第十三話 血と人と 1
一息ついた頃には、時刻はとっくに昼の後。
食糧自体は与えられた家にあったので、リオが簡単な手料理を振る舞ってくれた。慣れてない、と自己評価の料理だったが、ナギトの口には問題なく入っている。むしろ母親を思い出す、懐かしくて上品な味付けだった。
それを指摘するといつも以上に喜んでくれたのは、家族への想いが強いからだろう。
同時に、自分も少しだけ安心する。両親に忘れろと言われて頷いた心は、家庭の味を覚えていたんだと。
当り前の絆、当り前の家族愛。
前回の闘技大会で敵と味方に分かれているが、やはり家族というのは切っても切り離せない存在らしい。縛られていると指摘されれば反論できないが、両親亡き今なら甘えも許されるだろう。
しかし。
友人との対立に、その甘えを持ち込むのは危険でしかない。お互い、覚悟がないと笑われる。
切り替えるか、切り捨てるかはしよう。納得した上での対立なら、少なくともナギトに異論はない。
「いや、ワシらとしても困ったもんでのう。……まさか商人どもが強行策に出るとは思わんかったよ」
「……」
熱気に満ちた魔術工房の中を、ナギトとリオは案内されていく。
市長からの指示で、先にこちらを訪れて欲しいとのことだった。メルキュリクとの話も全面的に任せるとのことで、様々な確認のため兄妹は行動している。




