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第十四話 過去と人、付き合い方 1
工房を出た二人は、町の中心にある市長邸を目指して歩いている。
問題は何一つ前進しなかったわけだが、それだけでも伝えなければ始まらない。もしかしたらメルキュリクに会えるかもしれないし。
もっとも、足取りは重いままだ。
ナギトではなく、リオの方。さっきの話し合いに満足いかなかったようで、工房を出てからずっと俯いている。
もとい、考え事をしている。
「危ないよ、リオ」
「……? あ、ああ。済まない兄様」
家の塀とぶつかりそうになって、彼女はようやく前を向いた。
しかし、それも少しの間だけ。また喉を唸らせて、内容の分からない思案を繰り返している。
なるべく観察するつもりだったが、そろそろ注意した方が良さそうだ。
「リオ、考えるなら後にしなよ。あるいはきちんと前向くか」
「う……そ、そうだな。そうしようか」
――でもやっぱり、彼女は元に戻っていた。
こうなったら相手を務めてやるしかあるまい。意識を外に向ければ、少しは周りの状態も気にしてくれるはずだ。
「和解できそうにないのが、残念?」




