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血と人と 6
「なんじゃ?」
「結晶生物って変身したりするんですか?」
口にしながら思い浮かべるのは、やはり例のドラゴン。
工房長は首を縦に振ったあと、
「確定ではないが、噂にはなっておる。職人の間でも意見が分かれとるんじゃがな」
「そうですか……」
未知、の二文字で片付けるしかないのがスッキリしない。
さすがに敵のことだ。今後も対決する可能性がある以上、出来るだけ真相に近い部分を知りたかった。
まあ、それは次回に回すとしよう。肝心の話題から逸れ過ぎるのはよくない。
「で、工房長さん、市民側との対話についてなんですけど……」
「ああ、話にゃ聞いとる。市長の息子が代表だとのう」
「はい」
親子喧嘩でもしたのかと思うが、そんなのは下種の勘繰りだ。
「僕、市長さんから、代わりに話してくるよう頼まれまして。出来れば工房長さんもご一緒して頂きたいんですが」
「ふーむ。確かにワシんとこの工房は、職人の代表もやっとるからな。まあ出るのが道理じゃろう」
「なら――」
「スマンが、断る」
顔に皺を作って、苦虫を噛み殺すように。
工房長は、申し訳なさそうに頭を下げた。




