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歴史の中へ 2
「お久しぶり、でいいんですかね、ナギト様。怪我の方は大丈夫ですか?」
「まだちょっと痛むかな。……君がここにやってきた所為で、気にしてる場合じゃなくなったみたいだけど」
「なるほど、それはご迷惑を」
話している間に、メルキュリクの周りへ人々が集まる。イピネゲイアから聞いた話は、疑いもない事実のようだ。
対抗するようにナギトの周囲へも人が集まってくる。髪は全員白と黒。
テストミアで渦巻いている対立図が、神像の前で再現された。
「ナギト様、君は彼らの代表ということで?」
「え? いや、そういうのは――」
「兄様は私たちの代表だ」
「……」
妹よ、もう少し兄の心情を考えてくれ。面倒じゃないか。
しかし正面、友人は成程、と頷いている。二人が共犯者であることを疑いたくなるぐらいのゴリ押しぶり。せめて、反対の声が一つでもあれば良かったんだが。
逃げ道がないことを確認して、ナギトは深く息を零す。




