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第十二話 反逆者にして理解者 1
「――」
残念なことに、返ってきたのは無言と、蔑みの目だった。
しかしクリティアスもどこ吹く風。こんな小娘が何をしたところで怯えるには値しない。父親の威光が残るだけの、無意味な少女に過ぎないのだ。
「ふふ、必死に虚栄を張っているのだな。我が王はもっと堂々としていたぞ?」
「今は関係ないでしょう。――で、何の用?」
「特にあるわけではないさ。そうだな、暇つぶしの相手でもしてやろうと思っただけだ」
「……」
訳が分からない。凄みの増した目で、アルクノメがもう一度睨んでくる。オレステス辺りならうろたえされることも出来たろうか?
クリティアスは背後の扉を閉めると、そのままもたれかかった。
しばらく、無言の時間が過ぎていく。
アルクノメへ言ったように、ここに明確な目的があったわけではない。彼女の敵意を受けることで暇つぶしになるのなら、喜んで無言のまま過ごしてやろう。
もっとも。
「貴方の目的は何?」
向こうが痺れを切らしたんじゃ、こっちも喋るしかないのだが。




