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血と人と 2
先頭に立つのは、齢七十になったばかりの工房長。
まくった袖から露出した筋肉は、全盛期の名残が今も。辺りにいる職人たちも屈強な身体つきで、どれだけの力仕事かを体現していた。
「このままじゃ、テストミアでの商売も不可能になるかもしれねえ。ったく市民ども、誰のおかげで楽な生活が出来てるか、ちったあ考えてほしいもんじゃ」
「うむ、まったくだなご老人。加えて私たちは、神殿を破壊した者でもないのに」
「おお、分かってくれるのか嬢ちゃん。いやあ嬉しいのう」
意気投合する工房長と妹。本物の祖父と孫みたいに、二人は話を加熱させていく。
ナギトは傍観者として眺めるばかりだ。同胞――工房側の味方をするつもりとはいえ、必要以上に親密な関係を築くつもりはない。
だって、喰われてしまう。
彼らは多数だ。その数に真っ向から立ち向かえるほど、ナギトは根性の座った人間ではない。
口よりも先に、手が出てしまうことも多いんだから。




