血と人と 8
「手を取り合うのは、夢のまた夢、か」
「いいや、共通する敵がいりゃあ、ワシは出来ると思う。が、今はそういう状況じゃない。お互いの間で、くすぶってた不安が噴き出しておる」
「解消しなければならないのか? それは」
「恐らくのう。それに嬢ちゃん、知っておるか? テストミアの議会は、主要議員の全員が二耀族じゃ。市民も議論には参加できるが、最終的な決定権は持っておらん。自分たちの意見が覆されることだって、容易に起こる」
「し、しかし、議員側だって魔術の使えない市民を無下に扱うわけではあるまい?」
「そりゃそうじゃ」
だがな、と工房長は肩を落としながら続ける。
「市民は二耀族を、自分たちとは違う生き物だと思っておる。とどのつまり、信頼がないんじゃよ」
「信頼……」
「オマケに今、戦は魔術兵器が中心だ。アレはマナを持ってるやつでなけれ扱えん。……お嬢ちゃん、この意味、分かるじゃろう?」
「市民は、自分の身を自分で守ることが出来ない?」
その通り。
彼らの根本にある不安は、武力の面で二耀族に劣っていることだ。四年前に発生した神殿の破壊もある。
次に自分たちの命、伝統や文化が脅かされた時、対抗できない可能性に怯えているのだ。




