血と人と 5
「……」
驚きながら、リオは小さな怪物から目を逸らせなかった。
結晶生物というのは、マナが集まったことで誕生した生き物を差す。幻獣、魔獣と呼ばれることも多く、一般的には畏怖の対象として認識されている。
ここの魔術工房みたく、遊び心で利用するのは珍しい。
「お安くしとくぜ? 趣味で作ってるようなもんだしな」
「しゅ、趣味?」
「まあ厳密には実験なんだけどな。結晶生物はドラゴンを始め、よく分かってないところが多いだろ? だから調べるついでに、こういうのも作ったってわけさ」
「なるほど……」
「ま、実在する生物を模倣することしか出来んがな。結晶生物はそういう仕組みじゃし」
半透明の猫は机をしばらく歩いた後、マナ石の中に戻っていった。名残惜しむリオの横顔が可愛らしい。
ポケットから財布を出そうかと迷う彼女だったが、コホンと咳払いをして姿勢を直した。
「兄様、本題に戻ろう。闘技大会にも関わりのあることなんだから」
「……今度買ってあげようか?」
「べ、別にいいっ」
買って欲しいらしい。
まあ彼女の指摘を無視できないのは確かだ。有限な時間は、きちんと有効活用していこう。
だがその前に。
「工房長さん、一つ聞きたいんですが……」




