斬り落とした大剣を握ったままの左右の手甲を四分割する。
リビングアーマーの厄介な点は、たとえ鎧を切り離したとしても本体の意思に沿って動き続けることだ。手っ取り早い対応策は、先ほどファルクスが見せたような、たとえ動いたとしても何もできないほどバラバラに破壊すること。
これらを戦闘の中で流れるように行ったファルクスは伊達にSランク冒険者ではないということだ。
ファルクスは残った部位もバラバラに処理すると、リビングアーマーを片づけたので前進を再開する、と声を上げた。
トロルの軍勢同様に途切れることのないハイトロルの包囲をなんとか処理していた三人は、近くのハイトロルを片づけるとファルクスの後に続いた。
そのまま順調にハイトロルを切り捨て、叩き潰して進む一行は、ついに魔力大砲へとたどり着いた。
「こんなリビングアーマーの大群とか初めて見るぜ」
「大量のリビングアーマーを使役する程の悪魔、か」
フォルツとカイが目の前の光景を眺めながら言葉を漏らす。
魔力大砲の前には、リビングアーマーの群れがそれを守るかのように犇めいていた。数は百程度とトロルと比較すると大したことはないが、一体一体が厄介なだけにここを突破するのは困難である。
そう、突破するのだったなら。
「ユッカ嬢の魔術が届く距離で良かったな。アレを相手するのは骨が折れるどころか死を賭さないといけないところだった。……ユッカ嬢、大きいのを一発頼む」
ユッカは頷くと、魔術の詠唱を始めた。シェイムの森の時とは違い、魔力にはまだまだ余裕がある。せっかくだから、と込める力を大きくする。
「風よ風よ、氷よ氷よ、我、ユッカ・スノウラインが我が血を以って命ずる」
その詠唱句を聞いてぎょっとした表情を浮かべるファルクス。ユッカが六種混合魔術を行使する詠唱を行っていたからだ。六種混合魔術となるとたとえアレンジであっても上級混合魔術――つまり、ほぼ戦略級魔術に匹敵するということになる。
戦争時やSSSランクの魔物討伐において、儀式魔術と組み合わせて複数人の魔術師が協力してようやく発動させられる戦略級魔術。そんな魔術を一人で放てるユッカは、まさに規格外の実力を持っているということ立証していた。
「風は風に、氷は氷に。ああ暴虐的たる御身は全てを吹き飛ばす力となり、凍てつかせる御身は荒れ狂うように踊れ、踊れ。」
きらきらと光り輝く竜巻が発生する。大きさはシェイムの森で行使した時よりも大きく、内部では白色の雪ときらきらと光を反射する氷礫がより濃い密度で踊っている。『氷雪』の二つ名は別の魔術を行使した時につけられたものだが、その言葉を彷彿とさせる光景にファルクス、カイ、フォルツは目を奪われている。
術者であるユッカだけは竜巻とその先の魔力大砲をじっと見据えていた。
竜巻は魔力大砲の方向へと巨大化しながら進み、周囲の温度をも奪うように周りには冷風が吹き荒れていた。やがて冷風にも白い雪が混じり、吹雪となって竜巻に飲み込まれなかったリビングアーマーへも襲い掛かる。吹雪は春の大地を瞬く間に白く染め、氷漬けになったリビングアーマーが氷像のように立ち並ぶ光景が広がった。
「魔力大砲の巻き込みと分解を確認」
冷静に状況を見ていたユッカはその結果を確認した。超強化された氷乱舞は妨害されることもなく、予定通り魔力大砲を破壊することに成功していた。
そして珍しく血の色で染められなかった光景にユッカはどことなく満足気な雰囲気を出しながらも、「こんなに綺麗なのに…」と独り言を漏らしている。
「よし、目標は達成した! このまま反転、アルレヴァへと帰還する!」
ファルクスの言葉に、隊列を入れ替える強襲隊の一行。何事もなく魔力大砲の破壊に成功したことにほっとしながらも、それをあっさりと達成できてしまったことによる違和感がしこりのように残っていた。
それに加え、まだ帰り道が残っている途上であることに内心ため息をつきながらも、一行は突入した時と変わらない勢いでアルレヴァへと道を斬り開いていくのだった。
(※1)ツィンネ 城壁の上の外側についている凸凹。
あとすごくどうでもいい話ですが、補足説明が巻末に纏められている本よりもページごとに纏められている本の方が好きです。読んでる途中で頻繁にページを行き来すると本にのめり込みにくいのです。
次話は16/08/28 18:00予定です。