反逆者にして理解者 5
まあしばらくは問題ないだろう。テストミア内の対立で、予定通りに時間を消費してくれればいい。
一番肝心なのはこちらの動きだ。いかにオレステスを煽り――そして、アルクノメを始末するか。
「王ならばこの時、どう行動するか……」
真っ先に娘を殺す? ありえそうだ。いっそ、自分もそうしてしまおうか。
少し思案に耽って、クリティアスは自嘲の笑みを零す。
到達点から見れば逆効果だ。ナギトが完全に暴走する事態を引き起こせば、意味するのは失敗だけ。
焦りは禁物だ。少し遠回りになっても、確実に遂行しよう。
「うむ、徹底することは大切だ」
帝国が、滅びるということ。
それは黒を白に、白を黒にする行いだ。逆転を起こし、かつてすがっていた要素を断ち切らせる。
かつて帝国は、己の矜持にすがった。
しかし今は――
帝国人という存在は消滅しかかっている。その理由が血統、思想を超えたところにあるのだから余計に性質が悪い。
存在そのもの。種という根本的な段階で、帝国人は絶滅危惧種だ。
「くく……」
周りに誰もいない、砦の廊下。
すべてが成された時の地獄を想うと、嬉しい気持ちは隠せそうになかった。




