反逆者にして理解者 2
「一言では説明し尽くせんな。まあ帝国のためであることは言っておこう。さすがの私も、アギニ家への恩義があるのでね。忠誠は誓っているさ」
「私をさらうのも恩義だっていうの?」
「無論」
だが、理由を話すのは面白くない。
なのでクリティアスはそこで言葉を終えた。質問を受ける前と同じように、口を真一文字で結んでいる。
「テストミアはどうなったの?」
「市民たちの反帝国感情が燃え上がっているところだ。基礎がある以上、あとは油が増える一方だろう」
結末を想像すると、不意に笑いが込み上げてきた。
人が己の枠組みを超える瞬間。絶望が希望に転じるなら、あるいはその逆が起こるなら、人は相当な決断を強いられる。
例えば。
自分の守ってきたすべてを、破り捨ててしまうような。
「結果を楽しみに待っておくといい。我が王にとって好ましい事態を誘き寄せるのは、間違いないだろうからな」
「人のことを誘拐しておいて、よく言うわね」
「ふむ、やはりナギト君の傍が一番だったかね?」
「そ、それは、別に」
頬を赤らめながら言われても、説得力がない。
しかしこの際だ。先代皇帝も気にしていた謎を、代わりに尋ねておくとしよう。
「君は彼に対して恋愛感情があるのかね? 無いのかね?」




